前回のエントリでは、「トリガーを重くするためだけに存在しているように見える部品が1個あるが、それを外すとキレがとても悪くなってしまう」というところまで説明した。
これが、その謎のキレ部品である。
この部品の正体は、シアが切れかかる直前になってトリガーに接触して射手に「ここから少しでもトリガーを引くと弾が発射されるぞ~」と知らせるためのものではないだろうか……というのが現在の所の私の見解だ。左はこの部品を含めたAPS-3のトリガーの構造図だ。
こういったトリガーは決して斬新なメカニズムというわけではなく、競技用のオート拳銃(ラピッドファイアピストル競技とかに使うヤツ)ではオーソドックスな方法……だそうだ。当サイト(ACCRACY LABORATORY)を作って以来リンクしていただいている25th websiteに掲載されている、たかひろさんによる解説が非常に分かり易いので参照いただきたい。
この解説ページにあった名称を参考に、この「謎の切れパーツ」のことを「セカンダリ・プレッシャー・レバー」、長いので略して「セカンダリレバー」と呼ぶことにする。セカンダリレバーがある状態でのトリガー・ストロークとプルをグラフにすると下記のようになる(あくまで概念図。実測値ではない)。
引いた感じは2ステージ・トリガーだが、実際は3ステージ・トリガーとでも呼ぶべき構造だった……ということだ。1ステージと2ステージの境目が非常に曖昧なので、感触は完璧に2ステージ・トリガーとなっている。
ここでセカンダリレバーを外すとトリガーの動きはどうなるかを図示する。
トリガーに圧力を与える部品が一つ減ったため、トリガー・プルは劇的に軽くなる……が、切れの良さも失われる。ストローク/プルのグラフ(概念図)を下に示す。
いくらトリガー・プルが軽くても、こんな「いつ弾が発射されるか分からないトリガー」では競技には使えない。なんとかしてこの状態でキレを良くする方法はないだろうか……と試行錯誤をすることになる。
今回はここまで。次回更新は水曜日の予定。