自分の脳内では「ピストル射撃トレーニングに革命をもたらす大発明」なんですが……。
「トリガーを引く」というプロセスは、ピストル射撃で最も重要になる技術です。
弾を発射するためにトリガーに圧力を加えたことによって、銃が左右あるいは上下に動き、狙っていたのと別の場所に弾着してしまうという問題は、ほぼ全てのピストル射手にとって最も大きな悩みの種になります。銃を動かさないように、人差し指の自然な動作に従ってトリガーに加える力を少しずつ増大させていき、最終的に撃発に至るというプロセスをどれだけ安定して繰り返すことができるようになるかということが、ピストル射撃において射手に求められる最も大きな課題になります。
安定してプロセスを繰り返すためには、正しい動作を何回も繰り返すことで、その「正しい動作」をイメージとして脳に記憶させることが重要です。射撃場でなくてもいつでもどこでも「トリガーを正しく引く動作」を繰り返し、そのイメージを脳に覚え込ませるための道具が、トリガーラーニングデバイスです。
トリガーラーニングデバイスは、トリガーフィンガーを鍛えるためのものではありません。「トリガーを引く正しい動作」のイメージを脳に覚え込ませるためのデバイスです。内蔵されているスプリングはそれほど強いものではなく、誰でも簡単に何十回でもトリガーを引き絞ることができます。
トリガーはおよそ450gの力を加えたところで動き出します。最後まで引き絞ったところで700g程度になります。
射手の手の大きさに合わせて調整できるように、長さが異なる「XS / S / M / L / XL」の5種類のトリガーが付属します。
組み立てには工具を必要としません。ドライバーすら使わずに組み立て可能です。ただし摺動部の摩擦軽減のために一部セロハンテープを使用します。
組み立て方
本体
パーツAに開いている3つの穴のうち2つ(図を参照)にピンを差し込みます(けっこうキツいです)。
図のように、2本のピンにパーツC、D、Cと順番に差し込んでいきます(ここはそれなりにゆるいです)。
パーツBをハメ込みます。キツいので叩き込むような形になると思います。
トリガー
長さが異なる「XS/S/M/L/XL」5種類のトリガーが付属します。サイズはトリガーブレード根本部分に記載してあります。トリガーは2つで1セットです。「使い方」の③でトリガーに指を当てたときに、トリガーと指の先が垂直に接する形になるのが適切なトリガーサイズになります。まずは合いそうなサイズのトリガーから試して、長かったり短かったりするようなら変更してみましょう。
アクリル製のトリガーパーツを2つのトリガーで挟みます。
図の2箇所にセロハンテープを巻いて固定します。セロハンテープは摺動部の摩擦軽減の役割もあります。より高性能を目指すなら、テフロンテープ(フッ素樹脂テープ)などの低摩擦テープを使う方法もあります。ホームセンターなどで手に入ります。
組み立て
スプリングを図の位置に入れます。
トリガーを図のように本体に挿入してから、3本目のピンを差し込みます。
完成です。
使い方
トリガーラーニングデバイスの後部にあるカーブを、親指の根本にある膨らみ「母子球」のカーブに合わせるように押し当てます。
手を「パー」の形に開き、トリガーブレードが人差し指の位置にあるかどうか確認します。ずれている場合、トリガーラーニングデバイス後部を母子球のカーブに合わせたまま回転させて合わせます。
人差し指の一番先、指紋の渦の中心をトリガーブレードに当てます。写真のように指先とトリガーブレードが垂直に接するように適切なトリガーのサイズを選んでください。
普段ピストルを撃つのと同じ感覚で構えて、トリガーラーニングデバイスのトリガーをまっすぐ引きます。
練習で注意するポイント
ただ漫然とスプリングを縮めるのではなく、ピストル射撃において重要なトリガーへの力の加え方(グラフ参照)を忠実に再現するように心がけましょう。最初にトリガーが動き出すところまで絞ってから(図の青いライン)、じわじわとゆっくりトリガーに加える力を増していく(図の赤いライン)のがポイントです。実際のピストルでは赤いラインではトリガーはほとんど動きませんが、トリガーラーニングデバイスでは少しずつトリガーが引っ込んでいきます。その「トリガーが引っ込むスピード」をどれだけ一定に、かつゆっくりにできるかに注意して練習しましょう。
人差し指以外の指には力を全く入れず、脱力した状態のままトリガーを引けるように練習しましょう。人差し指だけが動き、手のひらの他の部分は全く動かないようにする感覚を身につけることを目的です。左写真は、トリガーを引くときに他の指も動いてしまっている悪い例です。
トリガーを引き絞る時、トリガーラーニングデバイス本体はできるだけ動かさないようにしましょう。特に左右に回転するような動きをするのは良くありません。実際にピストルを撃つときに左右に弾着が飛ばないようにするためには、トリガーラーニングデバイスがまっすぐ正面を向いたままトリガーを絞れるようにする感覚を身につけることが必要です。左写真は、トリガーを引くときにデバイスも動いてしまっている悪い例です。
構えたときに、トリガーラーニングデバイスが視線に沿ってまっすぐになっているかどうか時々確認しましょう。斜めになっている場合、それは手首の固定方法か、グリップの方法に何らかの問題があることを示しています。トリガーラーニングデバイスと手のひらの接触位置を変更してみる、トリガーの長さを変更してみる、手首の角度を変更してみるなど、解決に至るアプローチは数多くあります。試行錯誤して最も安定してトリガーを引けるグリップ方法を探してみましょう。
トリガーは、2枚の離れた板によって構成されています。2つの板が指に当たる感触が、左右で異なっていませんか? 右だけ、あるいは左の板だけが強く指に当たっているように感じるなら、それはトリガーに対して斜めに力を入れてしまっている証拠です。トリガーにまっすぐ力を加えていれば、板が指に当たる強さは左右で同じになるはずです。
冒頭に書いたとおり脳内では大ヒット製品なのですが、現実的に考えて「エアガンの性能を上げるわけでもない」「実射練習に役立つわけでもない」製品にどれだけの方が興味を持ってくれるか考えると怖くなるので、とりあえず5個だけ作りました。購入は「あきゅらぼ通販」からどうぞ。将来的には価格は1,000円くらいにする予定ですが、初回限定で5個だけお安い値段にて販売します。
初回限定5個は一瞬で完売しました。現在は増産して正式販売中です。ユーザーの方からのご意見・ご感想もお待ちしております。
これまで書いた射撃入門記事や、受講した射撃講習会・メンタルトレーニング講座で得た知識などをまとめて、「ピストル射撃入門」としてKDP(Amazonの電子書籍)として販売しています。
ピストル講習会 ~エアガンシューティングからオリンピックまで、すべてのピストルシューターのための射撃入門~
ピストル講習会・プレート編 ~3秒射・速射の技術や理論と練習方法について~