製品レビュー

ノーベルアームズ・レティクル光る系スコープ3種

投稿日:2014年12月18日 更新日:

ノーベルアームズのイルミネートレティクルスコープを3種、手にする機会があったので簡単にレビューしてみます。けっして最新製品というわけではないのですが、そこそこ売れ筋製品のようなので参考になるかたも多いかと。

SURE HIT 1422 IR HIDE7 CQB
倍率:1~4倍
対物レンズ径:22mm
チューブ径:30mm
全長:265mm
重量:510g
価格:¥23,000(税抜)

TAC ONE 12424 IR
倍率:1.2~4倍
対物レンズ径:24mm
チューブ径:30mm
全長:263mm
重量:393g
価格:¥13,800(税抜)


TAC ONE 2824 IR

倍率:2~8倍
対物レンズ径:24mm
チューブ径:30mm
全長:288mm
重量:454g
価格:¥16,800(税抜)

SURE HIT 1422 IR HIDE7 CQB

倍率:1~4倍
対物レンズ径:22mm
チューブ径:30mm
全長:265mm
重量:510g
価格:¥23,000(税抜)

ノーベルアームズのライフルスコープには、大きくわけて「SURE HIT」シリーズと「TAC ONE」シリーズの2つのラインがある。SURE HITは「ハイクオリティでリーズナブル」、TAC ONEは「コストパフォーマンスに優れたエントリーモデル」という位置づけ。SURE HITのほうが「ちょっと高級品」と考えておけばOKだ。今回紹介する3機種の中でも、SURE HITシリーズに属するこの製品は頭ひとつ飛び抜けて値段が高い。といってもガチの超高級スコープみたいに何十万もするわけじゃなく、お小遣いで十分に手が届く範囲ではある。

値段の差がどこに出てくるか、細かいところを挙げればいろいろあるが、ひと目みてすぐに分かる違いといえばエレベーション/ウインデージ調節ノブの反対側にあるこの円筒形の突起物。これは、上下左右の調節をする際にスコープの中で動く部品を受け止めるバネが、安価なモデルによくある板バネではなくコイルスプリングになっている証拠だ。耐久性のアップと精度向上に繋がるという。
接眼レンズ(左)、対物レンズ(右)を始めとして内部に使われているものも含めて全てグリーンマルチコート。これはSURE HITシリーズだけでなくTAC ONEシリーズでも共通の仕様。
このスコープのユニークな点が、イルミネートレティクルの点灯/消灯をダイヤルではなくボタンで行うというところ。ドットサイト(ホロサイトなんかそうだね)だとそれほど珍しくないけれど、ライフルスコープでこれはちょっと他にみたことがない。ボタンをクリックすると、前回消灯したときと同じ明るさで点灯、押し続けると消灯する。点灯した状態でさらにクリックすると1段階ずつ明るくなっていき、最も明るくなったところでもう1度押すと消灯する。明るさ調節は全部で8段階だ。
CR2032電池を1つ使用する。ボタンの前方にある円筒形の部分がバッテリーケースだ。
エレベーション/ウインデージ調節ノブは、直接指で回せるタイプのもの。1クリック(一回、カチッと音がするだけ)回すと、レティクルが1/2MOA動く。一般的には1/4MOAが多いと思う。それより1クリックで2倍の移動量があるということだ。トイガン用として使うことを考えれば、これはむしろありがたい。実を言えばもっと移動量が大きくても良いくらいなのだが、精密な光学機器を広い範囲で操作するというのはいろいろとハードルが高いのだろう。
倍率は、1から4倍の可変式。「倍率1倍のスコープって、それってレンズ素通しとどう違うの?」と思われるかもしれないけれど、これがけっこう感覚的には全然異なる。低倍率スコープの宿命だが、銃を固定して頭の位置だけを動かすと、中心部分だけがレティクル中心に貼り付いてピタリと止まった状態で、像の周囲は歪んでうねうね動く感じになる。ドットサイト等とは別物と考えたほうがいいだろう。
レティクル形状はこんな感じ。太いレティクルが左右と下方にあって、上側と中心部分は細いレティクルになっている。太いレティクルは輪郭部分だけ、いわば「スケルトン」になっている。こういうのを「CQBタイプレティクル」とか呼ぶのだそうで、製品名の「CQB」もそこから来ている。左はレティクルを点灯したところ。
真っ暗なところでも試してみた。

TAC ONE 12424 IR

倍率:1.2~4倍
対物レンズ径:24mm
チューブ径:30mm
全長:263mm
重量:393g
価格:¥13,800(税抜)

では次に、エントリーモデルであるTAC ONEシリーズから、ショートズームスコープの定番となりつつある12424IRだ。1.2倍~4倍という使いやすい倍率、実際にアメリカ軍が使用しているスコープと形が良く似ている(丸コピーというわけではない)こと、調節ダイヤル類が大きくて扱いやすいこと、全長も重量も手頃で、実売価格も1万円と少しで手に入ることなど、オススメできる点が山ほどあり、売れている理由も良く分かる。

なんといっても、レティクルのイルミネートがちゃんと「使い物になる」ものだという点は大きい。レティクル光る系のトイガン用スコープということなら、もっと安くて見た目もホンモノのリューポルドとかとそっくりで見分け付かない感じのものがいくらでもあるが、実際にスイッチを入れて点灯してみるとレンズ全体が真っ赤に光り輝いてしまって、何かを狙うとかそんな騒ぎじゃない状態になってしまう製品ばかり。そんなのを買うくらいだったら、あとちょっとだけ予算を足して、「ホンモノと同等」の性能を持つこのスコープを買ったほうがずっと賢い買い物に違いない。

エレベーション/ウインデージ調節ノブは、直接指で回せるタイプ。調節量は1クリック1/4MOA。
調節ノブを何回転させたかがひとめで分かるインデックスが付いている。左の状態から、エレベーションノブを時計回り(DOWNの方向に1回転させたのが右。ノブの下端が「4」のラインに重なっていたのが、1回転させたものは「3」のラインに重なっているのが分かる。
レティクルの点灯色は赤のみ。明るさは全部で11段階に調節できる。左は「0」、つまり消灯した状態で、右は「8」、真ん中より少し明るめに調節した状態だ。
電池はCR2032を1個使用する。バッテリーキャップを外すときには一緒にロータリースイッチも回ってしまうので、片方の手でスイッチが回らないように抑えながらキャップを外すのがコツだ。
レティクルは、ミルドットレティクルと呼ばれているタイプのもの。
点灯させたときには、中心にあるミルドットの部分だけが光る。
暗いところでも試してみた。

TAC ONE 2824 IR

倍率:2~8倍
対物レンズ径:24mm
チューブ径:30mm
全長:288mm
重量:454g
価格:¥16,800(税抜)

最後は、比較的新しい製品である2824IR。確か、発売は今年の12月に入ってからだったと思う。最大の特徴は、なんといってもレティクルの発光色が「赤/緑/青」の3色切り替えができるという点だ。

「3色切り替えのイルミネートレティクル」というと、正直言えばあんまり良い印象がない。色の切り替えができます!って大々的にアピールして売られているイルミネートレティクルスコープの多くが、はっきりいってろくでもないものばかりだったせいだ。ノーベルアームズが作るのだから、ちゃんとしたものなのだろうとは思うのだけれど、だからといってなんでわざわざ3色に光らないとならないのか、って疑問が先に立ってしまった。

なにはともあれ、各部分を見ていこう。

エレベーション/ウインデージ調節ノブは、12424IRとほぼ同じ。インデックス機能も同様だ。
倍率は2倍から8倍。12424IRの「1.2倍から4倍」に比べると、ざっと倍になっている計算になる。8倍ともなるとトイガン用としてはけっこうな精密射撃用途に限定される。
点灯/消灯、色の切り替え、明るさの調節は全て左側面にあるロータリースイッチを用いて行う。手前の白いドットに「R/G/B」のアルファベットを合わせている状態が消灯。「1/2/3」の数字に合わせると、その数字の色にレティクルが点灯する。
では、実際にレティクルがどんな具合に見えるのかを写真で紹介。まずはイルミネートをOFF、つまり消灯した状態。ごく普通のミルドットレティクルだ。
左から、青/緑/赤に点灯したところ。中心のミルドット部分だけが光る……というより、「色づく」といったほうが適切かもしれない。
暗い所でも試してみた。こちらは、明確に「光っている」というのが分かる。

色を切り替えたからといって、レティクルの位置や見え方がズレたりするようなことはもちろんない。明るさを最大にしても、レンズ内で乱反射して視界を邪魔するようなこともない。一言でいえば、「まったく申し分がない」イルミネートレティクルスコープなのだけれど……。

やはり、どうしても解せないのが、「なんで、3色に切り替える必要があるんだろう?」という点だ。赤色だと狙いにくいが、緑や青だと狙いやすい状況というのが、私の経験不足か想像不足のせいなのだろうとは思うけれど、どうしても想定できないのだ。

「3色切り替えというのは、こういうシーンで役に立つんだよ!」ってことを経験なり知識なりで説明できる方、いらっしゃいましたらぜひ当エントリーのコメント欄までご意見をお寄せください。お願いします!

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