[追記:2023年12月21日] 本日、各種媒体にて発表になったニュースにて、警察庁が発表した銃刀法の改正案が報じられました。内容は多岐にわたりますが、その中に「電磁石の磁力で弾丸を発射する「電磁石銃」についても、銃砲の対象に加え、原則所持することを禁止する」というものが含まれているとのことです。具体的な威力や規制対象となるものの大きさ(可搬性)などについてどう定義されるのかは未定ですが、少なくても銃刀法での規制対象になるということは確かです。当エントリーに書かれている内容は、この改正案が出てくる前の古いものになります。
「銃刀法違反」にはならないのは確かだが、捕まらないとは限らない。
日本で、銃砲に関連した規制だとか罰則だとかを定めている法律は銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)だ。その法律の冒頭に、銃砲の定義が書かれている。いろいろとゴチャゴチャと法律文章っぽい周りくどい書き方がされているが、ぶっちゃけて書いてしまうと「火薬か圧縮した気体を使って弾を撃つもの」というものだ。ということは逆に言えば、この定義に該当しないものは銃刀法における「銃砲」ではないということになる。
レールガンは電磁力を使って物体を加速するもの。火薬も圧縮した気体も使わない。だから銃刀法における「銃砲」には該当しない。そのため、たとえ一般的な銃と同じくらいの初速度・威力の弾を発射できる能力を持ったレールガンを製造したり所持していたりしたとしても、それが「銃刀法違反」になるということはまず考えられない。ここまでは確実だ。
photo : U.S.Navy
ただ、「銃刀法違反にはならない」ということがすなわち「捕まらない」ということと同じではない。日本には銃刀法以外にもたくさんの法律がある。もし「銃」と呼べる程度に小型で持ち運びができるレールガンを製造し、それを使ってなにか悪いことや危ないことをしたとか、それを計画しようとしていたという明確で客観的な証拠があるのなら、銃刀法とは別の法律によって違反とされたり、捕まったりするということはあるかもしれない。
銃刀法に限ったことではなく一般的な話として、司法の裏をかこうとしたり警察を欺こうとしたりといった行為を行った者は、単に法律違反をした者よりもはるかに厳しい追及をされることが多い。「法律で定義された『銃砲』じゃないから、装薬銃レベルの威力を持ったレールガンを作っても自分は無罪だ」なんて考え方は、まさにその「厳しい追及」をしてくださいと言わんばかりのものだ。世の中にはなぜ法律があり、決まりがあるのかということをちゃんと考えよう。
「ガンマメ~銃の豆知識~」では、銃のメカニズムや歴史などについて、難しい言葉を使わずわかりやすく、けれどいいかげんなことは書かずにできるだけ詳しく書いていきたいと思っています。毎週火曜日、週に一回のペースを目標に新しい記事を投稿できればと思っていますので末永くよろしくです。