実銃射撃

全日本選手権で優勝したことを全力でアピールします

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全日本選手権というのは、国内の射撃競技大会の中でも最高峰に位置づけられているものです。将来的になんかピストル射撃関連の本とか書くときに、著者プロフィールの戦歴に「2022年 全日本選手権(50mピストル)優勝」って書けるくらいです。ものごっついトロフィーには、ものすごいビッグネームが書かれたペナントリボンがふっさふっさとぶら下がってます。本来ならこんな中に私ごときの名前を紛れ込ませることなんか絶対に不可能だったりします。

50mピストル(かつてはフリーピストルと呼ばれていました)という競技があります。火薬で鉛弾を撃つ(22LR)、いわゆる「ホンモノのピストル」を使って50m先にあるターゲットを撃つ競技です。「恐ろしく難しい」という形容詞付きで語られることが多い競技で、実際にそのとおりだと感じることもしょっちゅうです。

フリーピストルは、私がピストル射撃競技なんてもんに興味を持ったきっかけでもあります。1980年代に月刊GunでTurkさんが書いていたヘンメリーのフリーピストルを紹介する記事を見て、「世の中にはこんなスポーツが、そしてそれ専用のこんな銃があるんだ」と、そりゃもう大きな衝撃を受けたのを覚えています。APSからハンドライフル、エアピストルと競技ピストル所持の道へとためらうことなく進んだのも、いつかはフリーピストルを所持するんだって目標があったからです。実際には所持までずいぶんと時間がかかってしまいましたが。

ようやく所持できたと思った途端、ちょっとした事件が起こります。50mピストルがオリンピックの公式種目から外れてしまったのです。私自身がオリンピックに出れるかどうかっつったら、そりゃもう相当に難しい(優しい表現)のだから関係ねーだろと思いきや、問題は実はそう簡単なもんじゃないのです。本来なら日本国内じゃ所持できないホンモノのピストルなんてものを所持するのが合法となってる最大の理由が、「国際大会などに出場する候補選手であるため」というものだったりするんです。候補選手ってのも難しいですがそれ以前の問題として、対象となる国際大会が無くなっちゃったら、そもそも所持できる根拠がなくなってしまうということになりかねません。といっても一時的に競技が五輪種目から外れたってだけで所持許可取り消しになったりはしませんが。

大きな影響があったのが、大会に「プロの人たち」が出てこなくなったことです。ピストル競技の場合は基本的には警察の特連の人たちですね。彼らは仕事として競技をやってますから、我々普通の社会人のように「仕事がおやすみの日に自腹で射撃場まで来て大会に参加する」というわけじゃなく、仕事の一環として休日に開催される大会に銃を持ってやってきて射座に並んで撃ってる、下世話な言い方すれば税金で競技してるわけです。「その大会で優勝したとしても、その先(国際大会)が現状開催されていない」となると、組織の側から参加する許可がでないということになってしまいます。個人名義で所有してる銃で休日に自腹で大会に参加する、なんて自由なことはできないのが公務員ってものらしいです。

50mピストルがオリンピックの種目にあったころ、つまり特連の人たちも50mピストル競技に普通に参加していた過去の成績をみると、優勝スコアといったら550点とか560点とかそこらへんです。彼らが参加しなくなって民間人だけになってからは、500点超えればまあ良い方、510点も撃てればほぼ確実に優勝って感じになりました。悔しいですがやっぱり実力の差は歴然としています。

私の今回のスコアは528点。「民間人が撃った50mピストルのスコア」としては相当に良いスコアではあるのですが(もっと上を撃つ民間人もいます、念のため)、特連の人たちが過去に全日本選手権で撃ってたスコアには遠く及びません。結局のところ、「プロが参加しなくなった大会だから、雑魚のような点数を撃っても優勝できただけで、別にすごくともなんともない」って言われてしまったら、おっしゃるとおりです返す言葉もありませんとしか言いようがないわけです……。

とはいえ!

優勝は優勝です!

誰がなんと言おうとこのトロフィーは1年間は私のもんです!

リボン何色にしようかな!?
※自腹で買って付けるらしいです

なお、聞いた話によると来年(2023年度)から、ISSFワールドカップにおいて50mピストルが復活することになったそうです。それに伴い、日本国内の50mピストル競技大会もワールドカップ派遣選手選考会を兼ねるようになります。となれば当然のことながら、「プロの人たち」も参加するようになります。数少ない民間人50mピストル射手にとっては短い天下が終わりを告げるわけです……。

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