射撃のコツ

ピンポイントシューティング講座第5回・姿勢について

投稿日:2009年4月30日 更新日:

ピストル射撃においては、「お手本となる姿勢」はあっても、「正しい姿勢」ってものはない。年齢や骨格によって、その人にとっての「正解」となる姿勢は千差万別になる。初心者の人に教える場合であっても、始める年齢が10才なのか50才なのか、他の射撃競技の経験はあるのかないのかによって、指導するべき点は異なってくるという。

そういった理由で、ここでは足の広さがどうとか、足を置く前後位置はどこらへんにするべきかとか、首の角度がどうとか、そういった細かい内容については触れない。他の人の射撃を見たりしながら、自分に合った姿勢を探していくのが良いだろう、としか言えない。今はネットでオリンピックの競技風景写真とか動画とか山ほど拾える(良い時代だ…)から、そういった「文句なしに超絶上手い連中」の射撃姿勢を片っ端から真似して試してみよう。

とりあえず、ここでは姿勢を作っていく上での基本的な考え方というか、見据えておくべき方向性について述べたい。

まず覚えておきたいことは、「銃は身体全体で狙う」ということだ。筋肉の感覚とか、左右や前後のバランスが足の裏にかかる圧力の感覚とか、そういった全身で感じる感覚全てを総動員して「銃を構えて狙う」ということになるのだ。眼を使ってサイトを照準するのは最終段階の、ほんの僅かな微調整にすぎない。眼を使わなくても、銃を構えてターゲットに向けた時点で、「狙う」という行為はほとんど全てが完了しているといっても過言ではない。

それをした時点、つまり「銃を構えてターゲットに向けてサイトを見たら、ターゲットよりも左(あるいは右)にズレていた」という状態だったらどうするか? 姿勢を変えずに足を置いた位置を変更して、銃口の向きを右(あるいは左)へと移動させるのが正解だ。銃を構えたまま足の位置を小刻みに動かしても良いし、いったん銃を下ろしてから足の位置を変更して改めて構えてみても良い。時間がたっぷりあるなら後者、足りないなら前者が良いだろう。

腕から先とか手首だけで左右方向の狙いを調整してはいけない。そういう調整は必ず筋肉の緊張を生み、トリガーを引いた瞬間に微妙な変動が起こり、着弾点を大きくターゲットの中心からズラしてしまう結果になるからだ。


左右方向は足の位置で変更するとして、上下方向は? ピストル射撃の場合は、上下方向だけは身体の姿勢を変更して調整するしかない。上半身は固定したまま、上に動かすときは上体を反らし、下へ動かすときは屈むような形で微調整する流儀もあれば、肩から先の腕だけを上下させる流儀もある。こればかりはどちらが良い、悪いというのはここでは結論づけられない(ちなみに私は昔は腕だけ派だったけど最近は上体全部動かす派)。「ピストルは、左右方向の照準は身体で行い、上下方向の照準は眼で行う」なんて言葉もあるという。


これまで書いた射撃入門記事や、受講した射撃講習会・メンタルトレーニング講座で得た知識などをまとめて、「ピストル射撃入門」としてKDP(Amazonの電子書籍)として販売しています。

ピストル講習会 ~エアガンシューティングからオリンピックまで、すべてのピストルシューターのための射撃入門~

ピストル講習会・プレート編 ~3秒射・速射の技術や理論と練習方法について~

-射撃のコツ

Copyright© あきゅらぼ Accu-Labo , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.