トイガン射撃

ブルズアイ発射弾数カウント装置・その1

投稿日:2009年3月20日 更新日:

次回で9回となるピンポイントシューティング。「やり直しの利かない、かけがえのない一射一射を積み重ねていく」という精密射撃の面白さを少しでも広めたいと思って始めたマッチだった。その面白さを評価してくれる人もいてくれて、嬉しい。

さて、競技中は集中力のほとんど全てを「撃つこと」そのものに向けているのでそれ以外のことに関してはまるで意識を向けてない状態、いわゆる「バカのような状態」になってしまう。試合中だと、例えば二桁の数字の引き算すら出来ない状態になってるんじゃないだろうか。メインとなるブルズアイでは、制限時間8分で10発を撃つ。8分もあると、自分がいったい何発撃ったのかが途中で分からなくなることがある。撃った弾数が足りなければ当然そのぶんの点数は損するし、余計に撃ってしまった場合も「一番高い点数を一つ引く」というルールでやってるのでやっぱり損する(全部10点に入ってれば話は別だが)。

そこでジャッジをしながら、競技者が何発撃ったのかを数えているわけだけれど、これが意外に大変。発射音を聞いて数えれば良いじゃないかと思われるかもしれないけれど、3人並んで撃ってると同じ発射音でも誰が撃ったのかわからないし、隣のレンジが使われてたりするともう音が混じってなにがなんだか。上手い人だと、「弾を撃ったのか、撃たなかったのか」が姿勢を見るだけだと全く区別が付かない(銃口がぶれたりしない)のでさらに見分けが付かなくなる。

そこで、ターゲットの方に、「自分が撃たれたのかどうか」を表示するものを着けたらどうだろうかという発想になる。APSカップでもブルズアイではターゲットに衝撃があるとLEDが1秒くらい点灯し、「自分が撃たれた」ことを表示してくれる装置を使っているのを見たことがある人が多いはず。ジャッジの苦労を減らすためのアイデアなのだろう。

ただ表示するだけでは面白くないので、数字で「今、何発撃たれたのか」を表示できたらもっと楽になるんじゃないだろうか、と思って作り始めたのが自動カウント装置だ。最高で10発なのだから、表示する数字は一桁で十分。必要なものは下記の通り。

・衝撃を感知するセンサー
・センサーの出力を十進数に変換するカウンタIC(BCDカウンタ)
・BCDカウンタの出力を7セグのLED用に変換するドライバIC
・7セグのLED
・電源(単三電池二本)

早速試作品を作って前回のピンポイントシューティング(第8回)に持ち込んでみたのだが、上手くいかなかった。一発撃っただけで、数字がいくつも一気に上がってしまうのだ。ブルズアイではポリカーボネート板に貼り付けたターゲットを撃つ。カウント装置はそのポリカーボネート板の裏に貼り付けてあるのだが、撃ったときの衝撃は一回だけではなく、そのあとしばらく板全体が振動する。その振動をセンサーが「複数の弾着」と判断し、カウンタに対していくつも入力を送ってしまうのがその原因らしい。

板の振動といっても何分も続くわけじゃなく、せいぜいコンマ数秒で終わるものだから、その短い時間だけ入力を受け付けないような仕様にする必要がある。さてどうしたものか。


上はその試作したカウント装置の写真。半田付けを行わずに部品を何度も抜き差しできるブレッドボードというものを使っている。

世の中にはプログラムできるICというものがある。パソコンに繋げてプログラムを書き込めばその通りに動作してくれるため、複雑な動作をIC一個でできるという便利なものだが、使うにはプログラムを書き込むためにパソコンに繋げる機械や、プログラム言語の知識などいろいろと必要で、けっこうハードルが高い。それに、本来ならもっと複雑な動作(たとえば小型の電光掲示板や液晶モニターを使って残り時間を表示するとか)をさせるものなので、たかが一桁の数字を表示させるためだけに使うのは「帯に長し」の感が否めない。

いろいろ悩んだのだがどうしても良いアイデアが思いつかず、思いあまって某掲示板の電子工作関連の質問スレに書き込んでみた。案の定「PIC使えば?」というものを始めいくつかのアドバイスをいただいたが、その中の一つに「NE555でググれば短いパルスから長いパルスを発生する回路が見つかるハズ」というものがあった。そうだ、それだ、なんで気づかなかったんだ!

555というのはタイマーICとも呼ばれているICで、一度入力があると、設定された時間内だけ出力を出しっぱなしにしてくれるという機能を持つ。先に書いたAPSカップのブルズアイで「LEDが1秒くらい点灯する」というのも似たようなものを使っているはずだ。出力が出っぱなしになっている状態では新しい入力があっても無視されるわけで、まさに目的とする機能を安価に簡単に実現してくれる方法だ。

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