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ワインツーリズム2010-02 ~マンズワイン~

投稿日:2011年9月30日 更新日:

ことしも、ワインツーリズム2011の予定が発表された。発表されて受付開始したとほとんど同時に、いくつかのオプショナルツアーが定員に達して締め切ってしまったところを見ると、去年・一昨年以上の賑わいとなることは間違い無いだろう。

ふと気がついてみれば、昨年のワインツーリズムに参加したときに回った各ワイナリーのレポートが、一番最初に訪れた奥野田葡萄酒で止まってしまっていた。なんと2月以降、半年以上も放置状態ではないか。こりゃいかん、ということで急遽続きを書くことにした。といっても当時のメモとか写真とか引っ張りだして、薄れかけてる記憶をたたき起こしてのレポートになるんで、まだ興奮さめやらぬ時期に書いたものよりかはアッサリとしたものになってしまかもしれないけれど。

とりあえず第2弾は、奥野田葡萄酒の次に訪れたマンズワインから。

勝沼には数多い、ご夫婦とスタッフだけで経営しているような少数精鋭のワイナリーとは全く違い、施設の規模も従業員の数も桁違いである。なんといっても世界にその名を知られた大企業であるキッコーマンの系列である。年間に醸造するワインの量も、流通している量も比べ物にならない。「ワインを作っている」ということ以外、全く共通点は無いといっても過言ではない。

 

まずは大きなスクリーンと沢山の椅子が置いてある視聴覚室みたいなところに通されて、「マンズワインの歴史」みたいなビデオを見た後、案内の人の説明が始まる。

 

でかい会社だけあって、ワイナリーの見学も他のワイナリーを訪れてお話を聞くのとは全然雰囲気が違う。決められた時間ごとに、決められた形でビデオを見せられて、それが終わったら(暗記した原稿棒読みな感じの)解説が始まり、その後は決められた手順で施設内部の決められたルートを通って決められた解説を聞き、最後にテイスティングルームとワインショップを通り抜けて外に出る、という形式だ。「ワイナリー見学」というよりは「工場見学」といったほうが近い。

こういうやりかたが、いいかわるいかなんて判断はしたくはない…。ワインについての知識も思い入れも様々な大勢の参加者に対して自社の紹介をして、あわよくば売上げにもつながってほしいと考えるならば、効率的で低コストな方法であることは間違いない。「決まった手順でコースを廻る」とは言っても案内してくれるのはロボットでもテープレコーダーでもなくちゃんとした人間なので、質問すれば答えてくれる。それもかなり突っ込んだ、「これは答えづらいだろうなあ」と思うような質問であっても真摯に答えてくれる。ネットでWebサイトを見たり図書館で文献を読んだりするだけでは決して得られない経験をすることができる、「ワイナリー巡り」の最大の面白さの一つであるソレは、確実に味わうことができる。

案内の手順とかやりかたとか、そんな些細なことはおいといて、実際に施設の中身について説明を…。と思っても、やっぱり書くことは似たような感じになる。とにかく、規模が大きい。除梗破砕機にしろ醸造用タンクにしろ、とにかくどれもとんでもなく規模が大きい。

規模が大きければ当然のことながら生産量も多くなり、一本あたりの価格も安くなる。マンズワインのワイナリーは、ここ勝沼と、あとは長野の小諸の二箇所にある。小諸ワイナリーは、長野産のブドウを使ってプレミアム高級ワインを作っているところで、勝沼ワイナリーはお手頃価格ワインを大量生産しているところ、という住み分けをしているとのことだ。「2つワイナリーがある」といっても、生産量で比べたらマンズワイン全体の99%は勝沼ワイナリーで作っているという。

収穫したブドウから茎を取り除く除梗破砕機。勝沼に多い小規模なワイナリーだと、大きくても「人が2人寝っ転がれるベッド」くらいの大きさしかない(小さいものだとそれこそ家庭用洗濯機くらい)ものばかりで、しかもそれでもけっこうな値段がするものらしくどのワイナリーも誇らしげに見せてくれるものだが、ここのは大きさのケタが違う。

 

醸造タンクのでかさもハンパじゃない。内側がガラスでコーティングされた、温度調節機能を持った巨大なタンクが林立している。しかもこの写真に写っているもので全部というわけじゃなく、同規模の「タンク林」が施設のあちこちに点在している。

 

工場見学ツアーの最後に通されるのはテイスティングルームとワインショップを兼ねたエリア。テイスティングは基本的に無料だが、値段が高めの「プレミアムワイン」については有料となっている(といっても1杯100円とかそんな程度)。せっかくなので有料無料含めていろいろと試飲してみたのだけれど…。どれも「いまいち」という感想しか持てなかった。そこまで見てきた、化学工場かなにかにしか見えない醸造施設の印象が尾を引いていたのか、それとも単にこういう「万人向け」な感じで醸造されたワインに対して魅力を感じないようになっちゃってたのか、そこまではわからない。私は別に神の舌とか持ってるわけじゃない、基本的には「ワインの細かい違いなんか分からない大雑把な男」なんだから…。

でも、自信を持って提供されているソラリスシリーズ(マンズワインの中でも一番高級なライン)でさえ、「んー、なんだこりゃー?」な印象しか受けなかったというのはなぜなんだろう。とにかく、ここ(マンズワインの勝沼ワイナリー)に関してはもう一度行きたいとは思えない。

今年のワインツーリズムに参加する人に対しては、「あそこで時間を使うくらいなら別の所行ったほうがいいよ」と薦めたい。ここが悪いというわけではなく、こういった大企業のワイナリーツアーなら、わざわざ年に一度のワインツーリズムの機会を使わなくても、いつでも同じ体験をできるだろうと思うからだ。バスが町内を循環し、ワイナリーも年に一度のお祭りのために特別に準備万端で訪れるお客さんを待ち構えてくれている、そんな日にわざわざ大量生産の「いつもどおりの同じもの」を見に来るのに時間を使ってしまうのはもったいない。

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