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エアピストル(Morini CM162E)オーバーホール Part.2

投稿日:2024年5月5日 更新日:

モリーニCM162Eのセルフオーバーホール、Part.2です。

Part.1ではエア漏れの原因になっていたレギュレーター(マニュアルでのパーツ名称は「Pressure reduction compl.」となってますが、海外射撃BBSとか見てもレギュレーターで概ね通じるみたいです)のエアシールだけを交換しました。Part.2ではそれ以外、銃の中にあるほぼすべてのOリング(断面が四角いクワッドリングもあるので、正確に表現するなら「すべてのエアシール」)を交換します。

eBayでCM162E用のエアシールセットを販売しているカナダの人(業者さん?)から購入したものが届きました。早速中を見てみましょう。

これが入っていた8つのOリングです。パーツ名称とサイズは私が画像に書き込んだものです。これだけで(送料入れて)1万円ちょっと、ずいぶんとお高いとは思いますが……。とはいえ、それぞれ個別に購入しようとしても1サイズあたり20個セットで1000円とかするでしょうから全部そろえようとすると7000円くらいすることになります。たいして値段は変わりませんね……。

これが、そのeBayの人が販売ページに掲載している画像、つまりはマニュアルのすべてです。いちおう印刷したものが袋の中には入っていましたが、印刷の質が極めて悪くて文字が読めないレベルだったので、実際にはこの画像と首っ引きでの作業となりました。

まずはレギュレーターの分解です。といってもこのパーツ、マニュアルでも1つのまとまりとして記載されていて「分解するなよ~絶対にするなよ~」という圧を感じます。eBayのマニュアルでも、「要(かなめ)」になる部分は絶対に分解不可とわざわざ黄色いビックリマークまでつけて強調してあります。分解するのは外側のケース(ハウジング)だけです。4本の六角ボルトを外します。

eBayのマニュアルでは、中に交換できるOリング(162007A)が一個あるとのことですがそれっぽいものが見つかりません。銃が製造された年代によって仕様が変わるということはよくあることなので、そういうものだと納得することにします。いかにも精密部品っぽい針のようなピンが飛び出していますが、かなり汚れていましたので、アルコールつけた綿棒できれいにしてやります。

外した蓋の裏側のほうも丁寧に掃除します。なにせ10年以上ほったらかしでしたから汚れてないわけがありません。綿棒一個でなんとかなる程度の汚れで済んでるのは奇跡みたいなもんです。手押しポンプじゃなくスクーバタンクからのドライエアをメインに充填しているおかげで、比較的キレイな状態が保たれているのかもしれません。

次にバルブ周りを分解します。銃の前方、レギュレーターに半分隠されていた大きなマイナスネジの頭みたいな部分をマイナスドライバーを使って回して外します。

バレルも外します。銃の上部にある2本の六角ボルトを緩めるだけで前方に抜けます。かなりキツいですが、ぐいっと引っ張ってズボッと抜く感じでOKです。

バルブを構成する一連のパーツ、およびバレルとその根本にあるOリング(162001A)2つを外したところです。2つある162001Aのうち片方は銃の中の方に残ってしまうので、爪楊枝とか使ってひっかきだしてやる必要があります。バルブスクリュウについてるOリング(162052A)と、オープニングピン(ストライカーの打撃をバルブに伝えるピン)についているクワッドリング(162046A)、そしてバレルの根本のエアシール2つ(162001A)を新品に交換します。

次にストライカーおよびローディングボルト(ローディングノズル)の分解です。銃後部についてる縦長の金属板を、付属のトルクスレンチで外します。これ、初めて外すときは死ぬほど硬くて、銃本体を万力で固定した上でトルクスレンチをバカでかいモンキーレンチで挟んで回すことでなんとか外せたのを覚えています。

ローディングボルトを外すために、ピンを抜く必要があります。銃の右側面に穴が開いているので、ローディングボルトを一番前まで前進させた(閉鎖した)状態でピンポンチをその穴に差し込み、ハンマーで叩いてピンを抜き取ります。ここ、かなり固いのでちょっと気合いと勇気が必要です。

ローディングボルトの先っぽに付いてるOリング(162027A)を交換します。というかコレ、もうOリングというより「なんか黒いバンドが巻いてあるだけ」に近い状態まで押しつぶされちゃってますね。ここに圧がかかるのは発射する瞬間だけなので「シュー」と音を立てるようなエア漏れの原因にこそなりませんが、瞬間的にここから漏れてロスしているエアというのはそこそこたいしたものがあったんじゃないかと思います。

ついでなので162027Aの交換前と交換後の比較です。もうぜんぜんちがう。

レギュレーターについてるOリングも交換するのですが、162010AについてはPart.1で交換した緑色のOリングがまあまあちゃんと機能してるので交換しないでそのままにしときます。ネジの根本近くにある大きめのOリング(162007A)だけを交換します。

劣化してて勝手にポロッと崩れて外れるOリングだけならいいんですが、さすがにそんなわけはなく、しっかりと弾力のある状態で残ってるOリングを外すのはけっこうたいへんです。外した後、このレギュレーター根本にあるOリング(162007A)みたいなのをハメようとするのも、そこそこ大変です。細い千枚通しとか小さいマイナスドライバーとかでグリグリやれば、そりゃ外すのもハメるのも簡単ですけど、繊細なパーツだけに傷とかつけるのいやですから慎重に作業しなきゃならなくて、けっこうな時間がかかってしまいました。

あとで調べたら「Oリングピックツール」なんていう、Oリングを外したりハメたりするための専用工具なんてものがあるんですね! 知らなかった! さらに調べたら、「100均に売ってる編み棒で代用できますよ」なんて情報まで! なるほど頭いい! 次からはそっち使いましょう。

こんな感じで、Oリングを6つ交換して組み立て直しました。セットに入っていた8つのうち、1つは行き先が見つからなくて使用せず、1つはすでに交換済で使用せずということで交換したのは6つだけということになります。

弾を装填して閉鎖したときの感触が、そりゃもう全然違います。交換前は普通にクイッと弾がライフリングに食い込みながら押し込まれるだけでしたが、交換後はボルト先端のOリングがググーっと入っていく抵抗を感じます。買ったばかりのときはこうだったのかな? さすがに昔のことなんで覚えていないなぁ……。

というわけで、モリーニCM162Eのセルフオーバーホール記事、完了です。電子基板とかが逝っちゃうとさすがに素人じゃ手が出せませんが、エアが流れるルートにあるエアシールを一個一個取り出して新品に交換する、ついでに中身を掃除するってくらいだったら、まあまあ素人でも手が出せるメンテナンスといっていい範疇に入るんじゃないかと思います。

「大会直前の故障で、多少のリスクを負ってでもなんとかして自分で修理するしかない」という切羽詰まった状況で行ったオーバーホールでしたが、思いのほか簡単に、そして想像してた以上にちゃんと新品の状態に生まれ変わってくれました。とはいえ、分解したり組み立てたりというのに一切のリスクがないわけじゃありません。この記事を参考に自分で修理してみようと思う人もいらっしゃるかもしれません(いないかもしれません)が、どういう結果になっても、あくまで自己責任でお願いします。ここ大事です!

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