先日の「ダムダム弾」エントリーでも写真を載せた、ターゲットに当たってパカッと開いたホローポイント弾を見て、「花が開いてるみたいで綺麗だなー」って思った人は多いと思います。ここで、「いねーよ」という意見は却下します。
綺麗だなーって思うところまでは誰もが同じでも、「じゃあ、これアクセサリーにできるんじゃね?」と思い立って実行するところまで行く人はさすがに珍しいと思います。その馬鹿みたいな思いつきを実行してしまったのが、アメリカ在住で、シューターでありアーティストであるアンソニー・ザンバイさんです。友人がガールフレンドへのバレンタインデーの贈り物として作った、花開いたホローポイント弾を使った「鉢植え」を見て、「これはイケる」と確信したのが金曜日。週末を使ってそれを改良、試作品を作り、ドメインを購入し、Webサイトやフェイスブックを作り実際の販売を始めるまで3日間しかかからなかったそうです。
「茎」に相当するところは銅製のワイヤーなので、自由に曲げて花の角度を調整することができます。鉢の中の「砂」に相当するものは22LRの薬莢を使ったものもありますが、薬莢の売買に法的な規制がかかる地域もあるそうで、これはそれに対応した「綺麗な石」バージョンのものです。
写真はBullet Bouquets(bulletbouquets.com)より引用(以下同じ)。写真の著作権は全てBullet Bouquetsにあります。
値段は、「鉢植え」になっているものが「花」の本数もよりますが40~200ドル程度。他にネクタイピンやカフスボタン、ヘアアクセサリーなどいろいろとあり、そちらは8~10ドルくらいと、お手頃価格ではあります。
「使用済みの弾を使ってるだけなんだから、元手はタダみたいなもんだろう?」
と思いきや、世の中そうは甘くありません。実際に射撃場でバックストップ周辺を歩いたことがある人なら分かると思いますが、こういうふうに綺麗に花開いた弾というのはめったに見かけないのです。左右不均等になってしまったり、細かい破片になってしまったりすることがほとんどです。
じゃあ、商品になるような綺麗な「花」はどうやってつくるのか? 公式サイトにその動画がUPされていました。
「花」を一輪作るたびにこれを繰り返すわけですから、花束を作り終えるころには頭からつま先までずぶ濡れになってるんじゃないでしょうか。火薬粉とかそこらへんが混じった水を顔面に受けるわけで、健康にもあんまりよろしくなさそうでちょっと心配。
「花」の素材が鉛ということで、アクセサリーに使うとなると健康被害とかあるんじゃないかとちょっと心配になりますが、いちおうそこらへんには気を使っているようで「コーティングをしてありますので大丈夫」との記述がFAQ内にあります。ただし、口に入れるとさすがに危ないので、子供やペットの手の届かない場所においてくれ、みたいなことは書いてあります。ジョークグッズに近い製品だと思うんですが、ずいぶんと細かいことに気を使わないとならないんですね。さすが訴訟大国アメリカだ。
買おうと思った時に問題になってきそうなのは、法律的なところですね。撃つ前ならともかく、撃った後の弾について何らかの法規制をしている国または地域なんてものはないとは思うのですが、製品名に「BULLET」と入っている以上、日本から「これほしい、送ってください、お金払います」と連絡して簡単に輸入できるかどうかはちょっと微妙です。
通販についての法的な問題について書かれているコーナーもあり、例えば前述の通り、鉢植えの土替わりに使ってる22LRの薬莢についてはアメリカ国内でも規制がある地域があるそうでそういった注意点については書かれているのですが、海外、例えば日本なんかに輸出しようとしたときにどういった問題が生じる可能性があるのか、それは「やってみないとわからない」に近いものがあります。FAQにも「法的に問題があるとされて購入できない可能性もあるのでそこらへんは了承してくれ」という旨のことが書かれてます。
ダミーカートをアクセサリーに使うというのはけっこうメジャーですが、撃った後のエクスパンディングした弾を花の替りにアクセサリーに使うというのは、それに比べると少しは見た目的な言い訳が立つでしょうか。むしろ逆にアウトな方向に突き進んでいるのでしょうか。難しいところです。