実銃射撃

日本・エアピストルの凄い人たち(男子編)

投稿日:2016年3月18日 更新日:

昨日に引き続いて今日は男子60発競技のファイナルの様子をお届けします。

さすがに全日本選手権ってだけありまして、たとえ560点を撃ったとしてもファイナルには箸にも棒にもかからないレベル(ファイナル出場最低得点は568点)というハイレベルでしたが、今のファイナルルールは本選得点がどんなに高くても低くても、とにかくファイナルに出場さえできれば、ゼロ点という全くの横並びからスタートになるというところが、ある意味でエゲツナイところでもあります。
 

20160313-final-sbsyajo本選が行われたのはエア射場の隣にあるSB射場。本来は50mの射撃場なのですが、10m競技の大きな大会が開かれる時に限り手前の10m分だけを壁で区切って屋内射場に改造できるという変わった構造を持っています。今回はもちろん10m用の屋内射場モードでの開催です。
20160313-mazda02標的と射座の間の地面が土になっていること以外、言われなければ「普段は屋外射場である」なんてことはまるでわかりません。写真は、世界最強ピストル撃ちの一人である松田知幸選手に完全密着モードで撮影中のTVスタッフのみなさん。

こちらも昨日の女子競技と同じく、基本はナショナルチームの方々がメインですが、過去に五輪出場経験のある人、国体などで入賞経験があってメディアで紹介されたことがある人なんかも遠慮なしに掲載していきます。
 

20160313-final-startlistファイナルのスタートリスト。我々一般射手から見れば凄い点数ではあるのだけれど、世界レベルで見ると「あれ? あんまたいしたことない?」って思ってしまう点数が並んでいます。射場のせいというわけじゃなく、今時このレベルの大会では珍しい紙標的だったからというのが原因の一つになっているんじゃないでしょうか。宮城射場も数カ月後には電子標的化されるということですから、今大会はおそらく、「紙標的で開催される、最後の全日本選手権」になるんじゃないかと思います。
20160313-A-uehara01上原健司選手。髪型とか雰囲気からなんとなくわかると思いますが警察官(香川県警)の方です。2014長崎国体や2015の和歌山国体(紀の国国体)のセンターファイア・ピストルで優勝されています。
20160313-B-nonaka02野中靖浩選手。この後に続く日の丸ジャージとは全然違うスポーツウェアっぽくない格好なので、もしかして民間射手なんじゃないかと思って検索したら大阪府警の方とのこと。2014長崎国体のエアピストルで優勝されています。
20160313-D-horimizu堀水宏次郎選手。カテゴリーAのナショナルチームメンバーです。
20160313-horimizu01堀水選手の使うLP10E。なんかえらく綺麗なグラデーションがバレルハウジングとシリンダーに入っています。おしゃれ。ちなみに左写真はファイナルではなく本選の写真です。この地味な色のパーカー、着てる人がなんか多いなって思ったら、目立たない場所に日の丸が入っていてびっくり。代表ユニフォームの一つだったりするのかも?
20160313-E-mazdaおなじみ、松田選手。日本代表のユニフォームというとこのタイプ、肩と裾のところに(エヴァンゲリオンに出てきた)ロンギヌスの槍みたいな模様が入ったミズノのジャージってイメージが強いんですが、他にもいろんなタイプがあるのかもしれません。
20160313-F-sonoda02園田吉伸選手。見るからに軍人!って感じの出で立ちなので説明するまでもないと思いますが、自衛隊体育学校所属のナショナルチームメンバーです。
20160313-G-nakasige中重勝選手。アトランタ、シドニー、アテネの3つの五輪に出場経験のある、日本ピストル界の大ベテランですね。服装が民間人っぽくなってるので引退して一般で参加されているのかと思ったんですがそんなことはなく、現役バリバリのナショナルチームメンバーです。
20160313-nakasige0420160313-nakasige03中重選手の装備で気になったのが、レンズに超ロングステーが付けられた射撃眼鏡ですね。これ、どういう利点があるんだろう、近視用のレンズだと目から離すとモノが小さく見えるけれど、もしかして老眼鏡だと対象が拡大されるとかそういう利点があったり……?
20160313-nakasige05中重選手のステイヤー。バレルシュラウドの側面に、金色と銀色のスワロフスキーがズラッと並べて貼り付けてあります。これ、もしかして撃墜マーク的な何かだったりするのでしょうか……?
20160313-nakasige01これは反対側から撮影したところ。こっちにも金銀のマークがズラリ……あれ、金色が一個少ない。やっぱり撃墜マーク!? この銃、機関部の刻印からLP10Eだと思われるのですが特徴の一つであるグリップ左側面の金属プレート(フタ)がありません。そのかわりグリップ底部にアヤシゲな部品があり、それが養生テープっぽいもので止めてあるという、なんか凄い状況のカスタムガンになってます。


MIZUNO(ミズノ) ウォームアップ シャツ パンツ 上下セット 【メンズ】

ap60m-final-chart第1ステージでまさかのゼロ点(時間内に撃てなかった?)が出るなど波乱の幕開けとなった男子ファイナル。

上の折れ線を見ると分かる通り、線が狭い範囲で複雑にからみ合った形になっています。つまり、極めて狭い得点差の範囲内で抜きつ抜かれつの攻防が行われたファイナルとなりました。順位決定時にも、その一つ上の順位との差はほとんどの場合1点未満の薄氷の差。「撃って集計してみるまで、誰が脱落するかわからない」という接戦です。

その中、第2ステージ後半から頭一つ抜けだして順調に優勝への道を進んでいたのが、我らが日本のトップエース、松田知幸選手です。プレッシャーのかかる、「トップ独走状態に入ってからの安定感」では定評のあるのが松田選手。
 

20160313-final最後に残る二人、つまり一位二位の決定戦は松田選手と中重選手の一騎打ちとなりました。今大会のような、「ファイナルのある大規模な全国大会」において幾度と無く繰り返されてきた、我々にとっては見慣れた定番の組み合わせです。

ラスト1発を残した状態で、1位の松田選手と2位の中重選手の差は1.5点。「残り1発で1.5点を逆転するなんて、何かの間違いで松田さんが8点台とか撃たないかぎり無理だ」と思ったら、ラストショット、その松田選手がまさかのミスショットで8.5!

ざわ。。。。ざわ。。。。

「10.0で同点競射、10.1で逆転……」と会場がザワつく中、ワンテンポ置いて読み上げられた中重選手の得点は。

9.9。

0.1点、超ギリギリでトップに踏みとどまり優勝となった松田選手。会場に広がるどよめき、そして爆笑の渦。こんなことってあるのね……。

思わずその場にへたり込みそうになるのを、射座の机にしがみつくようにして身体を支える松田さん。歓喜の笑顔というより、ほとんど「苦笑い」に近い表情です。私なんかが言うのはおこがましいことは百も承知ですが、これ、とてもじゃないけれど勝った気がしないんじゃないでしょうか。

-実銃射撃

Copyright© あきゅらぼ Accu-Labo , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.