一般のシューティングレンジで標的交換器を何台も備えるなんてのは無理ですから、「ひたすらブルズアイ」ではA4大のターゲットペーパーに印刷した5つのブルズアイターゲットを撃ちます。いわゆる五文的ってやつですね。ここで射手を悩ませるのは、別のターゲットに移るときのスタンスの変化です。
上下方向は姿勢の変化(息を吸う、吐く、止める、そのタイミング)で対応できますが、左右方向は足の位置から変える必要があります。見ていると、ターゲットを移るたびに立つ位置を変化する人もけっこう多いみたいですが、両足とも動かさないとならないから大掛かりな動きになってしまうということと、場合によっては隣で撃ってる射手の邪魔になってしまうこともあるという問題もあります。
おすすめは、左右どちらかの足を少しだけ前、あるいは後ろに移動して角度を変えてやることですね。具体的にどのくらい足を踏み出してやればいいのかを計算してみました。
標的までの距離は5m(5000mm)。左右の標的の間は135mmですから、右のターゲットから左のターゲットに移動するときは、片足を「8mm」踏み出すだけでOKです(足幅を30cmとして計算)。実際には中心のターゲットがありますから、手順としては「1.まず左のターゲット、上下2つを撃つ」「2.左足を4mmだけ前に踏み出して、中心のターゲットを撃つ」「3.さらに左足を4mm前に踏み出して、残った右のターゲットの上下2つを撃つ」と、こんな感じになります。もちろん、左のターゲットから開始して左足を後ろに下げていっても構いません。
「斜めにすると、その分だけ距離が増えてしまうじゃないか」という理由から、平行移動にこだわる人もいますが、ナンセンスです。上の図でまっすぐ撃った時と、右のターゲットを撃つために斜めになった時と、ターゲットまでの距離の変化は2mmにも足りません(1.8mm)。無視してしまっても全く問題ない差だと言っていいでしょう。
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