先週に引き続き、藤枝に行ってきました。東日本に比べるとずいぶんと「ゆるい」大会であるマスターズチャンピオンシップです。年齢で細かくクラス分けされてることもあって、それほど良い点数というわけではない……はっきり言うとけっこうひどい点数だったんですが、クラス優勝ってことでトロフィーとか貰ってしまいました。
それでも、先週に比べれば大崩れでどうしようもなくメタメタになる状態より少しマシで、時々大外しをするもののなんとか踏みとどまることができた、って感触は得ることができました。前回がダメすぎたってこともあるんですが点数も大幅UPですし。東名や首都高の渋滞を抜け、2週連続で藤枝通いした甲斐があったというものです。
何度も書いてますが、新しく導入された新型の電子ターゲットは、標的自身が明るく光り輝くという性質を持っています。ルールで、「標的面の明るさ」をある程度以上にするということが決められていますので、それを確実にクリアするためのものなんだと思います。しかし40代を過ぎた眼には、薄暗いなかで一箇所だけが明るく光っているという状況はなかなかに厳しいものがあります。標的面の明るさにサイトが侵食されるような形になって、フロントやリアサイトがぼやけたりかすんだり変形したりして見えるようになってしまうのです。
カラーフィルターを導入することでなんとかしようというのが現時点での方針なのですが、それが唯一の正解というわけでもないようです。海外の射撃掲示板「TargetTalk」に、新型電子標的ではないのですが同じように「標的周りが明るく見えすぎてサイトがぼやけてしまうのをなんとかしたい」という相談がUPされ、いろいろなアドバイスが書き込まれていました。抜粋して翻訳してみます。
サイトがぼやける
引用元:blurry sights (TargetTalk)
- 私が現在使っている射場は照明の配置があまりよくなく、射手の真後ろに配置されたスポットライトが、フロントサイトやターゲットを照らす形になっています。ピストルを構えてサイトを見ると、まるでヘッドライトを正面から見ているような感じになります。強烈な光によってサイトは変形して見えてしまい、フォーカスを合わせるのがとても難しくなってしまっています。
この眩しさをなんとかしようと、カラーレンズを使うことを検定していますが、どんな色が適しているのかがわかりません。赤色はどうでしょうか?(国籍不明)
→照明の状況が詳しくわからないので確かなことは言えませんが、まずはアイリスシャッターを試してみてはどうでしょうか? もしアイリスシャッターを持っていないのなら、ちょっと豪快な方法になりますがポストイットなどに小さい穴(2mmか3mmくらいが良いです)を開けたものでも代用できます。それをシューティンググラスのターゲットが見えている部分に貼り付けて、問題が解決されるかどうかを確認するのです。
人間の眼にも可変式アイリス(虹彩)が備えられています。全体的に暗い場所ではアイリスは開きますが、私の経験ではそうなっているとフロントサイトの周囲に光が回りこんできやすい感じがします。(カナダ・オタワオンタリオ州)
→良い方法を教えてくれてありがとうございます。アイリスシャッターをすぼめると確かにピントは合いやすくなりますが、眼がとても疲れやすくなってしまいます。なので、カラーフィルターを使うことで目の負担を少しでも和らげることができるのではないかと考えたわけです。偏光フィルターを使ってみたことがあり、少しだけですが良い結果が出ました。他になにか良い方法がないかどうか、オススメをお願いします。私は「夜間運転用」の黄色偏光グラスを持っていますが、これは射撃にはあまり適しませんでした。(国籍不明)手前から奥まで、広い範囲にピントが合うようになる代償として全体的に暗くなってしまうのがアイリスシャッターです。10m先にある標的と、手元にあるサイトの両方にピントが合って欲しい競技射撃ではとても役に立つアイテムです。※この手の解説イラストはカメラ入門みたいな本にはたいてい載っているので画像検索すればすぐ出てくると思ったら意外に見つからない……しかたないので自作しました。
→射撃に適しているのは、「+0.75ディオプター」のレンズです。これは普通にメガネ屋で眼鏡を作るときに「適切なレンズ」として提示されるものよりずっとローパワーなもので、日常生活を送るには不便なくらいです。
あなたが直面してる問題は、光の強さではありません。40代に差し掛かった者には誰もが訪れる老眼の始まりです。それは「眼のレンズの硬化現象」であり、毛様体筋(眼球で水晶体の厚さを調整する筋肉)の衰えから来るフォーカス機能の衰えです。それにより、フロントサイトがぼやけてしまうのです。
私は射撃眼鏡やレンズをシューター向けに販売しています。このフォーラムを「フロントサイトへのフォーカス」について検索すれば、あなたが直面している状況はピストル射撃をする上でありふれた悩みであることが分かると思います。
私は、「+0.75ディオプター」のセーフティーグラスをシューター向けに販売しています(ShootingSight LLC)。価格は35ドルです。あなたにとって、もっとも安価にすむ解決策だと思います。さらにお金がかからないで済む方法(けっしてベストではありませんが)としては、「Walgreens(※)」に行くことです。あそこで売っている老眼鏡は、「+1.0ディオプター」から始まりますが、価格はたった20ドルです。セーフティーグラスではありませんし「0.25ディオプター」分だけ矯正度が強いという問題はありますが、おそらくそれを使えばフロントサイトは劇的にクリアになるでしょう。ターゲットは少しだけぼやけてしまいますが。(アメリカ・オハイオ州シンシナティ)
※Walgreens:アメリカの薬局チェーン。日本人的な感覚に翻訳するなら「マツキヨにでも行けば?」的なニュアンスなのかも。
Photo:Wikimedia Commons
→>射撃に適しているのは、「+0.75ディオプター」のレンズ
正しくは、「通常の距離スクリプト上で+0.5から+0.75の補正」です。任意の通常の補正に、さらに乱視の矯正も加える必要があります。(国籍不明)
→申し訳ありません、確かにその通りです。通常の矯正視力に加えて+0.75です。最初の質問を読んだ時に、質問者さんは普段は眼鏡による矯正をしていない方だと判断してしまったので、「+0.75が正解です」と回答してしまいました。もし質問者さんが眼鏡をかけているようでしたら、「それに加えて+0.75」が正しいレンズの選択になります。(アメリカ・オハイオ州シンシナティ)
→コンタクトを使っている場合も同様に「+0.75」が必要となります。
ちょうど、私は先日検眼をしたばかりです。前回の検眼時に非常に弱いレンズを射撃眼鏡に入れて以来、かなり長い間そのままでしたが、右目が「ハーフディオプター」だけ近視よりになっていました。
日常生活用のコンタクトレンズを作りなおすとなると、同時に射撃関係のいろんなグッズを全部作りなおさないとならないハメになります。私は眼鏡を2つ、片方はインドア、片方はアウトドア用に通リ、ライフルのリアサイトにもレンズを追加する必要がありました。
現在、私は60代です。さすがにこの歳になると視力変化のスピードはゆっくりとしたものになりましたが、40代後半のころは視力が変わるたびにレンズを作りなおしていたものです。(アメリカ・マサチューセッツ州)
→みなさん、たくさんの素晴らしいアドバイス、本当にありがとうございます。「+0.75」のレンズを使ってどうなるか確認してみます。(国籍不明)
- 現在の状況です。デパートで「+1.00」のレンズを見つけることができたので、ブルーのレンズと合わせて使ってみました。両方とも良い感じです。「+1.00レンズ」はフロントサイトにフォーカスを合わせるのが凄くやりやすくなりましたし、ブルーフィルターは眩しさを軽減しサイトをより黒く・クッキリと見えるようにしてくれました。全てのコメントに感謝を申し上げます。(国籍不明)
- 丸一日、オフィスで仕事をした後に射場に行って撃つときには、私も質問者さんと全く同じ状況になります。「オリンピック・チャンピオン」を購入して「+0.50」のレンズを入れることでかなり改善できましたが、もうちょっと弱いレンズを入れたほうがいいと感じています。おそらく、「+0.75」で開始するのが射撃には最も適しているんじゃないでしょうか。(スウェーデン)
- グレアに対処する最適な方法は偏光レンズを使うことです。フィルターは明るさのレベルを下げる効果しかありません。それは場合によってはサイトを見ることをより困難にしてしまいます。偏光レンズは反射/グレアだけを大幅に削減してくれます。(イギリス・ハーツ)
→ありとあらゆる照明条件で確認したわけではありませんが、少なくても私の経験の範囲内では、偏光レンズは射撃用としては役に立ちません。
1.偏光レンズは、グレアだけをカットする能力を持っていません。明るさの70%を低減しますが全体的なイメージは変化しません。確かにグレアは他の光よりも多めに低減されるので、肉眼で見た時よりは若干良好な像を得られますが、70%も暗くなってしまうと瞳孔が開いてしまいます。それは焦点深度(手前から奥までピントが合う範囲が広いこと)を放棄するということに繋がります。
2.ほとんどのターゲット用の照明は、偏光レンズによってカットすることができる「斜め反射」の成分を持っていません。例えば水面に反射する光のように斜めに入射して反射してきた光であれば偏光レンズによって選択的に低減することができますが、ターゲットは射手に向かって垂直に設置してあるため、「斜め反射」の成分がありません。
例えば鴨撃ちに使うのなら大きな利点になりますが、ターゲットシューティングにおいては利点が無いのです。(アメリカ・オハイオ州シンシナティ)
「サイトがよく見えない」という状況になったときに、射撃眼鏡のほうでなんとかしようとすると、
●フィルターの濃さ
●フィルターの色
●アイリスシャッターの絞り具合
●レンズの矯正度合い
と、これだけの変更要素があるわけですね。全部が影響を及ぼし合う複雑な関係にあるから、方針を決めずにどれか一つだけでなんとかしようとすると、しばしば迷走してしまうことになりがちなのかも。
まずは自分の視力にあった矯正度合いのレンズを使うことが何より大事で、アイリスシャッターやフィルターに頼るのはそれからだ――といった意見は説得力がありました。