実銃射撃 海外の反応シリーズ

モリーニさんじきじきにグリップカスタムしてもらった話【海外の反応】

投稿日:2016年10月24日 更新日:

前回に引き続き、今回も競技用ピストルのグリップの話です。

前回のエントリでも書きましたが、グリップ造りというのは経験や勘を必要とする職人芸めいた部分が多分にある、難しい仕事です。単に手のひらの形をそのまま型どれば良いってわけではありません。競技と同じように銃を持って構えて、銃の重さがかかったときにフロントサイトがキチンとセンターに来ること。その状態で人差し指に力を入れて動かしてトリガーを引いても銃が動かないこと。この2つの条件を実現しようとすると、人間の手の形だけでなく、どういう構造をしていてどういう風に動くのかといったことまで考えに入れる必要が出てきます。

世界的に有名なグリップマイスターとして誰もが真っ先に名前を上げるのが、チェザーレ・モリーニ氏です。私が使っているエアピストルのメーカーの名前が「モリーニ」ですが、そのメーカーの創設者です。それだけでなく、他メーカーの競技用ピストルやライフルについてもモリーニ氏が手がけたものは多いと言われています。この人がいなければ世界のピストル競技のレベルの進歩は何十年か遅れていたんじゃないか……というのも決して言い過ぎじゃないほどに、射撃競技の世界では大きな貢献をしてきた人です。

大量生産品として、多くの人の手に無難に合う形をしたグリップをデザインするだけでなく、競技者個人の手の形に合わせて既存のグリップを削ったり盛ったりして、よりフィットした形に改造する「パーソナライジング」も行っています。物凄い有名な人であり世界的な第一人者であるにもかかわらず、その価格はそれほどベラボウに高いものではありません。世界選手権などでは個人ブースを出していて、訪れた人のグリップを手がけていたりすることもあるようです。

2014年9月にカナダで行われた世界選手権で、参加者のグリップのパーソナライジングを行うチェザーレ・モリーニ氏。

日本とか北米とかオーストラリアからだと、チェザーレ・モリーニ氏がいるイタリアまでは大旅行になってしまいますが、同じヨーロッパの中なら「ちょっと長いドライブ」をする覚悟さえあれば比較的簡単に訪れることができるというのが羨ましいところです。世界の射撃フリークが集まる掲示板「TargetTalk」に、ドイツからイタリアまで車を走らせて、自分が所持しているステイヤーLP10Eのグリップをモリーニ氏にパーソナライジングしてもらったドイツ人がトピックを立ち上げてその感動を熱く語っていましたので、簡単に抜粋して翻訳してみたいと思います。

なお、このトピックは2014年のものです。書かれている内容はあくまで当時のものですから、現在は事情が変わっているかもしれません。

 

ホンモノのチェザーレ・モリーニに会ったぞ!
そしてグリップを改造してもらったぞ!
The real Cesare Morini and his grips


※写真はTargetTalkより引用(あきゅらぼロゴが入っているものを除く)

  • 私の素晴らしい1日について聞いて下さい。
    今日、私はイタリアのパルマまでドライブしました。チェザーレ・モリーニ氏に会うためです。
    彼は、自身の名前を冠した有名なスイスの銃器メーカーの創設者ですが、現在は「マッチガンズ」という新しいイタリアの会社に関わっています。
    私はこれまで数多くのドイツ人古参シューターから、「カスタムグリップを作るのならチェザーレ・モリーニに頼みなさい。他の誰でもなく!」とアドバイスを受けてきました。そして今、私はその理由を知りました!
    持参したのはステイヤーLP10Eのグリップです。このグリップは言っちゃなんですが酷いもので、射撃時には恐怖すら覚えるほどです。ここまで酷いグリップには、私は今まで他に出会ったことがありません。私はこのLP10Eを購入してから10日間は頑張りましたが、それが限界でした。
    それだけではなく、この銃は致命的な欠点があります。グリップの角度調整が可能なのですが、ある程度以上に傾けるとグリップ上部がリアサイトに接触してしまい、リアサイトを「DOWN」方向に調整してもグリップに当たって下降せず上下調整ができなくなるのです。高価なピストルなのに!
    しかしそんなことはものともせず、チェザーレ・モリーニ氏の仕事の結果生み出されたものは、まさに傑作(マスターピース)そのものでした!
    彼は、4時間ぶっ通しで作業をしてくれました!!!
    彼は、作業中にただの一度も時計を見ませんでした。また、急ぐそぶりも見せませんでした。
    チェック、モディファイ、パテを盛るの繰り返し……。それは最終的に彼が満足するまで続けられました。
    私は、私自身をかなりの完璧主義者だと思っていますが、彼は私以上、常軌を逸したレベルの完璧主義者です!
    最終的にどんな具合になったかについて説明します。
    彼は、私に何度も「目を閉じて銃を構えて自分を狙え」と指示しました。その状態で目を開くように言われその通りにすると、フロントとリアサイトは常に完璧に整列しています。
    さらに彼は、そのままの状態で「指を開け」と指示しました。
    指を開いても銃は手の中に収まったままであるばかりではなく、フロントとリアサイトの完璧な整列も銃を握っているときと変わらずに全くそのままでした!
    私は実際に、「銃を全く握らない状態でトリガーを引く」ことすら可能でした。もちろん、フロントとリアサイトは完璧に整列しており微動だにしません。
    全く信じられないことです!
    このグリップのフィーリングは、まさに「現実となった夢」です。それを握り、構えることは無常の喜びです。意識的に力を入れる必要は、まったくありません。たとえるならば、ピストルが腕の骨の延長された一部になったかのような感覚です。重さすら感じません。
    私は、アメリカやオーストラリアなど遠く離れた国の人たちに、本当に申し訳なく思います。イタリアまで足を運ばなければこのような傑作を手にすることができないからです。もしイタリアに来る機会があるのならば、自分のピストルを持ってくるのを忘れないでください。今日、私が手にしたものは、単なる「カスタムメイド」ではありません。これは「芸術」です!
    この銃で試合に出て世界記録が撃てなかったら、私は射撃を止めます……ってのは流石に冗談ですが。(ドイツ)

 

  • 素晴らしい経験の報告、ありがとうございます。
    私の古い記憶、「ヘンメリー・クラフツマン学校」での経験を思い起こさせてくれるものでした。
    製造技術や、銃そのものに備えられたアジャストシステムは昔と比べれば格段の進化をしていますが、それにも関わらず、熟練した職人だけが引き出すことができる洗練の極みというものは存在するのですね。(国籍不明)

 

  • 写真を、写真を下さい……っ!(多分、アメリカ)

 

  • >熟練した職人だけが引き出すことができる洗練の極みというものは存在する
    その通りだと思います。
    私は、万が一のことが起きる前にこのグリップをレーザースキャンするつもりです。チェザーレ・モリーニは、決して「20歳の若者のように若々しく元気な」人ではありませんし。

    (訳者注:つまり、いつポックリ行っちゃってもおかしくないくらいのけっこうなお年だってことですね)

    >写真を下さい
    後ほど、写真をいくつかUPしますのでお待ちを。(ドイツ)

 

  • >指を開いても銃は手の中に収まったまま
    私は、これが何を意味するのか写真を見てみたいです。(ソルトレイクシティ・ユタ州)

 

  • 写真です。(ドイツ)

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  • ううむ、ビーバーテイル部分にかなりパテ盛りしてあるんですねえ。(ソルトレイクシティ・ユタ州)

 

  • バックサイドの上下のクランプが凄いですね、これなら手を離してもポジションが変わらないってのも納得です。
    ところでこのグリップ、シェルフ(ヒールレスト)の上下調整はできなくなっちゃってませんか?(国籍不明)

 

  • >シェルフの上下調整
    はい、シェルフは固定された形になり上下方向に動かすことはできません。そのためフロントサイトを上げるためにはグリップ後部を盛る必要がありました。これは彼のグリップ加工のほんの一部に過ぎません。(ドイツ)

 

  • AMUに所属していた頃、1994年にスイスで開催されたCISMで撃ったことがあります。その時に、私は私が所持していた3つのグリップをモリーニ氏にモディファイしてもらう機会に恵まれました。ステイヤーのAP、Toz-36、そしてワルサーGSPの3丁です。それらのグリップを使ったその次の試合において、私は2つの自己ベストを撃ちました。銃は私の腕のハイパーエクステンションとなり、自然狙点位置を微調整する必要が全くありませんでした。それまでいくら調整しても自然狙点は左下に寄っていたのに……。
    彼は、本当の意味でのマスターです。(国籍不明)

 

  • >彼は、本当の意味でのマスターです
    私もそう思います。
    彼はまず私の手を何度か見た後、15分ほどかけてグリップを削りました。その作業で私が自分でグリップに追加した樹脂の全てと、オリジナルグリップの木材部分の半分ほどを除去しました。もうその時点で既にグリップはパーフェクトにフィットし、私は「これで完成なのだ」と確信しました……が、それは単に始まりに過ぎませんでした!
    写真を見れば、追加されたマテリアルの多くがグリップの背面部分に限られているのが分かると思います。
    彼が、中指と薬指の第一関節の位置調整に費やした時間の長さは驚きでした。彼はグリップの背面部分にレジンを慎重に追加していきました。それは指の第一関節が、それも皮膚のひだではなく中にある「関節のコブ」がグリップ前面のエッジに正確にエンゲージする(しかし痛みはないように)ことが目的でしたが、一度では満足がいかず、3回、4回と繰り返しそれは行われました。
    「これは、中節骨(第一関節と第二関節の間の骨)の位置決めに重要なのだ」と彼は言いました。この作業が終わった時、私は確かに自分の指の中節骨がピストルを保持しているグレートなフィーリングを感じました。(ドイツ)

 

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訳者注:手の指の骨の名前とか関節の名前とか、医学用語めいたフレーズが遠慮なくばんばん登場してきます。いちおう日本語での名称に直してありますが、読み違いとか勘違いを防ぐために「どのフレーズが、指のどの部分を指しているのか」を図解しておきます……がイラストだと関節の名前が専門用語になっちゃってますね。「DIP関節」ってのがいわゆる「第一関節」、「RIP関節」というのがいわゆる「第ニ関節」のことです。引用元:http://www.naoru.com/

 

  • この写真が非常に興味深いですね。
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    グリップ前面のフィンガーグルーブをほとんど埋めてしまっているのは、中節骨がグリップ前面にフラットに接し、銃にかかる圧力が真っ直ぐ後ろ方向になるようにするためなのだと思います。グリップ前面の中節骨が接する面積は極めて広くなっています。あなたの指の末節骨はグリップに回り込んでおらず、中節骨からほぼ真っ直ぐ側方に伸びています。(国籍不明)

 

  • >グリップ前面のフィンガーグループをほとんど埋めてしまっている
    まさにその通りです。彼は指先が接する部分のフィンガーグルーブを取り除いてしまいました。それにより私の中節骨は、グリップ前面と「ナイスで広範で平坦な接触エリア」を得ることができるようになりました。
    グリップ前面にあるシャープなエッジ(グリップ左側面)は、末節骨と中節骨の間(つまり、第一関節ってことだと思います)と非常にうまい具合にフィットしています。
    チェザーレは「節骨は、フックしているべきだ」という言葉を使っていました。確かにその感覚こそが、彼が「これで良し」と言ったときに私が感じたものです。中指と薬指は、文字通りグリップのエッジをフックしています。私はエッジを第一関節で感じて、中指と薬指の中節骨がグリップにフラットに接しているのを感じます。
    指の先端(末節骨)は完全にフリーで空気中に放り出されています。グリップには接しませんからグルーブもありません。
    上手く説明できていると良いのですが。(ドイツ)

 

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訳者注:図解するとこんな感じです。グリップ前面の左側にある小さなエッジ部分に、中指と薬指の第一関節を「フックする(引っ掛ける)」形でグリップする手の位置決めをするということですね。
  • 重要な質問ですが……このグリップによってスコアは上がりましたか?
    快適さとスコアの高さは、必ずしも相関関係にはありません。大昔のロシア・チャンピオンによる格言に、「ベストな射撃は、グリップが快適すぎないときに行える」というものがあります。
    それと、私はあなたの説明のうち、「薬指のサポートを得るための慎重な作業」について非常に興味があります。もっと詳しいことを教えてもらって良いでしょうか?(国籍不明)

 

  • 私はこれまで自分のLP10Eを6回射撃場に持ち出しました。最初の4回はスタンダードグリップ、2回がチェザーレ・モリーニ氏によってモディファイされたグリップです。
    スタンダード・グリップを使っていたときのシリーズベストは90点でした。そして新しいグリップを使った今、はじめてシリーズ94を撃てました。
    実際のところ、私は筋力トレーニングの必要性を真剣に感じています。私はベストスコアをいつも最初のシリーズで出して、その後は下がる一方になってしまうからです。
    私は今シーズンの始まりを先週ミュンヘンで迎えました。非公式大会であるにも関わらず、たくさんの人達が世界中から参加していることに大変驚きました。
    それはそれとして、私はチェザーレ・モリーニ氏によるカスタムメイドグリップを使用しているアスリートの何人かと話をする機会がありました。彼らはみな驚き、そして私に「良い選択をしましたね」と言ってくれました。
    >快適なグリップは必ずしもベストのグリップではない
    そこに関連しているかもしれない点について、私は少々興味深いことに気づきました。エッジが丸く形作られたグリップは快適性が高く、容易に「握っていて心地よいグリップ」を作ることができますが、握る場所が少しズレてもそれを認識しづらいという欠点があります。私の父はかつてDon Nygordに師事していたことがありますが、常々言っていたことは「グリップを正しい方法で手にフィットさせると、握った時には快適ではなくなるが、しっかりとグリップを感じることができる」というものです。通常の位置からほんの数ミリメートルずらしただけでも、ポイントやラインが明らかな違和感となって、銃を構えるより前に射手に伝わるのです。(ドイツ)

 

  • 手の形は気温や時間帯によって変化します。同じように握っても違和感があるというのは、それが原因なのではないですか? あなたの父はその点について、シャープなエッジがどういう風に作用するのかを説明してくれましたか? 私はそこに興味があります。(北カリフォルニア・アメリカ)

 

  • 私は、シャープなエッジが良いところは、骨は温度によってその長さを変更しないところに理由があるのだと解釈しています。だから、関節の位置をエッジに合わせることで手の位置を固定するというやり方に利点があるわけです。
    先週ミュンヘンで会ったアスリートが、「チェザーレ・モリーニに聞いた話」として話してくれたことによると、グリップフィッティングを終えた時に、親指と人差し指の間の水かき部分が完全にグリップに接触していなかったので、その部分をもっと盛ってくれるように頼んだところ、「今はとても寒いので手の肉が収縮している。通常の温度で射撃を行うときに拡張するための余地を残しておく必要がある」と言われたとのことです。(ドイツ)

 

  • 素晴らしい仕事ですね。
    実際のところ、適切なグリップフィッティングについてちゃんと知っている人ってほとんどいないんじゃないでしょうか。少なくても私は信頼に足る人に出会ったことがありません……オリンピックトレーニングセンターでもダメでした。
    ドイツで射撃をしている間、私は「Tomas Rink」にコンタクトを取ろうとしたことがあります。なかなか難しいことでしたが、ある試合に参加するということがわかり、試合のディレクターを通して連絡を取って作業用ツールを持ってきてもらいました。
    私は、その場で自分の手を測定してもらってカスタムグリップを作ってもらうつもりでした(想定していた価格は350ドルです)。実際には、少しのパテと1時間ほどの時間が、2つのモリーニ・グリップのフィッティングに必要だということがわかりました。彼は、そこにあるグリップをスキャンして新規に私専用のグリップを作ることも可能だと言ってくれましたが、それには及びませんでした。また、私が別の銃に持ち替えた場合でも、現在のグリップをスキャンして新しい銃のために同じフィッティングのグリップを作ることも可能だと言ってくれました。おそらくその費用は、彼のWebサイトに書かれているのと同様に350ドル程度だと思います。
    しかし、両方のグリップをフィッティングするのにかかった費用はわずか75ユーロでした。自分ではどう頑張ってもセンターに持ってくることができなかったラピッドファイアピストルのフロントサイトを綺麗にセンターに持ってこれたのか、正直なところはっきりとは分かりません。とにかく彼はそれを実行しました。なんとかノウハウを盗もうと、グリップにパテ盛りをしている作業をすべてビデオを回して撮影してはあるのですが。
    モリーニ氏は4時間を要したとのことですが、どのような作業にそこまで手間がかかったのでしょうか?(テキサス・アメリカ)

 

  • モリーニ氏によるグリップのパーソナライジングの価格は、170ユーロです。テールエクステンションについては別料金でしたが、ラッキーなことにその分は無料にしてくれました。LP10Eのテールエクステンションはリアサイトに触れてしまうという問題があるため、その部分の解決だけで1時間を要してしまったことについては書いておかねばならないでしょう。
    チェザーレ氏がアドバイスしてくれたところによりますと、カスタムグリップを新しいワンピースの木材から作るという方法は、頻繁に微調整を必要とする競技用グリップには適していないとのことです。その方針は正しいと思います。来週、私はパルマに戻りグリップの微調整について尋ねてみるつもりです。
    いずれにせよ、このグリップで1ヶ月射撃を続けた結果、私はこれが私の射撃に与えてくれた成果に非常に満足しています。自分の呼吸やサイトにだけ集中する練習のために白的撃ちをしているときには、グリップを保持する力をほとんど必要としませんし、ターゲットを見るとそれはほとんど弾薬テストを行ったターゲットのような状態になっているのです!

     
    訳者注:銃を万力に固定して10発を撃ってグルーピングを調べるテストというのがあります。それを行った結果のターゲットは、当たり前ですが弾を1発撃ったのとほとんど大きさが変わらない穴しか開いていません。手で持って撃ってるのに、そういうターゲットになるって意味ですね。

    最後に、チェザーレ・モリーニ氏について。彼はグリップビルダーとして名を知られており、数多くの競技用ピストルメーカーのグリップを手がけてきました。しかし、自身の名前を冠したスイスの「Morini.ch」社からは既に去っています。現在、Morini.ch社によって作られる「CMグリップ」には、もうチェザーレ・モリーニ氏は関わっていません。チェザーレ・モリーニ氏は現在、パルマに戻り「マッチガンズ」という新しい会社を設立しています。マッチガンズでは、自社製品以外のピストル用グリップはプロデュースしていませんが、モリーニ氏自身はどんなメーカーのグリップでもパーソナライジングを相変わらず引き受けています。ミュンヘンで行われる国際大会には必ず顔を出していて、グリップのフィッティングを行っています。もしあなたがそこに行ける機会があるなら、あなたは彼に仕事を頼んでみることが可能です。


以前、このトピックを斜め読みした時、私は書かれている内容をちょっと誤解してしまいました。「指先をグリップの前端にフック(引っ掛ける)する」という言葉の意味を、文字通り指先(第一関節から先)をカギのように曲げてグリップの縁に引っ掛けるのだと思ってしまったのです。医学用語めいた単語をいちいち検索して意味を確かめたりしなかったのが失敗でした。

その誤解を元に作ったグリップでこの1年頑張ってきたわけですが、基本的にはうまい具合に止まるしトリガーも引けるのですが、緊張したり力が入ったりしたときに、ときおりトリガーを引く時に銃がググーッと動き、とんでもない方向に弾が発射されてしまうということが発生するのに悩まされていました。トリガーの引き方への注意が足りないのだと思っていたのですが……。

おそらくこの現象は、本来は力を入れてはいけない指先(第一関節から先)がグリップの前方の左側面を斜め前から押す力が入ってしまっているために起きていたんじゃないかと思います。実際、射撃場で(グリップはそのままで)指先に力を入れずにプラプラと空中に放り出した状態で撃ってみたら、いくら撃ってもその「飛ばし」は発生しませんでしたから。
 

cmgrip-1左が、現在私が使ってるエアピストルのグリップ。指先への力の入り具合によって銃が右斜め上に向いてしまうことがあるらしい。この記事内で書かれている「理想の形」にするには、グリップへのパテ盛りをほとんど削り落とす必要がある……。

それにしても、単に「指先を引っ掛ける」のではなく、「指先の根本にある関節のコブを引っ掛ける」というのは、見ている次元の高さが違うというか求めているレベルが段違いというか……。

車で行けるところに、こんなレベルの高い仕事をしてくれるグリップマイスターがいるような環境で射撃をしている人たちと、なにをどうやったら正解なのかわからずあれやこれやと試行錯誤するしかない我々とでは、日常的に撃てる点数のレベルが違ってきてしまうのも当然かもしれませんね。こうやって情報を公開してくれているおかげで、ほんの少しではありますが情報格差を埋めることができるのがせめてもの救いではあります。

今回は話題の内容を絞るためにざっくりと省きましたが、このトピックではモリーニさんが使っているパテの銘柄とか成分とかについても、あれやこれやと盛り上がっていました。その部分はまた別エントリーにまとめてUPしたいと思います。

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