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第53回・静岡ホビーショー(前編)

投稿日:2014年5月19日 更新日:

先週末に静岡で開催されたホビーショー。模型・RC関連の展示会としては日本最大のものの一つで、特に今回は一般公開日に自衛隊が10式戦車を展示するとかいろいろと特別イベントもあって大賑わいになった。

今回はトイガンJPに掲載するのはダイジェストのみにして、細かいレポートはこちらでお届けする。

東京マルイの新製品はまさかのガスブロM4

事前に東京マルイ公式サイトの先取り情報にて「M4の新製品が何か出るらしい」ということだけは公開されていた。どんなM4が出るのかと多くの人が色々な予想をしていたが、その中でも「まさか、それはないだろう」と思われていた予測が的中することとなった。

今回の目玉である、ガスブローバックのM4、その名も「M4A1 MWS(Modular Weapon System)」である。発売時期は「2014年中」、価格は「東京マルイらしい、極端に高価にはならない範囲」と未定づくしで、試射はおろか触らせてもらうことすらできない状態ではあったが、デモンストレーションでは極めて激しく快調なブローバックを披露してくれていた。

会場入り口入ってすぐの目立つ場所で本邦初公開となった、M4A1 MWS。形としては通常のM4A1をベースに、ナイツ・アーマメント製のレールハンドガードやフリップアップ式リアサイトに換装したものだ。

次世代M4ベースなのかと思いきや、ほとんどすべてが新しく作りなおされた全くの新製品。電動では無理だった薄めのレシーバーや、実銃と同じように筒状になったボルト類などは金属製。

ボルトの形状は、実銃にはあるボルト・キイ(銃身先端からパイプを通して導かれてきたガスを受け止めるパーツ)が見当たらないなど、エアガンならではのアレンジがされているようだ。「中身はほとんど実銃そのまま、ただ火薬じゃなくてガスで撃つだけ」みたいな製品ではなく、あくまでエアガンとしての性能を重視、その上で可能な限りホンモノ感を高めていこうという東京マルイならではのアプローチということなのだろう。

特筆しなきゃならないのが、表面処理だ。単なる黒染め塗装ではなく、「セラコート」という米軍で使われているのと同じ特殊な焼付け塗装となっている。刻印類にも注目。実銃にあるものはハッキリクッキリしたもの、「MADE IN JAPAN」とか「TOKYO MARUI」とか「ASGK」とか実銃にはないものは、目を凝らさないと見えないくらいにうっすらと入っているというメリハリが付けられている。

レシーバーやハンドガードに施されたつや消し黒のセラコートと、エジェクションポートから覗くボルトの色合いの違い。セラコートとはセラミック粉末を含む強固な塗料によって、表面の保護だけではなくオイルを含み長時間超耐久の潤滑も行なうというもの。「こびりつかないフライパン」なんかに良くある高耐久のテフロンコーティングがあるが、アレよりもっと耐久性が高いというのがウリになっている。

フロントサイト周り。今回公開されたものは通常のM4A1と同じ三角の形をしたフロントサイトが付いていたが、「MWS(Modular Weapon System)」と名乗るからにはここをガスブロック+フリップアップ式フロントサイトに変更したりといったカスタマイズを行なうことも、当然選択肢に入る仕様になるのではないかと思われる。

ようやく表に出てきたガスブロM&P

モックアップだけの展示があまりにも長かったガスブローバックハンドガンの新製品だが、先月に発売となったHK45に続き、こんどはM&Pがホビーショーに登場した。

S&Wが、かつて自社のリボルバー黄金時代を築いた歴史に残る名銃である「ミリタリー・アンド・ポリス」の名前を受け継ぐポリマーフレームオートとして発売、バランスが取れた高耐久の実用ハンドガンとして、多くの法執行機関に採用されるヒット作となったのがM&Pだ。

東京マルイのM&P9には、実銃と同じようにS/M/Lの3サイズの「パームスウェル・グリップ」が付属する。同じ警察官でも体格・性別・人種がバラバラなアメリカにおいて、誰でも無理せず使えるようにグリップのサイズを手軽に変更できる仕組みというのは、最近のポリマーフレームオートでは必須となりつつあるギミックだ。

フロントサイトとリアサイトは、両方とも金属製の別パーツ。狙いやすいようにホワイトのドットが入っている。

左右に設けられたセーフティーレバーは、両方とも連動してちゃんと機能する。スライドストップやマガジンキャッチなどもすべて、ほぼ同じ形・大きさのものが左右両側に設けられている。片側にしかないのは分解するときに操作するテイクダウン・レバーくらいだ。

グロックみたいに真四角ではなく、丸みを帯びたデザインになっているスライド。このデザインのおかげで、実際のサイズ以上にコンパクトに感じる。レバー類も丸みを帯びていたりスライドに埋め込まれて一体化するようなデザインになっており、全体的に引っかかりが少ない携帯しやすさを追求したデザインになっているのがよく分かる。

スライド左側面やグリップ側面、底部にあるS&Wのロゴマーク。妙なアレンジなどない、ホンモノと寸分違わぬマークだ。

ホールドオープンさせたところ。レール部分やスライド内部のブローバックエンジンが擦れあう「シャキン、カチン」という金属音が心地よい。

日本製の玩具銃なのだから当然だが、スライドもフレームも両方とも樹脂製。だが、実物はスライドが金属、フレームが樹脂製という違いがある。表面処理によって、素材の違いがリアルに表現されている。

フレーム右側面にあるシリアルナンバー・プレート。金属プレートが埋め込まれているのかと思ったが、別パーツではあるもののここも樹脂製なのだそうだ。こういった細かいところで表面処理を変えて別パーツ感を出してくれるのは嬉しい。

物凄くさりげない「リアルさの演出」が、エジェクションポートカバーに小さく開けられた穴から、中に入っている薬莢の真鍮色が覗けること。写真でも拡大しないとわからないくらいささやかな真鍮の輝きだが……。もちろんこれはガスガンだから中に実弾なんか入っていないし、薬莢も存在しないのだけれど、まるで実銃を手にしているかのような雰囲気の演出になっている。

ダイキャスト製のマガジン。装弾数は25発だ。これは展示&デモンストレーション用ということで、空撃ちモードに変換するためのアダプターがフォロワーの上に挟み込まれている。

ガスショットガンにバリエーション登場

東京マルイの最近の新製品の中ではちょっと異色な存在となっているガスショットガン、M870。ゲーム用ツールとして考えると、もっと短く切り詰められた、いわゆる「ブリーチガン」と呼ばれるタイプのものが出てくれば嬉しいのだけれど、という声が聞かれたが、そこらへんは承知の上ということか、早速「まさにコレ」というバリエーションが登場した。

レミントンM870は狩猟などのスポーツ射撃用、あるいは実用銃として民間でも広く使われているポンプアクション式ショットガンの大ベストセラーだが、法執行機関向けに長さやストックの有無、レールなどを入れ替えることができる「MSC(Modular Combat System)」というバリエーションも存在する。民間での平和な使用方法じゃなく、より物騒な用途に使うことを前提にした製品ということになる。部品やアタッチメントの付け替えによって様々な形になるM870 MCSだが、その中でも最も短い形、言い換えると「物騒な用途に使う形」を再現したのが、「M870 Breacher」と名付けられた東京マルイの新製品というわけだ。

グリップはリボルバー用のものにしか見えない。実はホンモノではリボルバー用のカスタムグリップの最大手「パックマイヤー」のものが使われている。警察用として非常に長い期間使われてきた伝統的なリボルバーのグリップと同じ形になっていることによる安心感みたいなものがあるのだろうか?

東京マルイの「M870 Breacher」では、このグリップ内にガスタンクが収納される。底部のボタンを押すと「プシュッ」という音がしてタンクが抜け落ちてくる。満タンにチャージして「50ショット」の発射が可能とのこと。1ショットで3発発射できるので弾数にして150発ということだ。

ポンプする手が滑って銃口の前に行ってしまうことによる自分の手を撃ってしまう事故を起こさないように、大きめのガードが付けられたフォアエンド。トリガーを引いたままこのフォアエンドを操作することで素早く連射する、東京マルイがいうところの「ラピッドファイアシステム」も搭載しているとのこと。

このガスショットガンと、過去に発売されたエアコッキング式ショットガンの両方に使えるショットシェル型マガジンを銃の側面に保持できるシェルホルダーが発売になる。これまでも、実銃用の汎用パーツを使ったり自作したりして、ストック側面などにシェルホルダーをつけている人はサバイバルゲーム会では良く見かけたので、待望の装備だと言えるだろう。M870 Breacher用のスペアガスタンクも発売になる。

シェルホルダーの装着方法。マウントレールと本体の間に挟み込むようにしてネジ留めされている。

価格や発売日については未定だが、それほど遠くないうちに発売になりそうだ。

電動ハンドガンに新製品登場

ここまで紹介してきたガスガンとは、いわば対極に位置するゲーム用ウェポンが電動ハンドガン。片手で楽々持てる小型のハンドガンサイズなのに、フルサイズ電動ガンと全く同じようにフルオートで射撃することができて、しかも連射してもガスが冷えることもなく、寒い時期でも動きが悪くなったり生ガスを吹いたりすることなく、ずっと同じペースで同じように同じ威力の弾を撃ち続けることができる。サバイバルゲーム用にハンドガンを持ちたいというのなら、有利不利だけを考えるのなら「なんでコレを使わないのか?」と言われてしまいかねない製品だ。

G18C、M93R、USPの3機種が出てからけっこう長いこと新製品が出ていなかった電動ハンドガンだが、昨年末にM9A1が追加になったのに続き、今度はハイキャパ5.1が発表された。また既存製品についてもスライドが銀色となったカラーバリエーションが追加される。

今回発表された、電動ハンドガンのハイキャパ5.1。「ガバメントタイプ」の銃としては初の電動ハンドガン化だ。セミ/フルの切り替えはハンマーを起こすか倒すかで行なうとのこと。ガスブローバックでは、他のすべての製品を合わせたよりも売れていると言われるハイキャパシリーズだけに、電動ハンドガンでもヒットが予想される。発売時期や価格については未定。

フレームとスライドは、ガスブローバックのハイキャパ5.1とは異なり先端までストレートに伸びたタイプのもの。フレームのレール下には、別売りのライト型外付けバッテリーに接続するための電源コードを取り出す穴らしきものがうっすらと見える。グリップ内にメカボックスが入っている電動ハンドガンなので、マガジンは平べったい形のものになる。

既存の3機種に、シルバースライドモデルが追加になる。価格は¥15,800(税抜)。

東京マルイ・その他の新製品

電動ガンBOYs・メタリックモデル

東京マルイから発売されている10才以上用の電動ライフルには、「BOYs」と「LIGHT PRO」の2つのラインがある。それぞれ一長一短があり選ぶ側としては悩ましいところだが、2つのラインのうち先に発売されラインナップの数も多い「BOYs」に新機種が追加される。

M933ショーティカスタムは、M4A1の短縮モデル。既に発売されているM4A1と違ってレシーバートップがレールになっており、SOPMODと違ってハンドガードがレールにはなっていない。商品ポスターだとキャリングハンドルが付いた状態の写真が掲載されているが、展示されていたのはキャリングハンドルが取り外されレシーバートップにリアサイトが取り付けられている仕様だった。

ウリになっているのは、レシーバーがメタリック塗装になっているという点。もともとBOYsは(同じ10才以上用電動ライフルであるLIGHT PROとくらべて)細かい部分のディテールがリアルだという特徴があったが、表面処理に磨きをかけることでさらにリアルさをアップしようというわけだ。

エアリボルバー

発表されて以来、各方面から発売が心待ちにされているエアリボルバーだが、今回は展示はされていたものの、発売時期や予定ラインナップなどに特に進展はなかった。

対象年齢10才以上用として発売される、エアコッキング式のリボルバー。ハンマーを起こすことでコッキングを行うと同時にシリンダーが1/6回転、トリガーを引くとシリンダーに装填したカート内のBB弾が発射されるというもの。その機構上、シングルアクションのみでの射撃になるが、実銃同様の「弾薬の装填、排莢」アクションが楽しめるリボルバーとして期待するファンは多い。

リボルバーはその構造上、発射する度にBB弾を保持するパーツが入れ替わってしまう。エアガンとしては可能な限り安定して同じ状況でBB弾を発射したいのだから、これは決定的といっていい大きなハンデだ。そのハンデを乗り越え、リボルバーでありながら高精度を実現するための苦労が続いているのだそうだ。

とりあえず現時点では、「最初に発売になるのはパイソンの予定」ということ以上のことはわからなかった。

充電器のニューモデル

電動ガンのパワーソースになるバッテリー。現在、東京マルイから発売されているフルサイズ電動ガン用のバッテリー、いわゆる「純正バッテリー」はすべてが容量1300mAhのニッケル水素バッテリーだ。充電器もそれ用のものが発売されている。

これまで発売されてきた東京マルイ製のバッテリー充電器は、ごく初期に発売されたニッカド電池用の急速充電器を除けばすべて長時間タイプのもの。急速充電というのはバッテリーへの負担や、バッテリーのコンディションによる充電不具合などが起こりやすいことから、時間はかかっても低い電流でじっくり充電したほうがトラブルになりにくいという判断だったのだろう。

そんな東京マルイから、純正の急速充電器が発売になる。バッテリーが満充電になると現れる特殊な電圧変化を検知して充電を止める「デルタピークオートカット」と呼ばれているタイプのもので、ニッケル水素、ニッカドの両対応となっているが特に切り替えスイッチみたいなものはない。大きな赤いボタンがあるが、これは充電モードを「1A:標準(NORMAL)」「2A:急速(QUICK)」の2通りに切り替えるためのものだ。

1300mAhの東京マルイ純正バッテリーを充電した場合、単純計算で標準モードでは1時間18分、急速モードでは39分でフル充電できるということになる。実際にはバッテリーの残量やコンディションによって変化するが、だいたいそんなもんだと思っておいて間違いないだろう。

2014キャンペーン・限定プレゼント

特別なカスタムモデルがあたるプレゼント企画だ。今回は購入時期の限定などはなく、「1万円以上の東京マルイ製品」であればいつ買ったものでもOKで、その製品のバーコードを指定のハガキに貼ってアンケートに記入して送れば応募完了だ。ハガキは全国のエアガンショップの他、東京マルイ公式サイトにもPDFでアップされているのでそれを印刷して使えばOK。

Aコース:次世代電動ガンSCAR-H・ハーフシルバー。スコープとフォアグリップ付属(9万円相当)
Bコース:ガスショットガンM870・タンカラー。ショットシェル型マガジンとスペアガスタンク付属(6万円相当)
Cコース:VSR-10 プロハンターG。ガンサウンドシステムとヘッドホン+パワードスピーカーのセット(7万円相当)

※すべて5名様にプレゼント

AコースのSCAR-Hハーフシルバー。単なる塗装とはちょっと違うように見える、なんかスゴみのあるマットシルバーだ。

シューティングレンジ

ホビーショー系イベントではおなじみの東京マルイシューティングレンジ。今回はかなり広大なスペースを取って、10才以上用・18才以上用の2つのレンジが用意されていた。ただの固定された的を撃つのではなく、撃つと倒れて、しばらく経つと自動で起き上がってくるターゲットを撃ち、制限時間内にどれだけ当てられるかによって賞品がもらえたりもらえなかったりするというシューティングマッチっぽいものが開催されていた。

レンジは10才以上用と18才以上用に分かれている。こちらは10才以上用レンジ。置いてあるのはBOYsのタボール。30秒以内に140発(1マガジン)を撃ち、何発ターゲットを倒せたかによって景品がもらえるという。ターゲットは電動になっていて、当たってスイッチが入るとモーターの力でゆっくり倒れ、しばらく経つとゆっくりと起き上がってくる。完全に起き上がってからでないと当てても倒れない(スイッチが入らない)仕組みになっているので、闇雲にバリバリ撃ってるだけじゃハイスコアにならないというのがキモだ。

こちらは18才以上用のレンジ。置いてあるのはドットサイト付きの次世代電動ガンだ。30秒で30発を撃つ。距離はなんと15m!

第53回ホビーショー(後編)では、東京マルイの他にホビーショーに出店している数少ないエアガンメーカーであるクラウンモデル、そしてバッテリーや電気関係カスタムパーツのOPTION NO.1、そしてエアガン関係以外の目立ったメーカーを紹介する。

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