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マグリット展 in 国立新美術館

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magritte2015-enter「あきゅらぼ」は、射撃とか銃の話がメインのブログですが、時々そういうのとは全然関係ない話も混じることがあります。その中でもダントツで人気がない(アクセス数が少ない)のが、「美術館行ってきました」系のエントリーです。周囲の人に話を聞いてもそういう趣味を持ってる人って皆無で、中には「わざわざ金払ってまで美術展とか見に行くとか神経知れない」に近いことまで言われることもあったり。

でも実際に見に行くと、けっこう大勢の人が見に来ているし、世間一般的にはそれほどマイナーな趣味ってわけでもないと思うんですが……。

まあ、それはそれとして、久々に仕事が片付いたんで、国立新美術館で6月末までやってるマグリット展に行ってきました。確か昭和の終わり頃にも大きなマグリット展があって、当時けっこうドハマリしてたんで展覧会に通うばかりか、大きなポスターまで買ってきて部屋に貼ってたりして、若気の至りってやつだったなあと懐かしく思い出します。

マグリットというと、トップ写真にあるように入り口案内にも使われている「曇り空(夜空の場合もあり)が大きく鳥の形に切り抜かれて青空になってる」というモチーフが、日本だととにかく大人気で有名だと思います。シュールレアリズムの巨匠って立ち位置になる画家ですが、この絵が有名なせいでポスターだとか広告だとかの商業デザイナーみたいなイメージがけっこう強かったりするかもしれません。

まあ実際、糊口をしのぐためにその手のデザイン、いわゆる万人受けする綺麗で見栄えのするデザイン画なんてもんもたくさん手がけてたりするみたいで、今回の展覧会でも一番最初の方にそういった商業デザインのお仕事が展示してあったりします。

この手の回顧展のお約束として、初期の作品、そして誰かの影響を受けて作風が激変するその経緯、そして良く知られている「その画家らしい」作品(メイン展示ですね)、そして晩年に描いた作品でオチを付けて出口へ、という流れになってます。ある程度基礎知識があるとわかりやすくて面白いんですが「青空の形のトリ」だとか「山高帽の男と浮かぶ球体」みたいなマグリットっぽい絵を期待して美術展に足を踏み入れると、いきなり目に入ってくるのがピカソの劣化コピーにしか見えない絵だとか、ごくフツーのハデな色合いのポスターだとかだと、「え?なにコレ」ってなってしまうんじゃないでしょうか。

最後まで見て、もう一度最初から見返すと改めてどういう意味があるのか、どういう流れでこういうことになったのかってことを確認できる、というかそうしないとまず何がなんだか分からないものだと思うんですが、何故か再入場不可なんですよねこのチケット。しょうがないんで出口のところまで来たら、人の流れに逆らって入り口まで戻って、また最初から見直すなんていう見方をしてきたわけですが、これってノーマナー行為と批判されたりしないですよねえ……?

マグリットの作品は、同じ「シュールレアリズム」ってカテゴリーにあっても、先日行ってきた諸橋近代美術館に所蔵されているサルバドール・ダリの作品とは大きく印象が異なります。ダリの作品が肉感的・感情的とするなら、マグリットは精神的・理性的ってイメージでしょうか。けなすような言い方すると、「すましたポスターデザインみたいな絵」って表現が近いかもしれません。

別の言い方をすると、「理屈っぽい」。わけのわからないモチーフがありえない形で配置されてるって点では同じでも、問答無用の迫力で迫ってくるダリの作品と違って、マグリットの作品はある程度の知識が要求されることが多いんですね。まあ、大人気の「大家族(曇り空の中に、ハトの形に切り抜かれた青空が見える絵)」だとか、「光の帝国(空は昼間の青空なんだけれど町並みは真夜中)」なんかは、細かい理屈抜きで楽しめる絵で、だからこそ人気なんだと思いますが。

絵の中に文字が書き込まれていたり、あるいは文字そのものが絵を構成する一要素になっていることが時々あるんですが、フランス語なんで何書いてあるのかわかんないんですね。言葉の意味が大きな要素になってるんですから、せめて日本語でその言葉がどういう意味なのかくらい、絵の横に解説文を付けておいてもバチはあたらないと思うんですが、今回の回顧展ってそういう説明書きが極端に少なかった気がします。絵だけポンと置いてあって、ただそれだけ。配置の順番なんかにはそれなりに工夫が凝らされていて、それぞれのコーナーの入り口にはそれなりの解説文があるにはあるんですが、個々の絵についてはほとんど説明無し。ちょっと不親切だったんじゃないかなあ。

不親切といえば、一番最後に展示してあった「イメージの裏切り」って絵が不親切極まりなかったですね。いかにもマグリットって感じの見栄えのする絵が並んだ部屋、いわゆる「今回のメイン展示部屋」から外に出る通路に相当する場所、その曲がり角に目立たないようにひっそりと、パイプを描いた小さな絵がかけられています。どこからどう見ても、ただのパイプの絵なんですが、その絵の中にはフランス語でなにやら文字が書いてあります。

「これはパイプではない」と書かれているんですね。パイプの絵なのに、「これはパイプではない」と文字で説明書きがある、そこがこの絵のキモになるところなんですが、そのフランス語が日本語でそういう意味なんだってことが全くどこにも書かれていません。絵の説明書きにもありませんし、音声ガイドですらそこは完全スルーです。私だってフランス語なんか分かりません。若い頃に見に行ったマグリット展で詳細な解説付きで絵が展示してあったから知識として知ってるだけです。

オチ担当の絵だというのに、これじゃ多くの人がそこにオチがあるってことすら気づかずに通りすぎてしまいます。もしかしたらそれが今回の回顧展の狙いだったんでしょうか。イジワルだなあ。

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