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【ガンマメ】電動ガン用バッテリーの選び方 (3) ~ニッケル水素バッテリー~

投稿日:2015年9月24日 更新日:

現在の「純正」、ニッケル水素バッテリー

bat01価格や取り扱いのしやすさ、安全性などの「製品としてのバランス」が優れていることから、現在電動ガン用の「純正バッテリー」として使われているニッケル水素バッテリー。※写真は純正ではなくイーグルフォース製。

数年前、東京マルイはニッカドバッテリーの販売を終了し、全ての電動ガンの「純正バッテリー」をニッケル水素に切り替えた。それにともない、ラージバッテリー仕様の電動ガンは変換ケーブルを使うことでミニバッテリーに対応、電圧やサイクルの関係でニッケル水素に対応できない製品は廃盤となった。

容量はニッカドの約2倍

ニッケル水素バッテリーの、ニッカドバッテリーに比べた時の大きな利点は容量の大きさである。同じサイズ(ミニSサイズ)で比較すると、ニッカドの600mAhに対してニッケル水素は1300mAh(両方とも東京マルイ純正)と倍以上の容量がある。ニッカドでは替えバッテリーがなければ不安だったが、ニッケル水素ならバラマキ戦でもなければ1本もあれば十分、1日中サバイバルゲームができる。もう1本の予備があればなお安心だ。
 

bat15ニッケル水素バッテリーは、同じ大きさでもニッカドバッテリーの倍以上もの容量がある。

ニッカドでやっかいだったメモリー効果についても、いちおうあるにはあるのだがそれほど大きな影響はないので、基本的には「継ぎ足し充電」でも大丈夫だ。電動ラジコンカーのレースに使うような場合は、バッテリーの性能が勝敗に直結するため「ニッカドだろうがニッスイだろうが、綿密な放電・充電の管理は必須」と言われるが、電動ガンの場合はバッテリーの性能が少々落ちたところで発射されるBB弾のパワーも飛距離も変わらないので、たいして気にする必要はない。

弱点は過放電に弱いこと

ニッスイには欠点もある。フル充電されたところにさらに無理に充電を行う「過充電」と、中身が空っぽになった状態でさらに放電を行う「過放電」に弱いのだ。特に過放電には弱い。「ニッスイはニッカドに比べてすぐダメになる」という話の原因の大半はおそらく過放電によるものだと思われる。

厄介なことに、ニッケル水素バッテリーはエアガンに繋がずにほったらかしにしておいても、少しずつ放電して中身が減っていってしまう。過放電に弱いのに加えてそういった「自然放電」があるため、保管時にはある程度バッテリーを充電した状態にしておき、定期的に充電しなおしてやる必要がある。そうしないと自然放電だけで過放電してしまいバッテリーが終了してしまうからだ。
 

bat16ニッケル水素バッテリーは、何にも繋がずにほったらかしにしてあっても少しずつ放電していく「自然放電」の量が多いという特徴がある。使いさしのバッテリーをそのまま放置すると、自然放電だけでバッテリーが「それ以上放電すると危ない」という過放電ラインを超えてしまい、再充電することができない「死んだバッテリー」になってしまうことがある。
※イラストではわかりやすいようにコネクターから空気中に電力が放出されているような描き方になっているが、実際にはそうではない。念のため

過放電が、バッテリーにダメージを与えるという点ではニッカドもニッスイも同じだが、問題はニッスイは「過放電となるライン」がニッカドよりもずっと高いことだ。
 

bat17「フルオートの動きが少しゆっくりになってきたけれど、まだまだ撃てる」という状態は、ニッカドバッテリーならば問題ないがニッケル水素バッテリーの場合は「すぐに撃つのをやめないとダメ」な危険ラインに近づいている。

ニッカドの場合、電動ガンの動きがゆっくりになり、ついには止まってしまうところまでバッテリーを使っても問題ない。それどころか、さらにそこから放電器につないでバッテリーを「使い切った状態」にしてやる必要すらある。しかしニッケル水素バッテリーの場合、電動ガンの動きが目に見えてゆっくりになってきたその時点で、既に「使いきった状態」に近 い。すぐにエアガンからバッテリーを外して充電を始めないと、バッテリーが二度と充電できない「終わった」状態になってしまいかねない、危険な状況だ。

長い間ニッカドバッテリーをずっと使ってきた人だと、「バッテリーは動かなくなるまで使って、さらに放電器も使って放電しないと、メモリー効果でダメになってしまう」という強い信念を持っている場合がある。ニッスイを使っている時もニッカドと同じように電動ガンが動かなくなるまで撃ったり、あまつさえニッカドバッテリー用の放電器に繋いで放電まで行ってしまったりする。本人はバッテリーを大事にするつもりでやっていることなのかもしれないが、実はそれはニッケル水素バッテリーに対しては「バッテリーに深刻なダメージを与える、絶対にやってはいけないこと」の一つである。
 

bat18電動ガンで使う場合に限れば、ニッケル水素バッテリーに放電の必要はない。どうしても放電を行いたいのならニッケル水素バッテリー専用の放電器を使わなければならない。ニッカド用の放電器をニッスイに繋いで放電してしまうと、バッテリーに深刻なダメージを与えてしまう。絶対にやってはいけない。

急速充電ばかりだと見かけ上の容量が減ってしまう

bat07ニッケル水素バッテリーもニッカドバッテリーも、プラスチックフィルムの中には「セル」と呼ばれる小さな円筒形のパーツが7本入っている。7つのセルはフィルムの中で直列に接続されている。1つのセルは1.2V。それが7本あるのでバッテリー全体では1.2×7=8.4Vの出力があるという計算になる。

カドが丸くなった長方体というか、パイプを幅広にしたというか、とにかく一個のカタマリとして販売され使っている電動ガン用のバッテリーだが、実はその中身は一つのカタマリというわけではない。小さい円筒形の「セル」と呼ばれるパーツが7本組み合わされていて、それをプラスチック製のフィルムで覆ってあるものだ。

7本のセルは直列に接続されている。充電を行う時は7本全部にまとめて電流が流れるし、電動ガンに繋いで撃つときには7本全部からまとめて電力が放出される。ここで問題になってくるのは、7本のセルはその全てが完璧に同じ性質というわけではない、という点だ。7本の中には元気一杯なヤツもいれば、少しやる気のないヤツもいる。やたらとタフなヤツもいれば、ちょっとひ弱なヤツもいる。もちろんメーカーとしては可能な限り同じ品質・同じ性質のセルを組み合わせるように努力しているし、それこそが高品質なバッテリーを作るためのメーカーの腕の見せ所ではあるのだけれど、「未来永劫にわたって完璧に同じ品質」にするなんてのは絶対に無理な話だ。

そのため、長く使っていると7つのセルの間で少しずつ充電されている容量に差が出てきてしまう。「セル間のバランスが崩れる」という言い方をする。これは、特に急速充電を何度も繰り返した時に顕著だ。
 

bat19急速充電器は、バッテリーがフル充電された時に出る特殊な電圧変化(デルタピークという)を検知することで充電を終了させる。セル間のバランスが崩れると、先にフル充電されたセルが出す電圧変化によって充電が終了してしまうので、他のセルはまだ充電されていないままになる。これを繰り返すとバランスの崩れはより激しいものとなっていき、見かけ上の容量が減っていくことになる。

バランスが整った状態に戻す方法はいくつかあるが、大手バッテリーメーカーの一つであるイーグルフォースが推奨するのは「低い電流での長時間の充電」を行うことだ。充電時の電流値を設定できる高機能な充電器ならば「0.1~0.2A」くらいを設定する。そんなものを持っていなくても充電完了に何時間もかかる「低速充電器」を使っても大丈夫。充電終了まで5時間以上は余裕でかかるので、時間的余裕があるときにやっておこう。
 

bat20低電流による長時間充電を行うことで、セル間のバランスを戻すことができる。先に充電が終了してしまったセルに対しては若干の「過充電」を行うことになるが、低い電流ならば過充電分は熱として安全に放出される。その間に、充電しきれていなかった他のセルも十分に充電されるというわけだ。

ニッケル水素バッテリーは、ニッカドバッテリーに比べると少し「繊細」な部分があるバッテリーだ。放置しているだけでバッテリーがダメになってしまう可能性があるため定期的に充電してやる必要があること。極端に寒い時などは電圧が落ちてしまい電動ガンが上手く動かないことがあること。充電するときにはニッカドバッテリーほどの急速充電は無理なので、ミニSバッテリーを使いきった状態からフル充電するには1時間以上もかかってしまうことなどだ。

とはいえ、そういったいくつかの「ちょっとしたこと」だけを気をつければ、そう簡単にバッテリーがダメになることもない。電動ガンに対して無茶な改造(ヒューズを取り去るとか)をしていなければ、発火したり爆発したりといったシャレにならない事故を起こすことも、まずありえない。なにより、「純正」であるという安心感は心強いものがある。

ニッケル水素バッテリーまとめ

良い点

  • 容量が多い
  • メモリー効果が少ない
  • 純正である

悪い点

  • 暑さ・寒さに弱い
  • あまり無茶な急速充電はできない
  • 自然放電があるので、保管時は過放電に気をつける必要がある

【ガンマメ】電動ガン用バッテリーの選び方 (1)
【ガンマメ】電動ガン用バッテリーの選び方 (2)
【ガンマメ】電動ガン用バッテリーの選び方 (4) [2015年9月27日公開予定]

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