昨年の2月、「ISSFがファイナルのルールを大きく変えた」というニュースがありました。かなりややこしいルールだったこともあり、新ルールはどういうものなのか解説する記事と、海外の射撃掲示板での評判を紹介する記事の2つを投稿しています。
2022年からファイナルが大きく変わる
【海外の反応】新しいファイナルルールについて
ライフルショップエニスの公式動画でも新ルールを紹介する動画がUPされたりと、まあとにかく、これまでとは全然違う上に理解するのにそれなりの頑張りが必要なレベルで複雑な新ルールだったわけです。
海外掲示板での評判は、ざっくりとまとめて言えば悪評の嵐。褒める人なんかほとんどいない、そんな感じで歓迎する人はほぼゼロに近い状況でした。
大丈夫なのかコレ……と思ってたのですが、新ルールが発表された2ヶ月後に、「やっぱやめます、こっちが新・新ルールです」ってのがまた新しく発表されました。最初のに比べればずいぶんとシンプルになっていてわかりやすいルールになっていました。
これなら、まあ大丈夫かな……と思ってたのですが、今年の4月になって衝撃的なニュースが発表されました。それがどういうニュースだったのかは……、とりあえず、前回の記事から後に投稿された海外掲示板の書き込みを抜粋しながら皆さんの反応を見ていきましょう。
【海外の反応】新しいファイナルルールについて(続編)
引用元 : The New ISSF Air Pistol Finals Format
- これを言ったところで何か意味があるかどうかはわかりませんが……。YoutubeのISSFチャンネルにUPされたクロアチアWCのエアピストルファイナルの動画ですが、UPされてから1か月の様子を見ていると再生回数がいつもにくらべて少ないように見えます。理由として考えられるのは、新しいファイナルのルールが観客にとって優しいものとはなってないからだと思われます。
ISSF 理事会メンバーと USA Shooting 理事会メンバーに送った、新しいファイナルルールに抗議する電子メールですが、現時点でまだ返答がありません。ISSFからの詳細な返答を期待していたわけではありませんが、私が実際に所属しているUSA Shootingからは返答をいただけるものだと思っていました。
それならそれで結構です。全部ムチャクチャにしてください。オリンピックから射撃を排除し、射撃者が子供じみた学芸会みたいなイベントではない、有意義な競技に参加できるようにしましょう。(B・ラファティ)
- 9.7を撃っても他がもっと悪ければ高ポイントを与えられ、10.3を撃っても他がもっと良ければ低ポイントしか得られないなんてルールは、何かが間違っています。現在の採点システムが使用されている限り、私は今後決勝戦を観戦するつもりはありません。(FWB_700_Alu/ドイツ、ピルマゼンス)
- 昨夜、エジプトで行われたISSF決勝戦のライブフィードを見つけました。数分間見ましたが、何が起こっているのかわからず、見るのをやめました。私はワールドクラスの射撃の選手ではありませんが、スポーツに興味を持って積極的に参加している人ですらそっぽを向くようなスポーツは深刻な問題があるということはわかります。
これらの変更を行うのは誰ですか? 彼らは選出されてその地位に就いているのでしょうか? 前のルールのままでなんの問題もなかったのに!(トディンジャックス)
- ISSF ジャッジライセンスを取得するために何年も努力して、そしてこれになりました。
2012年のロンドン以来、決勝戦のフォーマットは何回変更されたでしょうか?
混合チーム戦は導入されてから何回変わりましたか?
ルールブックを熟読して現場での経験を積み重ねる、なんてやり方は今はもう不可能です。ルールがくるくる変わっても即座に更新できるように永続的なWi-Fi接続が必要です。(レンゾ/アルゼンチン、サンタフェ)
- 新・新ルールが発表されましたよwww
ISSF Information (2022/04/04)
(スペンサー/シドニー、オーストラリア)
・上位8人がファイナルへ。得点は0に戻る。
・250秒5発を3回、合計15発をまず撃つ。
・15発撃った時点で7位と8位は脱落。
・残り6人で250秒5発を撃ち、合計20発の5位と6位が脱落。
・残り4人で250秒5発を撃つ。3位(銅メダル確定)と4位はそこで終了。
・残った2人でゴールドメダルマッチ。ポイント制で16ポイント先取したほうが金メダル確定。
- 私の意見ですが、この新・新ルールは以前と比べれば大幅に改善されました。彼らはゴールドメダルマッチのアイデアを残すことにこだわりましたが、そこに至るまでのプロセスは、少なくても射手からすれば優れたものです。ポイント制は残されていますが、合理化されています。同点だった場合にポイントを折半する関係で小数点が混じったややこしいものになっていましたが、1位・2位の決定だけで行われる(つまり1 vs 1の局面でしか行われない)ことで複雑さが取り除かれました。また、1発ごとではなく5発ごとにグループ化することで、全部50秒ごとに1発ずつ撃ってたときに比べてサクサクと進行するようになりましたし、射手は自然なリズムに近づけることができます。全体的に、これは以前の形式と比較しても複雑さが軽減されています。
審査員や主催者にとっても、これはもっと良いことだと思いますか? すべてのショットを細かく管理するのではなく、一度に 5つのショットを連続してコマンドを実行するだけで済みます。ステージが少なくなります。中断が少なくなったことで流れが良くなりました。構造的には、制限時間がわずかに異なる25メートル種目の精密なステージです。
私の意見では、これは正しい方向への大きな一歩です。(グリッピー)
- リオワールドカップイベントの完全な報道はまだ見ていませんが、撃った得点がちゃんと得点になるところと、ショットを5回のシリーズにグループ化するこのやり方は間違いなく気に入りました。私にとって決勝戦を見て興奮したのは、シュート間のマージンがどれほど小さいかを確認することでした。わずかコンマ1点差でレベルの高さを実感します。そして、この新・新ルールはそれを取り戻してくれるはずです。(チャーリーモウ13/ウェストヨークシャー、イングランド、英国)
- >オリンピックから射撃を排除し、射撃者が子供じみた学芸会みたいなイベントではない、有意義な競技に参加できるようにしましょう。
ここは地球の下側(※)ですが、私たちは射撃がオリンピックに残ることを願っています。それは、銃規制の狂信者からの無慈悲な攻撃に抵抗する私たちの能力の主力の一つです。国際射撃競技会が存在する限り、私たちの多くは銃器の所有について議論を交わします。(ボブジー/シドニー、オーストラリア)
- ジュニア女子の試合を見てきました。
おおおおぉ、これは良いです!
このファイナル形式に慣れるまでに少し時間がかかりましたが、シューターとしては少し支離滅裂に感じるかもしれないと思います。私は物事に没頭し、自分のペースで働くのが好きです。(ボブ)
- 私が解説者に欠けていると思うのは、知識を伝えることです。上手に撃つする方法、戦術、トレーニング方法、ルールなどを詳細に説明することです。今ではある程度はそれが行われるようになっていますが、数が少なく、曖昧です。それは大変な仕事です!
また、射撃の大会動画に足りないことの一つは、止まったものを映すばかりではなく、撃つ瞬間をしっかりと伝えることです。顔や銃のアップを延々と写してるだけで退屈さが増します。いくつか良い放送があり、2人のシューティングゲームを並べて見ることができるのがとても気に入っています。
最終的なフォーマットに関する実験に感謝します。私のお気に入りは、8人のシューターが 0からスタートし、エリミネーションが行われるゲームです。よりサスペンスがあり、接戦の決勝でランキングが変わるのを見るのはスリルがあります。(ラモンOP/ベルギー、ブリュッセル)
- 新ルールをボロクソにけなしてた私ですが――今週(2022年10月)のカイロWCh(世界選手権)では修正されたと思いました。
1. 5発(ファイナリスト8名全員)
2. さらに5発(順位が発表)
3. 5発(7位と8位が決定)
4. 5発(6位と5位が決定)
5. 5発「アワード」(4位と銅メダルが決定)※(銅メダルの決まりかたは好きではありません――シュートオフであるべきです)
6. 金メダルを決めるシュートオフ(得点が上回れば2ポイント、同点なら両方に1ポイント、16ポイント先取で勝利)
ぜひ、金メダルのシュートオフまで真剣に見てください。群衆にアピールするためだけに知恵を絞ったルールだと思いますが、これは勝者です。(アトミックゲイル)
ああ……っ! パブロ・コロスチノフ(ウクライナ)が出てる! 良かった! 生きててくれたんだ!
(メダリストですら戦場に出ていて戦死者も出てるってニュースになってたんで本気で心配してたんです)
けど、おヒゲ似合わねーww
- 私は射撃を初めたばかりの射手なので、YouTubeで試合を視聴することになります。私はエアライフルから始めましたが、たとえば 2014 年に見た古いもののほうがはるかに興味深いことがわかりました。その後、いくつかのルール変更があり、音楽が追加された時期がありました (溜息)。
さらにルールが変更されました。スポーツに詳しくない人の観点から見ると、すべての変更は有害であると感じました。うまく表現されていると、不思議と夢中になって観てしまうのです。
視聴率の鍵となるのは、イベントの技術的なプレゼンテーションである可能性が高くなります。以前のビデオでは、銃を持ってステーションに立っている銃撃者を紹介していました。これには 2つの効果があります。見た目だけでなく、どのブランドのライフルを撃っているかによって、その人を認識できるようになります。この形式では、FWBまたはその代表する国を応援するという動機で、誰か特定の選手に思い入れを持つことができます。
それから彼らはサイドからロングショットの「ウォークアウト」をし始めました。その時点ではビデオカメラは 固定されていて、個々のシュートを映すことなど気にせず、スコアだけがすべてのように見えます。最近のピストルの試合をいくつか観ましたが、クローズアップはほとんどありません。
スコアはシュート中ではなく、シュート後に表示されましたが、これは興味を削がせるものでした。
ビデオ制作に携わってきた者として、私は誰かを特定して応援するという点で、私が観た昔の大会の方が優れていると常々思っていました。ルールをいじったり、音楽を追加したりすることで、より参加者が参加できると彼らが考えるのはおかしな話です。
私には古いルールの方が理にかなっていましたが、最近の試合は元に戻ったような気がします。エアライフルで0.1点差で勝利が決まったときは興奮しました。見ているうちに選手の顔と名前が一致し、自然と応援し始めた人々がいました。それが魅力的なのです。シューターの表示と得点の視覚的なバランスです。
私も気に入っている優れたコメンテーターが何人かいます。ピストルも同様。何が起こっているのか、誰が何をしているのか知りたいだけです。プレゼンテーションは場所によって異なるようですが、一貫したビジュアル制作が視聴者の興味をさらに高めるでしょう。そして、私はポイント制よりもスコアの集計が好きですが、それは私だけかもしれません。(シャウゼン)
- >ぜひ、金メダルのシュートオフまで真剣に見てください。群衆にアピールするためだけに知恵を絞ったルールだと思いますが、これは勝者です。
これまでに比べれば遥かに良いですねコレ!(B・ラファティ)
- ISSFはついに新ルールを導入することは諦めて、「昔の」24 ショットの決勝戦に戻ったようです。
NEW Final Formats from 2023
(グリッピー)
- えww嘘だろww(Jチーム/ニュージーランド)
いやもうほんとに。
最後にリンクされているISSFのニュースに書かれてることを簡単に書くとこんな感じです。「2024パリ五輪では、2020東京五輪とほぼ同じルールになる。5/8のバクーWCから適用になる」
ポイント制だの、ファイナル出場の8人を4人ずつの2グループに分けるだの、やっぱりそれはやめて8人で同時に撃ち始めることにするだの、いろいろと紆余曲折があって振り回された挙げ句が、「やっぱり2020TOKYOの時のルールのままでいきます」ってのは、「まじかよふざけんな」とか「全世界のISSF射撃やってる射手を舐め腐るのもいい加減にしろ」とか、そのくらいの罵詈雑言を浴びせられても仕方ないレベルじゃないかと。
もしかして、国際的なスポーツの細かいルールが変化する過程って、どのスポーツでも実は似たようなものだったりするのでしょうか。