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韓国の人に学ぶピストル射撃 その6「フォロースルー」【海外の反応】

投稿日:2016年8月5日 更新日:

ASC(ASIAN SHOOTING CONFEDERATION)提供の「基礎から学ぶピストル射撃」動画について、私のショボいヒアリング能力で聞き取れた範囲で内容の簡単な紹介と、一般的な「ピストル教本」とのちょっとした違いについて解説していきたいと思います。

いちおう、この「フォロースルー」で最終回ということのようです。さすがにフォロースルーだけで1回分の尺は埋まらなかったようで、後半の数分は前回(トリガープル)で言ったことの繰り返しになっています。

今回の見どころは、「着弾が散るとき、その原因として予想されるのは何か?」ってところです。以前、TargetTalkから引用したピストル射撃の診断チャート(どういう理由でどっちに外れるかのチャート)がありましたが、それの韓国版ってところですね。前回の診断チャートは、「これ、なんか違わないか?」みたいな内容がところどころに混ざってて、コメントでも疑問を感じてる人がちらほらいたりしましたが、韓国版の診断チャートはどのくらい信用できるものなのでしょうか?

Part.7 フォロースルー(Follow through)

※以下、画像は上記動画内より引用(あきゅらぼロゴが入っているものを除く)

フォロースルーとは、トリガーを引いたあとも1~2秒間銃をターゲットに向けたままにしておくこと

asc-7-1

上の図で緑で示したのが、「呼吸」「筋肉のリラックス」「照準」
赤が、「トリガーを引くこと」
青が、「呼吸」「筋肉のリラックス」「照準」「トリガーを引くこと」(全ての統合)
射撃プロセスにおいて、撃発の前と後が対等な関係になるようにする
これは、射手は自らの銃を、撃発の後も少しの間、保持したままにしなければならないという意味である

射撃プロセスとは下記のようなものである
・インターバル
・呼吸
・筋肉のリラックス
・照準
・撃発

これを行っている間、射手はリコイルを感じ、そして弾着がどこになったかを見積もらなければならない

※以前書いた「コール」のことですね

撃発を行ったその時には、フォロースルーに移行している必要がある

ごく限られたトップレベルの射手でもなければ、フォロースルーをいちいち練習する必要などないと思われがちである
多くの射手は、弾が銃から離れ、銃身が空になるまで銃を保持していれば、それで良いと考える
しかしフォロースルーは、(一部のトップシューターだけでなく)多くに関係のあることである
経験豊富な射手は、反動が発生してそれが終わった後まで、自分の射撃がどういうものだったのかを解析し分析しようと集中を続ける
射手は、リコイルの感触と方向を正確に感じ取ることで、弾がターゲットのどちらの方向に当たったかを「分単位」で予測することが可能である
 

asc-7-2※ここでいう「分」というのは時間ではなく角度のことです。図のようにターゲットを時計板と見なして、中心から見た方向を「9時方向の8点くらい」という具合に表現するのですが、それを「9時20分方向の8点」という細かいレベルで予測できる、って意味だと思います。……いくらなんでもそんな。

撃発時の銃口の動きには、毎回ほんのわずかな差が生じる
射手はそのことを認識しなければならない
それは、次の射撃を修正するために必要なことである
「自己認識を元にした射撃の修正」を行うためには、一つ一つの射撃に対して慎重な分析が行われていることが必要である
その「慎重な分析」とは、フォロースルーが行われている時間内に発生するものである

弾着の散りと、予想される問題点

asc-7-3グリップを握りこむことで撃発している
サイト・ピクチャー(サイトと標的の位置関係)に問題がある
呼吸の制御に問題がある
手首を固定できていない

asc-7-4サイト・アライメント(前後サイトの位置関係)に問題がある
腕の位置が動いてしまっている
照準に問題がある

asc-7-5眼のピントが標的の方に行ってる
親指に力が入りすぎている
トリガーを引くのが遅すぎる

asc-7-6照準が遅すぎる
トリガーの引き方に問題がある
集中力が足りない

1発1発の射撃の間に起こったことは、次の射撃の結果に影響を与える
その時間は、次弾の装填、身体のリラックス、休憩のためのものである

これが、トリガーを引き絞っている時に見えているサイト・ピクチャーである
これが、撃発の瞬間のピストルの動きである
動くのはトリガーを引いている指だけで、身体の他の部分は一切動かない
ピストルを下ろすのは、フォロースルーのために弾を撃ってから1~2秒経ってからにする
このルーチンを守ることにより、40発あるいは60発の試合中、同じように技術を発揮することができるようになる
フォロースルーが完璧に行われた時、自己分析も成功している

本番(試合)においては、成功は数発の完璧な射撃によってもたらされる
そしてそれは、最初と最後に来るものである
一般的に、試合での最初の1発と、最後の1発は、非常に難しいものである

自らの呼吸、照準、筋肉のリラックス、そしてトリガープルを、どのようにコーディネートするか?

asc-6-2

黄色い線が「集中」
赤い線が「呼吸」
青い線が「筋肉のリラックス」
トリガー・タイム(実際に撃発が行われる時間帯)は、その3本の線が交差するところに来るように調整する
トリガーにかける圧力は黒い線で示されている

トリガーフィンガーは、サイト・アライメントを乱さないように動かさなければならない

経験の浅い射手にとって、撃発というのは単に「トリガーを引く」という単純なものではなく、より複雑な動作である
「サイト・ピクチャー」、「グリップの保持」、「トリガーの引き方」
その全てが包括的に、かつ同時に、一つの行為として判断される

撃発というのは、言葉では言い表せない数多くの心理的な瞬間から成り立っている
それは、心と身体が完全に強調した動作によるものである

(ここから先は前回と同じ内容の繰り返し)

フォロースルーを取る理由を、単に「トリガーを引きながら銃を下ろし始めてしまう悪癖を防止するため」というだけではなく、射撃直後に「今の射撃」がどうだったのかを振り返って分析するための重要な時間である、と位置づけているところが教本では見ない新しい箇所だと思います。

これは、確かにその通りです。自分で撃ったその1発1発を検証し分析し、そして実際の結果(弾着)と比較することで何が良かったのか何が悪かったのかを知ること、あるいは「何が良くて何が悪かったのかがわからない」ということを知ること、それをただひたすら積み重ねることで上達への道を探るのが射撃ってスポーツです。

ただ、今回もまた登場したトリガーへの圧力のかけ方を図示した赤青黄の線と黒い線のグラフ、これはやっぱり突っ込みどころが満載ですよね……。「赤青黄の線が交差するところを目指して黒い線を伸ばしていけ」みたいなことを言ってますが、集中・呼吸・リラックスってそれぞれ単位が異なるんだから、同じグラフ上に配置するときに縦線の目盛り幅のとり具合で「交差する場所」なんていくらでも左右に動いちゃうじゃないですか。中学校の数学からやり直してこいって言いたくなります。

単に「集中が最高峰に達してるあたりでちょうど撃発するように、トリガーに圧力を加え続けろ」って意味なら、必要なのは黄色と黒の線だけで、赤と青の線って描く意味がそもそもないってことになりませんか?

……まあ、あくまでイメージとしてそうなんだってことで提示してあるグラフだとは思いますが、「なんか違う、これはなにかが違う」って私の頭のなかで何かが訴え続けてるんですよ……。


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