トイガン射撃 射撃のコツ

APS-3、トリガーの仕組みとカスタム

投稿日:2016年3月1日 更新日:

先日のエントリーにて、APS-3の分解やトリガーカスタムの方法などをお届けしたが、その時に使ったAPS-3のトリガー&シアメカニズムの解説GIFアニメーションが実はずいぶん前に作ったものだったりした。とくに間違ってるとか問題があるというわけでもないのだけれど、せっかくなので作りなおしてみた。

ついでに、「トリガーを引いた時、その重さと感触がどういうふうになるのが『良いトリガー』なのか」についても、GIFアニメーションと連動して図解してみた。上手く伝われば良いのだけれど。
 

aps-3-mechaAPS-3のサイドプレートを外したところ。ストライカーやセフティ(ストライカースプリングは既に外した状態になっている)、そして一般に「Cバネ」と呼ばれる引きバネが露出している。この「Cバネ」を外すと、とりあえず簡単にトリガープルを劇的に軽くすることができる。軽くなるにはなるのだが、それだけではあまりオススメできる改造とは言いづらいものがある。

ノーマルのAPS-3・トリガー&シアメカニズム

aps3-mecha-01ノーマル状態での動き。「シアC」と呼ばれる部品(図では黄緑色)と、それにつながってる「Cバネ」と呼ばれているスプリングは、どういう働きをしているのか?

APS-3のトリガー&シアメカニズムは、は、スプリングの力で前進しようとするストライカーを、下からミゾにハマることで前進しないように「つっかい棒」の役割を果たすシアA(図では水色)、そしてそのシアAが下降しないように下から支えるシアB(図ではオレンジ色)、そしてシアBを動かすトリガー(図では緑色・トリガーブレードは黄色)という4つの部品で構成されている。

サイドプレートを外した時に左側面に開けられた穴から見えるスプリングと、そのスプリングが付いているシアC(図では黄緑色)は、前進しようとするストライカーを支えるといったような「つっかい棒」的な役割は全く果たしていない。実際に、CバネやシアCそのものを取り除いてしまっても、コッキングや射撃操作は全くなんの問題もなく行うことができる。

ならば、シアCやCバネは、いったい何の役割を果たしているのか? それは、シアBとシアAの噛み合いが外れそうになる直前にトリガーに当たって、「もうすぐシアBとシアAの噛み合いが外れるぞ」ということを、トリガーの感触として射手に伝えるという役割だ。言ってしまえば、「トリガーを重くするためだけのパーツ」ということになる。

Cバネを取り除いたAPS-3

aps3-mecha-02「Cバネ」と呼ばれるシアCスプリングを取り外した状態の動き(写真はCバネがついたままだけれど)。

手っ取り早くAPS-3のトリガープルを軽くする方法として行う人がいるのが、Cバネを取り外すことで「トリガーを重くするだけの部品」であるシアCの機能を取り除くというものだ。大きな分解を行わなくても、サイドプレートを外すだけでCバネは目に見えるところに露出してくれるので、確かに手間はほとんどかからない。実際にトリガープルも劇的に軽くなる。

しかし、「ここから少しでもトリガーを引くと弾が発射されるぞ」ということを射手に教えるパーツが働かなくなるため、スーッとトリガーを引いていくと、あるところで突然弾が発射されるトリガーになってしまう。

こういった、トリガーの重さにメリハリがないタイプのトリガープルを「キレの悪いトリガー」と呼ぶ。いつ弾が発射されるのか、射手が把握することが難しいため精密射撃には向かないトリガーといえる。それとは逆に、ある程度トリガーを引いたところで重くなり、そこからほんの少しでもトリガーを動かすと弾が発射されるというタイプのトリガープルを「キレの良いトリガー」と呼ぶ。どこで弾が発射されるのか射手が明確に把握できるので、精密射撃用のトリガーに求められるのがそのキレの良さとされる。

トリガーカスタム済のAPS-3

aps3-mecha-03外部からシアBの初期位置を微調整できる仕組みを組み込むことで、シアC無しでもキレのよいトリガーを実現するカスタムを施したAPS-3の動き。

トリガーを引く前の最初から、「あとほんのすこしだけシアBが動けば、シアAとの噛み合いが外れる」状態にしておけば、シアCなど無くても「キレが良くて、軽い力で引ける」トリガーになる。シアBの回転角度について微妙な調整が必要になるが、簡単な改造によって外部からその「微調整」ができる仕様にすることができる。

なぜ、最初からこういう仕様にしなかったのだろうか? エアーガンの多くは、トリガーやシア周りの部品をあまり頑丈な素材で作らないというお約束があり、APS-3もそこらへんのパーツは鉄に比べると大幅に強度が劣る亜鉛ダイキャストで作られている。「あとちょっとでも動けば噛み合いが外れる」というようなシビアな組み合わせを、市販されているノーマルの状態で設計するとパーツの強度や精度によって、「上手くコッキングできない」とか、それならまだいいが「コッキングした途端に暴発する」というような危険な状況が頻発してしまうのではないか、というようなことが危惧されたのではないかと思う。

とはいえ、APSカップが始まってもうずいぶんと長い年月が経つし、シビアでハイレベルなトリガープルを求めるユーザーもかなり多くなっているのではないだろうか。このカスタムのように、あるいはもっと洗練された方法で、シアBとシアAの噛み合い深さを調節できたり、それだけではなくトリガーやシアBについているスプリングの重さまでをも外部から微調整できるようなシステムを組み込んだ、本当の意味での「フルアジャスタブル・トリガー」を備えたAPS-3のスペシャルモデルのようなものがマルゼンから発売される日も、それほど遠くない未来にやってくるのではないかと期待したい。

おまけ……カスタム加工、請け負います

何か特別なパーツを使っているわけでもなく、加工にもそれほど特殊な工具を使っているわけでもなく、基本的には「どこのご家庭にもある工具を使って、誰でも簡単にできるカスタム」だと思いますが、それでも「ちょっと自信がない。やってくれる人がいるのなら頼みたい」という人もいらっしゃるかもしれませんので、上記のトリガーチューンを有償にて請け負います。

APS-3が品切れ気味なので持ち込み加工オンリーとなります。料金や納期などについては、左上の「ご意見、ご感想はこちらから」と書かれたフォームからお問い合わせください。もちろん、直接お会いする機会がある方なら直接のご依頼も歓迎です。

APS-3トリガーカスタムについてのお問い合わせはこちらから

-トイガン射撃, 射撃のコツ

Copyright© あきゅらぼ Accu-Labo , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.