2016RIOオリンピックが終わり、次の2020TOKYOにむけての前哨戦がスタートしました。その第一弾となる世界大会、ISSFワールドカップの2017年第1回大会が、先月末にインドのニューデリーで開催されました。
10mピストル(エアピストル)では、日本の松田知幸、堀水宏次郎の2人がそれぞれ本戦4位・8位でファイナルに進みました。松田知幸は中盤から高得点を連発、2位以下に圧倒的な大差を付けてそのままフィニッシュ、ワールドカップで7個目の金メダル(エアピストルでは2個目)を獲得しました。
(文中敬称略で失礼します)
ISSFニュースでも当然とりあげられていますので抜粋して翻訳してみます。
Men’s 10m Air Pistol: Matsuda beats Olympic Champ Hoang, India’s Rai pockets Bronze.
http://www.issf-sports.org/news.ashx?newsid=2747
2010年の世界チャンピオンである日本の松田が、今日の10mエア・ピストル・メンズ最終戦でベトナムのオリンピックチャンピオンであるホアンを圧倒しました。インドのJitu Raiは一時は7位まで順位を落としたところから3位まで順位をあげ、ホームの群衆の支持を得て銅メダルを獲得しました。
現在のオリンピックチャンピオンであるベトナムのホアン・スワン・ヴィン(42)と、2010年世界チャンピオンである日本の松田知幸(41)が、ニューデリーで開催されたISSFワールドカップの男子10mエアピストルファイナルのスコアボードの上で決闘しました。
2人の経験豊富な選手が互いに首位を奪いあう展開になりましたが、ファイナルの18発目で松田がホアンに差をつけ、そのまま最終発までリードを守りました。
日本の射撃選手は240.1点のスコアで最も眩しく輝くメダルを獲得し、エアピストルの新しい世界記録を樹立しました(訳者注:ファイナルのルールが変わったので優勝すれば自動的に世界記録だったのです)。彼が前回獲得した金メダルは、6年前にシドニーで行われたISSFワールドカップのものです。
オリンピックチャンピオンのホアンは236.6得点で2位につけました。
しかし、観衆の注目は、地元インドの選手であるJitu Rai(29)でした。彼のファイナルのスタートはけっして良いものではありませんでした。12発目の時点で彼は7位まで順位を落としており、わずか0.2ポイント差で最初の8位決定(脱落)から生き残りました。それが転換点となりました。熱狂的で騒々しい故郷の群衆に支えられ、Raiはターゲットに集中することができました。
優秀な10連射でベトナムのTRAN Quoc Cuong(155.8点で6位)、中華人民共和国のYANG Wei(176.2で5位)を追い抜き、順位を上げました。
18発目でRaiは10.6を2連射しメダルを確定します。地元インドサポーターの大歓声の中、合計216.7ポイントで銅メダルを獲得しました。
最初に「オリンピック前哨戦」と盛り上げる書き方しましたが、実は今の段階ではまだISSFワールドカップにはオリンピックの出場権がかかっていません。オリンピック開催2年前あたりからワールドカップで上位に入った選手の所属国にその種目での出場権が与えられるようになっていきます。だから今はまだ、「前哨戦の、そのまた前哨戦」といったところです。
とはいえ、来るべき2017-2020に向けて射撃シーンがどう移り変わっていくかを見るのに重要な「第1戦」であることは確かです。特にガンマニアとしては選手の皆さんの使用銃がどうなってるのかが気になるところ。そこでファイナル出場選手の使用銃をピックアップしてみましょう。
※写真は以下全て、ISSF公式動画よりキャプチャしたものです。
という具合で、一番多いのはモリーニCM162Eで3人、Evo10EとLP10Eが2人ずつ、そしてなぜかメカニカルトリガーのLP10が1人という結果になりました。これまでLP10Eを使っていた人はこのままEvo10Eに移行するのか、生きた化石のごとしモリーニはいつまで生き残るのか、バウP8XやマッチガンズMGH1を使う人は現れるのか。
この大会は開催地がインドだったためか全体的にアジア勢が多く、ヨーロッパ勢があまり参加していませんでした。今後、ドイツやロシアやフィンランドやウクライナといったヨーロッパの強豪も参加する大会においては使用銃がどんな割合になっていくのかも興味深いところです。