※本記事内の写真は基本的に全てNHKのオリンピック特設サイトにある動画より引用(あきゅらぼロゴが入っているものを除く)
今年こそは3度目の正直と期待されていた日本の松田知幸選手、残念ながらファイナル出場ならずとなりました。それでも地上波放送ってだけあって、けっこうたくさんの人が見てくれたんじゃないかと思います。
解説がちょっと残念というか、ピストル競技におけるファイナルってものがどういうものなのかっていう根本的なところをどうも分かっていらっしゃらない方が解説に入っていたようで、競技の面白さがピストル射撃を知らない方に伝わったのかどうか、ちょっと見ていて不安になりました。多分、一方的に送られてくる中継映像を見ながらの解説だったと思うのですが、その中継映像には一部の選手のターゲットしか表示されておらず、「気がついたら横のほうで思いもよらぬ人が競技終了になってた」なんてこともあって、視聴者おいてけぼり状態だったりしたことも。
「後からなら、なんとでもいえる」という利点を活かしまして(笑)、NHKの特設サイトにUPされている動画と、ISSFサイトにUPされている得点、及び海外掲示板にある情報を参考にして、出場選手と使用銃、そして点数の推移について書いてみたいと思います。
参考:
NHK・射撃男子エアピストル決勝【見逃し】
ISSF・RESULTS 10m AIR PISTOL MEN FINALS
TargetTalk・air pistols used in finals in the Olympic Games Rio 2016
「抜きつ抜かれつ」のファイナルの点数推移をひと目で分かるようにと考案した折れ線グラフです。「10.0」を基準として、それより高い点数を撃てば折れ線が上向き、低い点を撃てば下向きになるという仕組みです。
最終弾、ベトナム選手の大逆転がとにかく印象的だったので、「ブラジル選手が猛追し、一度は追いつかれたベトナム選手だったが、最終弾で再逆転に成功して金メダル」ってイメージになりますが、グラフを見てみるとむしろブラジル選手は終始極めて安定していて、ベトナム選手の方が浮き沈みが激しい事がよくわかります。
最初の6発の第1ステージで好調だったスロバキアの選手、第2ステージに入って伸び悩み、替わりに伸びてきたのがベトナム選手。イタリア、韓国、スロバキアと「自滅」に近い形で脱落していく中、最初の1発目で大ポカ(なんと8.6!)をやってしまった中国選手が、その後にジリジリと得点を伸ばし、「首の皮一枚で生き残り」を2度も切り抜けて金・銀・銅メダル争いに残ります。
しかしトップ独走状態のベトナムと、最初からずーっと安定して高得点を撃ち続けるブラジルには届かず、中国選手は3位で終了。そこでベトナム選手がまさかの大崩れで9点台前半を連発、最終弾を残して0.2点差で2位に沈みます。
そして運命の最終弾……これは動画を見ていただきましょう。実にドラマチックな展開でした。
2016リオ五輪・ファイナル出場8名の使用銃
内訳は、モリーニ4・ステイヤー2・ワルサー1・パルディーニ1といった具合です。ずっとステイヤーがトップシェアだったところが、ここに来て(新機構を組み込んだ新製品を出したわけでもない)モリーニがシェアを再奪取した形になります。
いったい何があったのでしょう。ステイヤーLP10Eに、何かまた新しい致命的な不具合が見つかった……なんて理由だったらステイヤー使いが残っているとは思えませんから、ここは単に「モリーニがトップ選手へのスポンサー契約に前向きになった」みたいなのが理由だったりするんじゃないかと思うんですが、果たして真実はどこに。