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ワインツーリズムやまなし2015~東夢

マルサン葡萄酒のある大通りから、横道に入って崖沿いの急なつづら折りの坂道を降りて行き、さらに畑のあぜ道を突っ切ることで川沿いの道に出ることができます。その道をしばらく行くとあるのが東夢です。

ワイナリーとしての歴史は浅く、会社の設立は2004年、建物ができたのは2007年とのこと。勝沼にある他のワイナリーと大きく違うのが、「個性的な作り手が、自分ならではの味を出したそのワイナリー独自のワイン」というような形ではないことです。実は東夢というワイナリーは一人の作り手のものではなく、いくつものワインの作り手が集まって一つの会社となっている、いわば「超小規模ワイナリーの集合体」みたいな体裁の会社なのだとか。
 

2012年に訪れた時と比べると、以前は無かった「2階」が作られるなど、なんかバージョンアップしています。
ラベルのデザインも、使われているブドウや味の傾向もまるでてんでバラバラな東夢。それもそのはず、一人のリーダーが自分のワインを作るための会社ではなく、大勢の「ワインを作りたい人」が、それぞれの思う「自分の作りたいワイン」を作り、東夢といういわば「軒先を借りる」形で販売しているのです。

東夢といえば「ここでしか飲めない」のがビジュノワール。2007年に山梨県が開発に成功した新品種で、東夢では2012年から2016年の期間限定で特別にその新品種を使ったワインの製造と販売が認められているのだそうです。このビジュノワールで作ったワインは、現時点ではサントリーとこの東夢でしか飲めません。

2012年に飲んだ時は、香り高く酸味もコクもあって色も美しく、これは山梨を代表する赤ワイン品種になるんじゃないかと興奮気味のレポートを書いたものでした。今年のビジュノワールには2012年には無かった「樽」というマークがラベルに追加されています。聞けば、以前から樽熟成はしてはいたのだけれど、規定で何年か樽を使わなければ「樽熟成」みたいなことを前面に出してラベルに書いたりはしていけないことになっているため、ビジュノワール初ビンテージとなる2012年のときは「樽」とは書けなかったのだそうです。

試飲してみた感想ですが……「あれ?」若さ感というか、「まだ飲み頃じゃない感」というのでしょうか、そんな感じが以前よりも強いような気がします。なぜか2012年の時の方がまろやかだったような印象が。

ベイリーAの試飲もしてみたのですが、こちらもなんか妙な感想になってしまいます。「新酒の方が、2013年のものよりもまろやかで熟成された感がある」といった印象。なんかヘンですね? 新酒となる「オリジン」は、寝かせることを前提にして作ったんだそうですが、そのためまだ新しい今は苦み走りが先に立ってしまうのかも?

東夢
〒409-1326 山梨県甲州市勝沼町勝沼2562-2

池上ヒロシ

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