製品レビュー 実銃射撃

モリーニCM162E、シアがかからないトラブルを解決

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morini-17モリーニのコッキングが異常に固くなっていた原因は、ボルト(ローディングノズル)やストライカーではなく、ローディングレバーの摩耗のせいでした。

先日、トラブルを解決するために分解してあれやこれやしたモリーニですが、いろいろと見たところ根本的な原因は内部ではなくグリップを外すだけで見える場所、ローディングレバーにある円弧を描いたスロット穴の一部がすり減っているのが原因でした。そのためボルトピンとの摩擦が大きくなり、レバーを起こすのに大きな力が必要になり、その副作用としてフレームにも負担がかかる……という順番だったようです。

上写真の赤いギザギザラインを描いた部分、そこにモリブデングリスを少量塗布してやるだけでコッキングは劇的に軽くなりました。これまで指4本でひっつかんで全力で引かないとならなかったようなレバーが、小指一本でスーッと引けるようになりました。

やれやれ、遠回りしたけれどこれで解決か……と思いきや、新たな問題が発生しました。シアがかからず暴発するという大問題です。

兆候は日曜の全国ピストルの試合中から発生してはいました。レバーを起こして弾を置き、レバーを戻そうとすると「カクン」と一気にレバーが戻ってしまうという現象が発生していたのです。トリガーに触れてもいないのにシアが外れたわけで、けっこうな大問題ではあるのですが、一発ずつしっかりコッキングすればほぼ問題なく撃てるのでスルーしていたのですが……。

全国ピストルの結果があまりにもあまりだったので、2日連チャンにはなりますが本日、区の月例会にも出てきましたが、その試合中、ついに発生してしまったのです。暴発が。弾を入れてレバーを閉じた瞬間、トリガーに触れてもいないのにシアが外れて弾が発射され、標的の背後にある壁を撃ってしまいました。月例会だったから良かった(いや、良くないですが)ようなものの、大きな大会でコレやってたら大変なことになってるところでした。

後でいろいろ試して調べたところ、ローディングレバーを最後まで普通に起こした後、力を入れずにそのまま戻すとシアがかからず、最後まで引いてそれ以上動かないレバーをさらに大きな力で引いてから戻すとシアがかかることがわかりました。これまでは摩擦が大きくなっていたため、必然的に最後まで引いた瞬間は渾身の力を込めていた状態だったところが、軽く引けるようになったためにシアがかからない、あるいは中途半端にかかった状態でレバーを戻してしまうことがあるようになったために発生する現象のようです。

レバーを最後まで起こしてもシアがかからなくなってしまった。おそらく、ローディングレバーのスロットがすり減ったために、ボルトを十分に引くことができず、それによってボルトによって後退させられるストライカーの後退量が足りなくなったのが原因ではないかと思われます。
 

morini-19これが、なんのトラブルも起こっていない通常の状態。レバーをいっぱいまでコッキングしたところで、ちょうどストライカーの段差になっている部分(シアがかかるところ)がシアの真上に来るようになっています。


morini-20ローディングレバーのスロットが擦り減ることにより(図では、かなり大げさに描いてあります)、ボルトの後退量が少なくなり、それに伴いストライカーの後退量も減り、結果としてシアがストライカーにかからなくなってしまう現象が発生するようになったと思われます。


morini-18解決方法はいろいろ考えられますが、一番簡単なのは、ボルト後端を延長してやることです。昔だったらドリルで穴開けてタップ切ってイモネジを入れて……というような面倒な方法が必要だったかもしれませんが、今はいい接着剤があります。「溶接と同等の強度を発揮する」という触れ込みの、金属専用の接着剤「メタルロック」を使用し、ワッシャーの切れ端をボルト後端に接着してやります。


morini-21図にすると、こういうことです。金属板の厚み分だけストライカーの後退量が増えるので、ローディングレバーの摩耗により減ってしまったボルトの後退量を補ってくれるというわけです。射撃時にはこの部分は作動に一切かかわらない場所に配置されますので、特に精度は必要ありません。


改修の結果、全く問題なくコッキングおよび射撃ができるようになりました。ローディングレバーをいっぱいまで引いた時、改修前は「動かなくなるまで引いた瞬間=シアがかかろうとする瞬間」だったのが、改修後はシアがかかって(上昇して)からさらにレバーを少しだけ引ける、つまり余裕がある状態になりました。記憶がアヤフヤですが、この銃を購入した直後ってこんな引き味だったような気がします……。

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