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ライフル射撃のマンガ

投稿日:2016年4月20日 更新日:

集英社が運営しているWebコミックサイト「となりのヤングジャンプ」にて連載中の「ライフル・イズ・ビューティフル」。イラスト素材が、大学ライフル射撃部の勧誘に無料で使用OKだとか、コミック作者を含めたスタッフが全国高校ライフルを取材したりだとか、けっこう日ラとの関わりがあるので、マンガとか普段は全然読まないって射手でも話を聞いて知ってたりすることもあるようだ。
 

rib-01「ライフル・イズ・ビューティフル」第1話の扉絵。「となりのヤングジャンプ」より引用(2016年4月現在、読み切りを除く全話を無料で読める)。このイラストではエアライフルを持っているけれど、基本的には登場人物全員が古臭いデザインのビームライフルを使用している。

ライフル射撃は、言うまでもなくとてつもなくマイナーなスポーツだ。「ライフル・イズ・ビューティフル」の作中でも、そのマイナーさはしばしば自虐ネタの題材として使われていたりする。編集部による柱のアオリ文にも「本邦随一のすきま産業4コマ」なんて書かれてるくらいだ。

けれど、長い歴史のある日本漫画だけあって、「ライフル射撃を題材とした漫画はこれが最初」ってことは、さすがにない。過去にもライフル射撃ネタの漫画が連載されたり、掲載されたりしたことは何度かある。今回は、過去に遡って「ライフル射撃漫画」の歴史を振り返ってみたい。

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ものすごく中途半端なところで打ち切られた「パッピュンボーイ」

papyun-01papyun-02パッピュンボーイ
原作:黒木健介
マンガ:村上としや
月刊少年マガジン 1982年2月~10月にかけて連載
単行本:全2巻

ガン好き少年「滝 翔太」が、その人並み外れた射撃センスと型破りな発想で、ライフル射撃競技ジュニア代表の座を目指して駆け上って行く……というような内容。掲載誌こそ月刊少年マガジンだけれど、内容的には「コロコロコミック的」というと一番わかりやすいんじゃないかと思う。とにかく常識はずれで破天荒で、少しでもライフル射撃を知ってる人が見れば「そんなん、ねーよ」とツッコミを入れずにはいられなくなるような内容のオンパレードなんだけれど、「リアリティなんか犬の餌にしてしまえ」とばかりに勢いで突っ走る感じは80年代コミックならではのものだ。

題名で検索してみると、内容をうろ覚えの人が「どんな漫画だったっけ」と質問して、それにまた内容がうろ覚えの人が「こんな漫画でした」と回答する……みたいなQ&Aが意外にたくさんヒットする。質問する側も回答する側もうろ覚えなので、内容がごちゃまぜになっていたりすることも多く、正直ちょっと見てらんないので、せっかくだからこの全2巻中で繰り広げられたハチャメチャ射撃勝負を全部書き出してみたい。

第1話:屋内シューティングレンジにて、右から左にすっ飛んでいくクレーをハンドガンで撃つ
→良すぎる動体視力のためリード射撃ができないので、目隠しして撃つ
第2話:エアライフル立射にて10発勝負
→素人なので安定した立射姿勢が取れないので、わざと身体を大きく揺らして撃つ(サーフィンショット習得)
第3話:第2話の続き・屋外射場にてエアライフル立射
→風を読むため裸になって水を頭から被って撃つ
第4話:並べたボウリングピンをエアライフルで撃ってストライクを出す
→陽炎でできる虚像を消すため、1番ピンの縁を撃ってピンを回転させて風を起こす
第5~6話:500mを走った後、エアライフル伏射。X以外は全て0点となる
→心臓の鼓動による影響を消すため、いつも持ち歩いてるコルト・ポケット(モデルガン)のマガジンを脇に挟んで射撃
第7話:いつ飛び出してくるか分からないクレーに対して、2人で並んでエアライフルで撃つ
→同時に撃ち同時に当てるが、AR弾の回転力がより強い(そうなるように弾を選んだ)主人公が勝つ
第8話:主人公のライバル2人の対決。同時に撃ちだされる4つのクレー(うち3つは虚像)を瞬時に見極めて撃つ
→4つが同時に重なる瞬間を狙う天才肌キャラ vs クレーが出す飛翔音を聞き分けて撃つヨガ達人キャラ
第9話:一直線に5つ並べられたターゲットのうち、一番後ろにある5枚めのターゲットを撃つ
→水面に写るターゲットを見て跳弾で狙うヨガ達人キャラ vs 2丁のライフルで同時撃ちして弾の威力を増して貫通させる主人公
 

papyun-03世界中から射撃エリートの素質がある若者を集めて育成するクラブに、ガン好きなだけの素人の主人公が「自分もそれに入れてくれ」と強引に迫る。しつこい主人公を諦めさせるため、無理な勝負が提案されるが……という展開。この手の漫画ではお決まりのパターンではある。(画像引用元:パッピュンボーイ 第1巻)

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papyun-05ライフル立射など全くの素人という主人公が編み出した「必殺技」が「サーフィンショット」。身体をわざと大きく揺らし、サイトが10点を通るその瞬間にトリガーを引いて撃つというもの。「人並み外れた動体視力を持つ主人公だけが使えるワザ」という説明がされている。「ただのタイミング撃ちじゃねーか」というツッコミはヤボってものだ。(画像引用元:パッピュンボーイ 第1巻)

2巻の最後で、世界大会に出場する日本支部の代表選手を選ぶ選考会に主人公が優勝し、「やったー!世界大会だーっ!!アメリカだ!!」となったところで、唐突に話は終わってしまう。3巻に続きそうな雰囲気はあるのだが、どの資料を見ても2巻までしか発刊されていない。

おそらく、いや間違いなく打ち切りになってしまったのだろう。単行本未掲載分の連載があるのかどうかは確認できなかった。破天荒すぎるライフル射撃の描写がアダになったのか、いやそもそもの問題としてライフル射撃を題材に子供向けの漫画を連載するなんていう試み自体が無謀なものだったのか。

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狙撃といえばこの人、ゴルゴ13

およそ日本においては「スナイパー」の代名詞的存在といっても過言ではないと思われるのが、ゴルゴ13だ。漫画なんか全く読まないウチの父親ですらゴルゴ13のことは知っていたくらいだ。ジブリ作品を見たことがない人はいても、ゴルゴを読んだことがない人は、少なくても日本にはほとんどいないんじゃないだろうか。

M16アサルトライフルをベースとした狙撃銃というイメージが強いゴルゴだけれど、純然たる競技銃であるアンシュッツのボルトアクションライフルもたびたび登場している。とはいえ、ほとんどの場合は対人狙撃銃としての役割だ。かなり初期のエピソードである「狙撃のGT(3巻に掲載)」にて、22口径のアンシュッツをベースに「30-06にボアアップした上にエレクトリック・セット・トリガーに改造」という無茶をしたもんが登場したのが有名である。
 

golgo-01なにぶん大昔(1969年発表)の話なので、細かい部分へのツッコミ所は山程あるが、そりゃまあ仕方のないところだろう。この話で銃の改造を依頼されるガンスミスは、のちに何度も登場する「ゴルゴに最も信頼される男=デイブ・マッカートニー」に少し似ているがよく見ると全く風貌が異なり、明らかに別人である。画像はゴルゴ13 第3巻収録の「狙撃のGT」より引用。

完全な競技射撃の話というと、1996年発表の「フルマーク」がある(第117巻収録・第393話)。50mライフル射撃女子がメインとなっている話で、絵柄が普段のゴルゴ13と大幅に異なるためゴルゴマニアの間でも評価が分かれる作品なのだそうだ。オリンピックイヤーということもあって「アトランタ」という具体的な地名も出てきたりする。
 

golgo-02秘密のベールに隠された新興射撃銃メーカー「ダーレン」の銃を使う「モニカ」と、モニカと同じく代表の座を目指す「メアリー」を軸に話が進む。絵柄が独特なので、このページだけ抜き出してもとても「ゴルゴ13」のワンシーンとは思えないね……。画像はゴルゴ13 第117巻収録の「フルマーク」より引用。

社会人射撃ネタで新人賞

週刊モーニングの誌上にて、2015年からリニューアルされた新人賞である「THE GATE」の第1回の入賞作がライフル射撃ネタだった。人生の目標を失い、ただバイトの事務職をこなしつつ時を送る30代に差し掛かった女性が、ふとしたことで出会った昔馴染みに誘われてライフル射撃を始める……というもの。荒唐無稽だったりファンタジー的な要素はこれっぽちもなく、これ以上ないほど地に足が付いた、言い方を変えると泥臭い描写の中に、おそらくほとんどの読者にとっては全く未知の世界である「ライフル射撃」という要素が加わり、なんとも言えない独特の雰囲気を持つ作品になっていた。
 

teiji-01「定時退社でライフルシュート」田素弘(でんもとひろ)。週刊モーニング2015年51号に掲載。なんの気なしにページをめくっていたら、唐突に見たこともない絵柄で、ガチなライフル射撃競技の話が載っていたんで、ビックリしたのなんの。(画像は週刊モーニング2015年51号より引用)
teiji-03ストーリーは、なんの説明もなく唐突に、どこぞの大会(おそらく全日本選抜とかそこらへん)のファイナルで3位が決定し2人が残ったところから始まる(もちろん、この残った2人が軸となってストーリーが展開する)。ライフル射撃ってなに?とか、ファイナルのルールってどうなってるの?とか、そこらへんの解説は一切ないところが潔いというかなんというか。ここからページをめくると、数年前に時間が遡り回想シーンに入り、しばらく読み進むと再度場面が現在に戻り、また回想に戻りを繰り返す構成になっている。(画像は週刊モーニング2015年51号より引用)
teiji-02ところどころにライフル射撃あるあるネタが挿入される。また、射撃中の視線や心理の動きなんかの描写が実に見事だったりする。そんなことからてっきりライフル射撃経験者なのだとばかり思っていたのだけれど、「THE GATE」の受賞作紹介ページに掲載されている選考議事録によると、作者はライフル射撃の経験はないのだそうだ。マジかよ。(画像は週刊モーニング2015年51号より引用)
週刊モーニング2015年51号に掲載。左のリンクはAmazonのKindle版販売ページ。

「射撃部ネタで萌え4コマ作れないか」とか、そりゃ思ったことあるけどさー

冒頭でも紹介した「ライフル・イズ・ビューティフル」。Webコミックのサイト、「となりのヤングジャンプ」にて連載中だ。

「ヤングジャンプ」というと、不良が血まみれになって殴りあってるようなマンガばっかり載ってるってイメージがあるのだけれど、「ライフル・イズ・ビューティフル」はそういう系統とはまるっきり別方向の、可愛らしい女の子4人組がメインとなったほのぼの日常系……ぶっちゃけて言うと「萌え4コマ」である。「まんがタイムきらら」系の4コマ雑誌に載ってるほうがよっぽど「らしい」ジャンルなので新連載当初は違和感バリバリで、実際に今でも「となりのヤングジャンプ」のメイン読者層にはそれほど大きな支持を受けてはいなさそうな雰囲気がある。ただ、現時点ではおそらく唯一の「ライフル射撃を題材にした連載漫画」ということもあって、競技射撃やってる人の間ではじわじわと知名度が高まっているという実感がある。
 

rib-03といっても、なにせ見た目はこれ以上ないってくらいに地味なライフル射撃。「パッピュンボーイ」みたいに、むやみに荒唐無稽な要素をぶっこんでハデにもり立てるのも一つの方法なのかもしれないけれど、「ライフル・イズ・ビューティフル」では、もう開き直って地味なものは地味なまんま、「こんなに地味なんだよー、これでもスポーツなんだよー、おかしいよねー」って自虐ネタにしていく方向で固まってるようだ。(画像は「ライフル・イズ・ビューティフル:となりのヤングジャンプ」より引用)
rib-04アオリ文にまで交じる自虐ネタ。(画像は「ライフル・イズ・ビューティフル:となりのヤングジャンプ」より引用)
rib-02誰もが一度は言われたことがあるであろう、「ビームライフルってガンダムの?」ってネタとか、ビーム射撃場でフラッシュ炊いて写真撮ると並んでる標的全部が10点になって王冠が光り輝くとか、基本的にはこの作品全体が「射撃部あるあるネタ」でうめつくされているといっていい。ということは、もしかしたら、取材などで仕入れた射撃部ネタを使い果たしたときが、この作品の終わり?(画像は「ライフル・イズ・ビューティフル:となりのヤングジャンプ」より引用)
rib-05圧倒的な実力を見せつける、孤高の無口系キャラ、ガッちゃんこと五十嵐さん。射撃時に頭を左右に振るクセがあるとか……これは、伝説のサーフィンショットなのか!?(多分違います)(画像は「ライフル・イズ・ビューティフル:となりのヤングジャンプ」より引用)

なお、「ライフル・イズ・ビューティフル」の第1巻は5月に発売予定とのこと。さあライフル射手のみんな、買って応援だ……?

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