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50mピストル競技が無くなるって、どのくらいマジな話なの?【海外の反応】

投稿日:2016年5月27日 更新日:

十何年越しで4段ゲットに成功し、50mピストル(フリーピストル)所持に向けて推薦手続きに入っている私ですが、その一方で50mピストルがオリンピック競技から外されるんじゃないかという噂も耳にして戦々恐々としてたりします……いや、自分がオリンピック出れる可能性なんてゼロに等しいんですが。

海外の射撃競技系掲示板でも、そのことが話題になっています。自信満々に真反対のことを断言する人が複数いたりするあたりは日本のネット掲示板とたいして変わりませんが、世界各国から入ってくる情報ということで日本だけであーだこーだ言ってるよりは有意義な情報になるのではないかと、簡単に抜粋してみました。

読む前に基礎知識……それぞれの競技の正式な呼び方というのが、ここ数年で変わっているので、文中の表記も揺れています。統一してもいいんですがニュアンスを残したいのでできるだけ元の文にある表記そのままで翻訳しています。簡単に言うと下記のようになります。

●男子競技
フリーピストル=FP=50mピストル(60発)
エアピストル=AP=10mピストル(60発)
ラピッドファイアピストル=RFP=25mRFP

●女子競技
スポーツピストル=SP=25mピストル
エアピストル=AP=10mピストル(40発)

フリーピストルが公式競技では無くなる可能性?

引用元:TargetTalk


  • 50mピストル用の射撃場は、他のスポーツには一切利用できない専用のものです。そういった理由から、50mピストルがオリンピックの公式競技ではなくなる可能性もあるのではないかと思います。もしそれが現実になるなら、すでに(アメリカを含み)極めてマイナーになってしまっている50mピストル競技にどんな影響があるでしょうか?
    私は現在、新しいフリーピストルを購入するか、それともラピッドファイアピストルを新しく始めるか迷っているところなんです。(アメリカ)

    →>50mピストル用の射撃場は、他のスポーツには一切利用できない専用のもの
    そんなことはないでしょう。50mピストルは、50mライフルと基本的に同じ射場を使います。もしそれも一緒にオリンピック競技から外そうなんて話になったら、私はマジで驚きますが。(イギリス)

  • フリーピストル射場は特別な施設も必要ないし、私は別に心配してません。むしろラピッドファイアのほうが射撃場不足はずっと深刻です。(国籍不明・多分アメリカ)

 

  • IOCのタテマエは「男女平等」です。しかしオリンピックの競技数はこれ以上増やせません。そのことはすなわち、男子ピストル競技の種目の一つが減るということです。
    AP60…さすがにこれは残るでしょう
    RFP…女子スポーツピストルと同じ25mレンジを使うので、これは残るでしょう
    FP…となると、これが消されるってことになります。
    何か内部情報を元にしたものというわけではなく、単なる私の個人的な予想ですが。(イギリス)

※訳者注:ピストル男子は、「①50mピストル」「②25mラピッドファイアピストル」「③10mエアピストル」の3競技ありますが、ピストル女子は「①25mスポーツピストル」「②10mエアピストル」の2競技しかありません。男女平等を目指すなら女子競技を一つ増やすか、男子競技を一つ減らすかしないとなりません。ですが夏季オリンピックは競技数が増えすぎて飽和状態なので、増えるということはありえません。なので男子ピストル競技が一つ減るのは確定事項だ、というのがこの人の主張です。

 

  • USAシューティングのCEOであるローバット・ミッチェルが、USAシューティングニュースの5月号にちょうどその件について投稿していました。IOCは「アジェンダ2020」と題して、男女のオリンピック代表選手の数と、男女の競技数を同じにするという計画を発表しました。現状では、射撃全体で見ると男子競技の方が女子競技より多いので、3つの男子射撃競技をなくすという計画になっています。

    まだ決定ではありませんが、オリンピック公式競技から削除されるのは下記の3競技になる予定です。
    男子50mライフル伏射60発競技
     理由:テクノロジーに依存しすぎて、アクションが欠如している
    男子50mピストル
     理由:10mピストルと技術が重複している
    男子ダブルトラップ
     理由:参加人数が少ない
    これらの競技は、ISSF競技としては存続します。15種類の射撃競技をオリンピック公式に残すため(中には、男女混合競技も含まれる可能性があります)に最大限の努力を払っていきます。

    すでに上でも書かれてますが、女子スポーツピストルで25m射場を使用するので、同じ射場を使用する唯一の他競技であるラピッドファイアピストルは残し、その代わりにフリーピストルをなくすということらしいですね。ラピッドファイアピストルは、「TV映えのする」競技だということも理由の一つでしょう。男女混合競技ってのが具体的に何のことなのかは、現時点では全くわかりませんが。
    1896年(近代オリンピック最初の年)から続いている射撃競技の元祖が、こんな形で終わってしまうことを非常に残念に思います。
    いずれにせよ、単に参加枠を調整するためだけに歴史ある競技を排除することが正しいことだとは、私には思えません。そんなのはすでにオリンピックスポーツとは呼べません。
    元記事はこちらから:The Future of Olympic Shooting(USA Shooting News)※購読にはメールアドレスの入力が必要
    (国籍不明・アメリカ英語が混じってるんで多分アメリカ)

01-issf

わかりづらいんで図にしてみました。いろいろ理由は付けてますが、要は「男子競技にはあって、女子競技には無い種目を削る」という単純なものだってことがわかります。

 

  • 私は、ISSFがきっと(フリーピストル排除というこの案を)白紙に戻すよう、強く主張してくれると思っています。フリーピストルは、全てのオリンピックで行われている、ただひとつの射撃競技です。
    射撃競技を男女混合にするという考え方は、とても馬鹿げているようにしか思えません。男女を混合するというのは、別のタイプの競技を混合するのと同じです。チーム対抗イベントは楽しいものですが、ライフルとピストルを統合しようとしたことはありますか? ライフルと散弾銃は? あまりにも不自然です。(国籍不明・スラングから察するに多分アメリカ)

    →>フリーピストルは、全てのオリンピックで行われているただひとつの射撃競技
    いや、それは違うはずです。1924年と1932年は? 多分、ラピッドファイアピストルのほうが多くのオリンピックで正式競技だったんじゃないかと思います――違うかもしれませんけど。(イギリス)

    →調べたんですが、確かにラピッドファイアピストルも全てのオリンピックで開催されていました。とはいえラピッドファイアピストルは、銃の口径や形やトリガープルや、さらにはターゲットの形に至るまで劇的といっていいルール変更があり、昔と今とではスコアを比較することも困難です。フリーピストルはそんなことはありません。(ベルギー)

 

  • 全くの推測ですが……。
    50mピストルと10mピストルが、見た目ほとんど同じに見えること、そして技術的にも重複するところが数多くある……というのは、たいして重要な問題じゃないんじゃないかと思います。
    一番の問題は、見た目的にほとんど構図(角度や距離)が変化しないことじゃないかと思います。私はそれは、射撃スポーツが持つ宿命などではなく、単にプレゼンテーションの問題に過ぎないと強く思います。
    選手がほとんど動かない中継画面は、お世辞にも「とてもセクシー」だとは言えません……100m走ファイナルと比べては。(ニュージーランド)
  • 「フリーピストルとエアピストルに必要な技術の多くは重複している」って当たり前みたいに書かれてますけど、どういうこと? 何を言ってるのかわからん。
    水泳競技を見てみろ。マイケル・フェルプスみたいに8個も金メダル取ってる選手がいる世界だぞ。射撃で同じことやろうとしたら、性別を変更でもしないかぎり不可能だ。
    フリーピストルとエアピストルの差は、いくつもある水泳競技種目の差よりも遥かに大きいってことの証拠だろ。(国籍不明)

    →水泳と射撃の違いは、TVで何百万人もの人が「ちょっとだけ違う別のレースを泳ぐマイケル・フェルプス」を視聴するのに対し、フリーピストルは誰も見ないって点だよ。(ニュージーランド)

訳者注:10mピストルと50mピストルの両方で金メダルというと、2010年シドニーW杯での松田知幸選手を思い出しますが、なんでもアレは「史上初のダブル金」ってことで世界中で話題になったそうで。そのくらい珍しいことなんですね。

 

  • 注目すべきは、競技に使えるフリーピストルを作ってるメーカーってものが、事実上モリーニくらいしかないってところじゃないかな。売れる数だって、具体的な数字は知らないけど、スタンダードピストルに比べたら僅かなもんでしょ。(ニュージーランド)

    →いやいやいや。トンデモは止めようや。パルディニーだってワルサーだってヘンメリーだって「競技に使えるフリーピストル」を作ってるよ。私は実際にそれら全てを撃ったことがあるし、パルディニーとFP60はモリーニ同様に高い評価に相当する優れた銃だ。(北アメリカ北西部)

    →マッチガンズMG5を忘れてもらっちゃ困る。(オーストラリア)

 

  • ノルウェーのピストル選手権では、フリーピストルとセンターファイアピストルは男子に限定されたイベントではありません。ベテランやジュニアでない限り、「オープン」で参加できます。昨年の選手権に出場した33人のうち3人が女性でした。そのうち2人はファイナルに残り、3位と8位という結果でした。もし女子フリーピストルがオリンピック公式競技となったら、彼女たちはかなり良いところに行くんじゃないかと思います。
    ついでながらセンターファイアピストルは50人中8人が女性で、トップ2人は3位と4位、スコアは572と570です。
    ノルウェーでは、全国選手権や郡選手権での女性のメダリストは珍しくありません。そのことは、女性は練習さえすれば良い点を撃てるということを証明しています。ほとんどの男性を打ち負かすことも可能です。(ノルウェー)
訳者注:「女性と射撃競技」については、この後もいろいろと実例が挙げられながら活発に意見が交換されていましたので、別エントリーに分けて掲載したいと思います。

 

  • クォータプレイス数の男女バランスが求められるのは理解できます。しかし、フリーピストルを削除しようという選択肢を選ぶのは理解できません。削除するならラピッドファイアピストルでしょう!?
    ラピッドファイアピストルは、フリーピストルよりずっと長い競技時間や手間がかかるくせに、競技者は少ないですよね。もし、さらに「観客へのフレンドリーさ」を求めるのなら、ラピッドファイアピストルもフリーピストルも両方削除してしまって、センターファイアピストルを復活させるか、「男子スポーツピストル」という競技を女子競技から分離して新設すればいいでしょう。
    スポーツピストルを「観客フレンドリー」にするのは簡単な手直しで可能です――ターゲットの上にLEDか何かを設置して、目標得点に達しているかいないかを表示すればいいのです。時間も費用もかけずに競技者を増やすことが可能でしょう。(国籍不明)

    (訳者言い訳……スポーツピストルのルールをよくわかってないんで、この人が何を言ってるのか正直良くわかりません。ビームの王冠みたいなもん?)

    →LED表示ってのは良いね、間違いなく人気が出るよ! すぐにISSFに申請しなきゃ! LEDは絶対ターゲットの上ね! ワオ! 凄いぜ!(国籍不明、多分オーストラリア)


「射撃競技は、他のスポーツに比べてマイナーで、TV中継も冷淡」ってのは、日本に限らず世界中どこでも似たような事情みたいですね。もっとも国によって温度差(熱さの違いというよりは冷たさの違い?)はあるようですが。

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