Q:ハイパワーなバッテリーを使えば、威力もパワーアップする?
A:バッテリーのパワーは、威力とは関係ありません。
電動ガンは、バッテリーで動かすモーターの力でギヤを回し、スプリングを縮めて、その縮んだスプリングが伸びるときの力でピストンを前進させて空気を吹き出し、その力でBB弾を飛ばすものです。バッテリーのパワーを上げればモーターがより勢い良く回るので、歯車が回るスピードも早くなります。けれど使っているスプリングは同じなのでそれを縮めるのに必要な力も、当たり前ですがそれが伸びる時に発生する力も変わりません。
電動ガンがどういう仕組みでBB弾を発射しているかを簡単にアニメーションにしてみました。モーターが歯車を回し、歯車がピストンを後退させ、後退したピストンがスプリングを縮め、最後に歯車がピストンから外れたとたんにスプリングの力でピストンが勢い良く前進してエアを吹き出し、BB弾を発射します。
バッテリーをハイパワーなものに変えるとモーターが回るスピードが速くなるので、ピストンが後退するスピードも速くなります。しかしスプリングの力は変わらないのでピストンが前進するスピードは変わりません。そのため、サイクルが速くなっても発射されるBB弾の威力は変わらないのです。
それどころか、むやみにハイパワーなバッテリーを使って歯車の回転速度をあげると別のトラブルの原因になります。上図を見ると分かる通り、3枚ある歯車のうち直接ピストンと噛み合っている最後の1枚(セクターギアと呼びます)は、周囲全てに歯があるわけではなく半分とちょっとだけに歯が付いていて、残りはツルツルの状態です。そのツルツルのところで歯車が空回りしているスキにピストンが前進するわけです。
歯車の回転数が必要以上に速くなってしまうと、ピストンが前進する前に歯車の「歯が付いている部分」が回ってきてしまうことになります。勢い良く前進しているピストンの歯の途中にいきなり歯車の歯がぶち当たるわけで、ほぼ確実にピストンあるいは歯車のどちらかが壊れます。ピストンクラッシュと呼ばれます。カスタムしているとけっこう頻発するトラブルということもあり、省略した「ピスクラ」なんて呼び方をする人もいるくらいです。