基本的に、丸一日ブルズアイばっかり練習しまくる亀有ピストル練習会。特に駅の直ぐそばにある地区センターでの開催はスペースの関係でシルエット練習レーンが作れないので、「用意したもの:ブルズアイ練習レーン4つ」「やること:ブルズアイを撃つこと」という、実にシンプルな練習会になります。
「もっと気楽なもんだと思ってたら予想以上にガチな練習会だったんでビビった」とか言われてしまったこともありますが……そんなつもりはまったく。初心者歓迎、お気楽射撃の体験してみたいという方も歓迎です。本当です。
だいたいずっとフリー練習時間ですが、午前と午後に1回ずつ「ひたすらブルズアイ」も開催しています。両方に参加、午前だけ・午後だけに参加、どちらもOKです。
珍しく自分の話から。普段の自宅での空撃ち練習にAPS-3を使っていたのですが、実銃に比べるとやっぱり全然軽く、「これじゃ練習にならんな!」と一念発起して盛大にウエイトを追加しました。もともとアウター&インナーバレルの間に釣り用の板鉛を巻きつけていたのですがAPS-3 ORはそのスペースが小さく、あんまり追加できません。なのでSCATT用に設計したサイドマウントレールを拡張し、ビスやナット類を足せるだけ足してみました。まだまだ足りないですがノーマルに比べればずいぶん良い感じに。
しかしそれを使って50mピストル設定にしたSCATTを撃つと、自分の下手くそさに頭を抱えたくなるようなありさまです。10点圏どころか黒丸の中に揺れを収めることすらできません。これじゃあ400点ちょいしか撃てないのも当然というか……。とにかく今日の目標は揺れの範囲をせめて8点圏内に収めた状態でトリガー引けるようになること!と一念発起して延々とSCATT撃ちまくりです。
その効果が速攻で出まして、APS的を撃てば黒丸の内側にすべての着弾が余裕で収まるほど。ただ重くした銃を後先考えずに撃ちまくってたせいで気づいたら腕を上げるのも一苦労なほどに疲労してまして、こんどはそちらとの戦いになってしまいました。とはいえ、午前・午後ともにまあまあといっていいスコアです。
今回、私が目を三角にして占領しちゃってたせいか、SCATTやりたいって方があまりいらっしゃいませんでした……。午前中にヤマモトさん、午後にサトーさんが少し体験したくらいですね。ひたすらブルズアイで撃ってるところを見る限りだと、サトーさんの撃ち方はみょうに撃ち急いでいるというか、銃を振り下ろすその過程で10点を通り過ぎるその瞬間にタイミング合わせてトリガー引く、みたいな感じになってしまっています。これは「タイミング撃ち」って呼び方もあるくらいで、精密射撃の世界では明確に良くない撃ち方とされています。お話を聞くと、「時間かけて狙おうとすると銃が止まらなくて、まるで撃てない」ため、そういう撃ち方をあえて行っているとのこと。
本当に「銃が止まらなくてまるで撃てない」のかをSCATTをを使って確かめてみましょう。据銃練習です。構え初めてから15秒間、トリガーを引いてシアが切れても銃を降ろさずにそのまま狙い続けて、それから銃を降ろすというものです。そうやって銃口の軌跡を見てみると、意外なほどに小さくまとまっています。狙ってる状態での銃口の揺れる範囲の広さは余裕で黒丸(APSターゲットの10点圏)内に収まっています。ということは、サイトさえあっていれば「構えて狙って、銃口がゆらゆら揺れてる」状態から銃にヘンな動きをさせずにトリガーを引けば、BB弾は黒丸の中のどこかに当たるということです。それができればもう勝ったようなもんです。
ですがタイミング撃ちを繰り返してきた弊害でしょう、サトーさんのトリガーの引き方は残念ながらけっこう雑な感じになってしまっています。せっかく黒丸内に収まってた揺れが、トリガー引く直前に大きく動いて8点5点、ヘタすると0点くらいまですっ飛んでいってしまってます。うまい具合に当たらないのは銃のゆれのせいじゃなく、思い切りが良すぎるトリガーのせいだったんですね。
こんなふうに、「自分では全然ダメだと思ってたところが実際にはけっこう上手くできてて、逆に上手いと思ってたところがそうでもなかった」みたいな衝撃の事実が明らかになるのがSCATTの恐ろしいところです。「サイトが10点を通り過ぎる瞬間にタイミング合わせてトリガーをうりゃっと引く」みたいな撃ち方でも、うまくすると10点が5~6回くらい続いちゃったりすることもあります。その結果を見て「これが自分に合った撃ち方に違いない」とか思い込んじゃってその練習にひたすら打ち込んでしまう、なんてのが、SCATTが存在しなかった時代には多くのシューターが陥る罠として典型的なものだったんじゃないかと思います。かく言う私も似たような状態になってたことが何度か。
射撃ってのは、弾が的のどこに当たったかでスコアが決まるものですから、弾が的のどこに当たるのかが最も重要な要素だと思ってしまいがちです。しかしそれは最後の最後に現れる結果でしかなく、そこに至るまでのいろんなあれこれがあって、その結果たまたま良い点数になることも、悪い点数になることもあります。
例えば、陸上競技の練習をする際に、フォームだとか走り方だとかを気にせずにタイムとか高さとか距離とかの最終的な記録しか見てなかったら、きっとろくな練習はできないと思います。射撃もそれと同じです。真ん中に当たったかどうかは大事か大事でないかと言われたらそりゃ大事ですが、それは実は結果に過ぎません。そこに至るまでどういう経緯があってその結果になったのかを見て、悪影響がある要素や悪くないところを見つけ出し、課題を考えて克服していくことで、よりよい結果が安定して出るように自分の射撃を作っていく。そういう練習をするためには、兎にも角にもまずは「どういう経緯でもって、その結果が出ているのか」を見てみないことには始まりません。
亀有ピストル練習会では、毎回必ず1レーンだけはSCATT専用レーンにして、誰でも体験できるような体制を整えています。次回は亀有北集い交流館にて3/7に開催です。興味のあるかたはぜひ。