射撃のコツ

はじみつ(2)~銃の握り方

投稿日:2011年4月9日 更新日:

エアピストル(実銃)の話だが、昔、何かの拍子ですごく良い感じでグリップを握れたことがあった。構えると、サイトは気持よく黒丸の下に吸い寄せられるように止まり、弾を撃ってもピクリともしない。もう、撃っても撃っても当たり前のように10点に入る。

すごい、俺って天才じゃないかと思ったのも、そのときだけ。銃を手放して握り直した時には、いつもどおりに戻ってしまった。一度限りの「神のグリップ」だった…。

そのくらい、精密射撃においてグリップというのは重要だ。上手く握れたかどうかで点数がダイレクトに上下する。ぎゅっと握ってトリガーを引けばいいんだろう、なんて簡単なものじゃなく、どのくらい深く、どんな圧力で握るか? それが上手く出来ているかどうか、そしてなによりも大事なのが、何回握っても同じ形で再現できるということだ。いくら「神のグリップ」でも、一回こっきりの夢に終わってしまってはどうしようもない。

グリップの握り方を順番に見ていこう。まず、銃を握るのと反対側の手(右利きの場合は左手)で銃身をつかみ、銃を持つ。

グリップを手のひらに押し付ける。親指と人差し指でできるV字の中心に、銃の中心線がくるような形で押し付けることが大事だ。ここで、手をしっかりグリップの奥の方まで押しこんでやる。

人差し指はトリガーにかけないまま、他の指をグリップの周りに巻きつけるようにして置いていく。中指はトリガーガードに触れないように。すべての指が「いつもの場所」に置かれたことを確認したら、一度指を緩めて、握る力の全体のバランスを整える。

握る力の強さは重要だ。強すぎるとスムーズにトリガーを引けなくなる。かといって弱すぎると、トリガーが本来の重さ以上に重く感じてしまう。

グリップの握り方でありがちな「間違い」は、真っ直ぐ握れていないことだ。人差し指と親指で作るV字の中心に銃の中心を持ってくるように握るのだが、それができていれば左のように手のひらの「たなごころ」に相当する部分がグリップにギュッと押し付けられる形になる。だが銃を「横から握る」形になると、左のようにそこに隙間ができてしまう。

この間違いは、トリガーが遠すぎることによって起こることが多い。遠すぎるトリガーに無理に指を届かせようとした結果、握る部分が右にズレてしまい隙間があいてしまうのだ。こうならないためには、正しい位置にトリガーを持ってくる(トリガーを十分に近づける)必要がある。

正しいトリガーの位置、それはトリガーを真っ直ぐ後ろに引ける位置のこと。具体的には、指の腹の部分とトリガー表面が90度の角度で接するようになればいい。

競技用ピストルならば、前後位置の調整は付属工具を使って簡単にできるはずだ。APS-3なら相当に手が小さくてもノーマル状態での調整範囲で十分間に合うが、APS-1グランドマスターの場合は若干の加工、あるいは工夫が必要になる場合がある。そのやり方については前回に述べたとおりだ
※参考文献:オリンピック・ピストル・シューティング(日本ライフル射撃協会編・三野卓哉著)


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