※このイラストは、
イラスト星人のフリー素材をベースに、私がピストル部分をビームピストルに描き直したものです。利用の際はイラスト星人さんの利用規約をご確認ください
エアピストル競技が突発的な大人気になってから半月とちょっとが過ぎようとしています。今となっては、あの嵐が吹き荒れているような大ブームはなんだったんだろうってくらいに、落ち着いてしまいました。X(旧Twitter)の検索欄に「エアピストル」って入れて検索しようものなら、数秒に数十件は新しいツイートがあり、何かしらエアピストルに関することをツイートすればみるみるうちに閲覧数と「いいね」の数が増えてカウンターが周りっぱなしになる、あんなことは多分もう二度と起こらないと思います。とはいえ一ヶ月――は無理でも半月ものあいだブームが続いたんですから、最初の予想よりだいぶ長く続いたと言ってもいいんじゃないかと。
瞬間最大風速的な盛り上がりを逃さず、その機会に少しでもピストル射撃競技に興味を持ってもらいたい、あわよくば興味をもつだけで終わらず実際にその世界に足を踏み入れてもらいたい、そう思って嵐の中でもがくようにしていろいろと投稿したりレス付けたりしまくってました。ちょっと行き過ぎてたところもあるかも。「なんだこいつ怖い」って思われてたかもしれません。必死だったんです許してください。
海外ではどうなのかなと思って久しぶりにTargetTalkを覗きに言ってみました。日本ほどの大ブームにはなっていないようですが、普通に「オリンピックだから興味を持った」って人はいつものオリンピックの時と同じくらいにはいるようです。世界的にみれば射撃は日本で思われてるほどにはマイナースポーツではないものの、オリンピックでやってるみたいな射撃(ISSF系って呼ばれます)がメインストリームとなっているのは、ドイツやイタリアなどヨーロッパのいくつかの国くらいなもの。銃大国として名高いアメリカでも、射撃といったら基本的には実用射撃(プラクティカル・シューティング)、つまり「危険な状況から身を守るため(セルフディフェンス)の技術」としてのものと、そこから派生してスポーツ化したもの(IDPAやIPSCなど)であって、ISSF系をやってる人は「珍しい人」「変な人」扱いになるって聞いたことが。
まあ、それでも理不尽なほどに厳しい規制がある(ピストルに関しては特に厳しい)日本に比べれば、「興味を持った」→「始めてみよう」って思ったときのハードルはずいぶんと低いはずです。きっと、日本に住んでる身からするとすごく羨ましい天国のような環境にいるに違いありません。
主にアメリカ、あとカナダや北欧などにおいて「エアピストル射撃をやりたい」と思ったときに乗り越えなければならないハードルはあるのか、あるとしたらそれはどんなものなのか。ちょうどいいトピックがあったので、抜粋して翻訳してみたいと思います。
何をすれば、エアピストルでオリンピックに出れますか?
TargetTalk : How to break into Olympic competitive pistol shooting
- オリンピックを見ていて、射撃に興味を持ちました。私は完全な初心者で、ノースカロライナ州の大学に入学したばかりで、競技射撃、特にピストルに興味があります。残念ながら、私は裕福でもなければ自由に使えるお金もないので、予算は限られています。できるだけ早くオリンピックレベルに到達したいです。どこから始めればいいのでしょうか?何から始めればいいのでしょうか、次に何をすべきでしょうか、そして夢を実現するにはどうしたらいいのでしょうか?ヒントや洞察があれば、ぜひ教えてください!(ピーピーピー アメリカ・ノースカロライナ州))
- まずやることは、中古のエアピストルを購入することです。銃に空気を圧縮するレバーが付いているタイプです。Feinwerkbau65が代表的な機種ですが、Pardiniからも出ています。Baikal IZH-46という選択肢もあります。最初っからスクーバタンクやCO2タンクでチャージする必要がある銃を買うのはオススメできません。
次に、高品質の空気銃弾を購入して射撃を開始してください。ターゲットまでの距離はわずか10メートル(33フィート)しかありませんから、アパートの部屋でも余裕でターゲットと弾受けを設置できるでしょう。(fc60 アメリカ・ワシントン州西)
「まずエアピストルを買ってください」ってところから始められるのがアメリカですよねー。欲しいと思って、それが売ってて買える値段ならすぐに買える。アメリカにもちゃんと銃規制はあります。一般では買えない銃とか、銃を買ってはいけない人の条件とかいろいろあって、基本的な枠組みだけ見れば日本とたいしてかわりませんが、その範囲がぜんぜん違います。エアピストルについてはそもそも銃火器(firearms)とはみなされていないんですね。
あと、「アパートでも10mくらいなら簡単に距離取れるでしょうから自宅に撃つ場所作っちゃいなさい」ってところも日本人としてはもうどこから突っ込めばいいのやら。自宅でエアピストル撃っても別に構わないってところも日本じゃ考えられませんし、それになにより「10mごときアパートでも余裕でしょう」ってところも、俺らが住んでるアパートそんな広くねーやい。
- 既に書かれてることの他に、あなたの大学に射撃チームやクラブがあるかどうかも確認してください。ない場合は、射撃に興味のある他の学生を見つけてクラブを始めてみてください。(KDZ)
- もしあなたが全くの初心者で射撃をするのが初めてというのでしたら、いきなり独りで練習を始めるとさまざまな悪い習慣が身についてしまい、なかなか直せなくなります。定期的に試合を行っている地元のクラブを探して、正しいスタートを切るためのちょっとした指導をしてくれる人がいないか探してみてください。
この本は参考になりますのでぜひお買い求めのうえ一読を。
MEC Pistol Shooting The Olympic Disciplines Book
オンラインには有益な情報がたくさんありますが(特にこのフォーラムでは)、しかし無意味な情報もたくさんあります。この本の情報で、どちらが正しいかがわかるといいですね。オリンピックの射撃は、オンラインの情報の約90%を占めるセルフディフェンスシューティング(自己防衛射撃)とはほとんど関係がありません。(Gホワイト マサチューセッツ州)
ここ、大事なこと書かれてますね。独学だと悪いクセがついてしまって、あとで矯正するのにえらく苦労するという話です。日本だとエアピストルはいちど所持できてもある程度以上の点数が撃てないと継続所持ができずに2年で取り上げ(再所持できず)になってしまいますが、それほど高いハードルではないにもかかわらずクリアできずに取り上げになる人が大勢います。おそらく、ちゃんとピストルの撃ち方を教えられる人がいなくてライフル射撃の感覚そのままでピストルを撃とうとするせいで、おかしな撃ち方になってしまってる人が多いのではないかと思います。
ピストル射撃はライフルよりも各射手の個性が豊かで、「正解の撃ち方なんてものはない。あるとすればそれは点数がでる撃ち方がそれだ」とまで言われるくらいですが、正解はなくても不正解はあります。明らかに「それはやっちゃ駄目」ってやり方でいくら頑張って練習しても点数がでずにタイムリミットが来てしまいます。最初だけはちゃんとした指導者に教えてもらうべきだ、というのはそういう事例を数多く見てきたからではないかと思います。
- 上の人たちがリンクしている本はお勧めです。
私にとって役に立ったのは、10メートル(33フィート)より近い距離から射撃することです。約25フィートから始めて、うまく射撃できるようになったら数フィート後退します。33フィートに達するまでそれを繰り返します。これは私にとって本当に役立ちましたが、他にこういうことを言う人、やってる人は見たことがありません。
それ以外では、資金があればですが、良いピストルを購入してください。このスポーツのために購入すべき装備は、ピストルを除けばほとんどありません。50代前半である私の場合、フロントサイトをはっきりと見ることができるように射撃用メガネを購入する必要がありましたが、その程度です。(ブラゾスビーネモ)
「ピストルさえ手に入れてしまえば、あとは追加で必要になるものはあんまりない」というのは、ピストル射撃の特徴であり魅力でもあります。弾代なんて一発数円程度だし、エアのチャージもタンク容量がそんなにないからスクーバタンクを使ってもランニングコストは安い、なんならハンドポンプ使って人力でチャージしてもそれほど苦行でもありません(容量の多いライフルだと、そこそこ苦行になります)。ライフル射手のように、体型に合わせた専用のウェアを特注で作る必要もなければ、大口径ライフルやハーフライフルでのスラグ射撃みたいに一発あたり数百円~数千円もする弾代に悩まされることもありません。
X(旧Twitter)でのやり取りでは、なぜかエアピストルのことを「所持できたとしても、維持するのに莫大な費用がかかる」と思い込んでる人がいました。その誤解はその人に限った話ではなく、どうやらけっこう広く信じられてるもののようです。昔のクレー射撃みたいな、「物凄いお金持ちが湯水のようにカネを使って楽しむお大臣なレジャー」と同種のものだと思われてる可能性がありますね。
- 私も、2024年のパリオリンピックをきっかけに、オリンピックのピストル射撃を始めようと考えています。上記の本を調べてみますが、「エアベンチュリーV10マッチピストル.177口径」という銃は、入門用として適したものと言えるでしょうか? この銃を使ったことがある方はいますか? 予算が少し厳しいのですが、センターファイア、スタンダード、エアピストル、そのどれも、ものすごく値段が高いです。
よろしくお願いします!(スクリムショット カナダ、ブリティッシュコロンビア州北部)
- >「エアベンチュリーV10マッチピストル.177口径」という銃は、入門用として適したものと言えるでしょうか?
やめてください!
中古の競技用ピストルの方が良いでしょう。エアベンチュリは酷い製品です。(海賊ジョン)
- >エアベンチュリは酷い製品です。
カナダで中古の競技用ピストルをオンラインで販売しているところはありますか?残念ながら、私は最寄りのISSF関連クラブからかなり離れたところに住んでいるので、私が調べた限りでは、この辺りにエアガンの世界は存在しません。(スクリムショット カナダ、ブリティッシュコロンビア州北部)
eBayでの出品は、日本の競技射撃者にもお役立ちです。銃砲店とか通すと何週間も何ヶ月もかかったりするような細かくて汎用性が薄い製品(特定の銃のための補修パーツとか)が、少々値段は高くなりますが一個単位で購入できて、届くまでの期間も数日しかかからないので、私も何度か便利に使わせてもらってます。
- 私の個人的な経緯ですが、まずは「ちゃんとした」リムファイアピストル(S&Wモデル41)を使って、短距離で両手射撃を習いました。ほとんどの人にとって(少なくとも私にとっては)、ISSFリムファイア距離(理想的には25メートル、多くの場合は縮小ターゲットで20ヤード)を片手で射撃することから始めるのは非常に困難です。それがうまくいったのは、IPSC(など)を射撃するクラブの他の人たちから指導を受け、基礎を学ぶことができたからです。
地元にはISSFルールで射撃をやっているリーグがあったのですが、ISSF片手射撃の試合を楽しめるほど上手に射撃できるようになるまで数か月かかったため、そのリーグには参加するのは無理だったと思います。ここでいう「楽しめるほど上手に」というのは、350点(600点満点で)くらいを撃てる射撃能力という意味です。若い射手がみるみるうちに上手くなって、たった数週間で熟練級といっていい点数(500点台)を撃つようになるのを見たことはあります。
私はエアピストルでISSF競技に参加したわけではありません。その理由の1つは、エアピストルよりも22LRピストル(ちゃんとしたやつ)がはるかに安価で入手しやすかったからです。S&Wは800カナダドル、Unique DES69(明らかに優れている)は500ドル、最近では古いPardini SP(私が期待する最高のピストル)は1200ドルでした。(ハムスター バンクーバーBC)
エアピストルよりも小口径の装薬ピストルのほうが「安価で、手に入りやすいので、最初の一丁としてはお手軽」という扱いになるのは、日本との環境の違いを痛烈に感じますね……。
- 装備:他の人が言っているように、Izh-46またはFWB65は最初に買うピストルとしては本当に良い選択です。ここ(PilkGun)とGun Brokerオークションサイトを注意深く見てください。そうは言っても、中古のオリンピックグレードの銃は1,000ドルから1,300ドルくらいが相場です。
読書:Skanakerの本は素晴らしいです。また、Targettalk10Pファイルには役立つ情報が多数あります。コピーが見つかったら、AAYuryevの「Competitive Shooting」も優れたリソースです。ソビエトの研究がすべて含まれています。しかし、1980年代半ば以前に書かれたピストル射撃に関する本なら、ほとんどすべて役立つ情報があります。また、Basshamの「With Winning In Mind」のコピーを入手してください。
練習:真っ白な壁に向かって空撃ちをします。照準を乱さずにショットを放つ練習をします。これは必須です。次に、ターゲットに向かって射撃を練習します。
競技:可能な限り競技に参加してください。遠征が必要になる場合があります。エアピストルの良い点は、比較的そういった競技大会が一般的に開かれていることです。USA Shooting、NRA、CMPをチェックしてください。エアピストルの試合は、これら3つの組織すべてで開催されています。次に、地元のクラブに聞いてみてください。私たちが抱えている1つの問題は、試合リストが一元化されていないことです。
良いニュース:現在、急激に射撃スポーツへの関心が高まっています。おそらく、この勢いを維持できるでしょう。また、射撃は真の生涯スポーツです。どのオリンピックでも、最年長の競技者は、ほぼ常に射撃選手です。(マイク・M)
- 私は標的射撃選手としての専門の訓練を受けたわけではありませんが、25~30mで.22LRと7.62x25TTを撃つことに、かなりの時間を費やしてきました。IPSCまたはIDPAのために訓練していると自分に言い聞かせていましたが、最寄りのクラブのIPSCの参加要件は、スケジュール的にちょっと手が届きません。私は両手スタンスに精通している、とはいえませんが少なくとも慣れてはいます。
もうすこししたら臨時収入があって中古のオリンピック用の銃を買えるかもしれません。正直に言うと、入門レベルのトレーニング用に600カナダドル程度のものがあればいいなと思っています。それまでの間、オススメしていただいた本を入手して、できるだけ読んでみます。
ドライファイアの練習を再開します。センターファイアピストルのドライファイア用の道具がいくつかあるので、しばらくはそれらを使って練習します。
クラブについてですが、地元のクラブはターゲット競技を行っていません。IPSCと、ここの銃器や競技を取り巻く一般的な文化だけが歓迎されていません。次に近いクラブは1時間半(正確には147km)離れており、練習やミーティングが丸一日かかるので、私の仕事のスケジュールでは無理です。
射撃スポーツヘの関心が急上昇していることにとても興奮しています。20年遅れているようにも思いますが、カナダのハンドガン販売禁止の唯一の例外がISSFまたは関連するターゲット競技での使用であることを考えると、勢いがついているだけかもしれません。
私は最初の情熱から遠く離れ、達成できる見込みがほとんどない夢を追いかけていましたが、家族が私の興味を客観的に捉えさせてくれました。私の家族は射撃の腕前が長い家系で、私はその腕前を子供たちに伝えたいと思っていますが、そのためにはかつて持っていたスキルを取り戻し、できれば上達させる必要があります。
皆さんのご意見に感謝します。他に何か追加できることがあれば、大変ありがたく思います。皆さんのアドバイスに従うよう最善を尽くします。(スクリムショット カナダ、ブリティッシュコロンビア州北部)
- Hammerli AP20はあなたが興味を持っている価格帯に近いですが、PCPであり、タンクへの投資が必要になります。IZHがおそらく最善の選択です。精度が高く、照準器とトリガーも優れています。多くの射手にとってやや銃口が重く、自分で空気を入れる必要がありますが、基礎を学ぶという点では問題ありません。
射撃場に頻繁に行けなくても、熱心に空撃ちをすることで大いに役立ちます。以前に精度の指導を受けずに射撃をしたことがある場合は、直す必要がある悪い癖がついている可能性が非常に高くなりますが、そのほとんどは空撃ちを何度も行うことで対処できます。
私は大学のチームのコーチをしていますが、入学前に非公式に射撃をしたことがある生徒のうち、新人射手が到達するレベルに達するのはわずか10%から20%です。10メートルの距離からエアピストルの標的の中心を狙うことは、IPSCやIDPAとはまったく異なります。それは実行可能ですが、簡単ではありません。(Gホワイト マサチューセッツ州)
みんなして口揃えて「買うならこれがオススメ」って第一候補にあげてくるIZH-46M。旧ソ連製のコッキング式エアピストルです。安価だけれど壊れにくく十分な性能もあるということで、入門用としては最適とアメリカの人には大人気だったのですが、「ロシアの軍用銃も作っているメーカーの製品」ということで新規で輸入して販売することが難しくなり(規制のせい)、今は規制回避という理由もあって別メーカーから別名(AV-46M)で販売されています。名前が変わっただけでなく、より高品質な銃身やグリップが付いているなどのグレードアップ要素もあって、ただし価格はちょっと高めという製品だそうです。
日本でも、エアピストル射撃がもうちょっと気軽に始められるようになったら、「手軽に買える維持費がかからなくて頑丈で壊れにくいエアピストル」として輸入販売されるようになったりするかもしれませんね。今はいろんな事情から、「文句なしに最高レベルの高級品」以外は選択肢に入らないような状況なので、これを買おうって人はまずいないと思いますが……。
APS-3のネタ元? IZH-46M
アメリカ向けに生まれ変わったロシア製の銃
- >それは実行可能ですが、簡単ではありません。
もし簡単だったら、努力する価値があるでしょうか? 幸いなことに、これは本当に生涯楽しめるスポーツです。(マイク・M)
- 人生の大半を射撃とともに過ごせたのは幸運でした。
悪い癖もあるのは確かです。経験の有無にかかわらず、悪い癖のない人を指導したことはありません。オリンピックレベルの競技者になれるなんて夢にも思っていませんが、競技は楽しいです。エアライフルや小口径銃で競技していた頃の80%の熟練度を取り戻せたら、最高です!(スクリムショット カナダ、ブリティッシュコロンビア州北部)
- 最初のステップは、初日から正しいテクニックを教えてくれる有能なコーチ/インストラクターを見つけることです。これはおそらく、有能なメンバーと優れたコーチがいる良いクラブを見つけることを意味します。(ジェームスH オーストラリア)
- >最初のステップは、初日から正しいテクニックを教えてくれる有能なコーチ/インストラクターを見つけることです。
私の住む街にガンクラブが1つあり、隣の街にも147km離れたところにガンクラブがあります。ISSF射撃を行っている最寄りのガンクラブは、私の街から1155km(717マイル)離れています。私は競技に参加できない運命なのでしょうか?(スクリムショット カナダ、ブリティッシュコロンビア州北部)
「一番近くても1155km離れている」というのは、広大な国土ならではの事情ですね。日本だとせいぜい150kmも移動すれば他県まで行けます、よほど運が悪くても他県まで行くことを選択肢に入れれば「射撃競技やってるところがない」ってことにはならないと思います。法律的な制限が理不尽に厳しくて「始めたくても始められない」日本、物理的な距離に阻まれて「始めたくても始められない」カナダ、どちらが厳しい環境なのでしょう。
- オリンピックの盛り上がりが終わったら、地元のクラブで同じような考えを持つ人を見つけて、何かを始められるかもしれません。(Gホワイト マサチューセッツ州)
- >オリンピックの盛り上がりが終わったら、地元のクラブで同じような考えを持つ人を見つけて、何かを始められるかもしれません。
それが私の望みです。
また競技に参加したいです。ピストルは私には向いていないかもしれませんが、新しい習慣を身につける方が古い習慣を変えるより簡単です。必要ならエアライフルか小口径銃をやります。(スクリムショット カナダ、ブリティッシュコロンビア州北部)
- 予算が厳しい場合でも、安物は買わずに、本物の競技用ピストル(エコノミーモデルまたは中古品)を購入してください。お金を節約しても、悪い習慣(スプリング式ピストルをチャージするためにショットごとにグリップを外すなど)を身につける価値はありません。(ドマリャク)
- >まずやることは、中古のエアピストルを購入することです。銃に空気を圧縮するレバーが付いているタイプです。
>Feinwerkbau65が代表的な機種ですが、Pardiniからも出ています。Baikal IZH-46という選択肢もあります。
>最初っからスクーバタンクやCO2タンクでチャージする必要がある銃を買うのはオススメできません。
FWB65と(たとえば)IZH-46のどちらかを選択する状況になった場合、FWB65は空気圧式ではなくスプリング式で、横にかなり強くコッキングする必要があり、ショットの合間に手を離さずに行うのは難しいことに注意してください。また、非常に重要な空撃ち機能がなく、トリガーの位置を調整できません。全体として、これは60年前の設計で、かつては最高のものでしたが、今日では始めるのにはるかに優れた代替品があります。たとえば、IZH-46は初心者のAPとして非常に優れていると思います。もちろん、経済的に余裕があれば、最新のPCPピストルが最良の選択です。スキューバタンクやコンプレッサーは必須ではありません。ピストルタンクはハンドポンプで簡単に充填できます。(ojh フィンランド)
- ありがとうございます。そうですね、PCPの方がいいと思います。CO2やカートリッジピストルは買いませんし、ポンプ式空気圧式は経済的ですが、一度構えたらグリップを外す価値はないと思います。HammerliAP20については相反する意見を見てきましたが、APと比較したスモールボアとセンターファイアの入手性とコストについてはさらに相反しています。センターファイアピストルとスモールボアピストルのどちらを購入する方がコストがかかりますか?スキルは多かれ少なかれ転用可能だと思いますが、反動とPPE以外に目立った違いはありますか?(スクリムショット カナダ、ブリティッシュコロンビア州北部)
- >私の住む街にガンクラブが1つあり、隣の街にも147km離れたところにガンクラブがあります。ISSF射撃を行っている最寄りのガンクラブは、私の街から1155km(717マイル)離れています。私は競技に参加できない運命なのでしょうか?
好きなだけ競技に参加できます。射撃の良い点は、どこにいてもスコアを直接比較できることです。
ほとんどの人は、実際の競技に参加するために遠征し、銃マニアと一緒にクラブでトレーニングする必要があります。まずはAPを入手し、次に.22を入手するのが良いスタートです。(ジェームスH オーストラリア)
- IZH-46やFWB100シリーズのような競技用空気圧式APは、銃身の下にチャージングレバーを備えています。レバーは垂直に動くので、ピストルのチャージングや装填中にグリップを維持するのに困難はありません。
価格について言えば、私が住んでいる地域では、新品の最高級センターファイアおよびリムファイアピストルは、最高の新品エアピストルとほぼ同じくらいの値段です。しかし、これは入手性、市場、ライセンスポリシーなどによって異なりますから、私の言うことよりあなたの母国にいる誰かに詳しいことを聞いたほうがいいでしょう。
経済面とピストルシューターとして成長したいという願望を考慮すると、.32または.38のセンターファイアピストルは、市販の弾薬でかなりの数のトレーニングショットを撃つと、結果的にとんでもないお金がかかってしまうことに注意してください。リロード用品に投資してリロード技術を学ぶことでランニングコストを抑えようとしても、現在の部品のコストではリロードでさえ安くはありません。
その一方で、エアピストルならば財布にそれほど負担をかけずに好きなだけ撃つことができます。そして、非アクションスタイルの射撃の枠組みの中で、APで学んだことはすべて、リムファイアピストルやセンターファイアピストルの射撃の腕を磨くのに役立つと思います。(ojh フィンランド)
- 私もオリンピックの競技ピストル射撃にとても興味があり、このスポーツを始めてトレーニングを始めたいと思っていますが、エアピストル射撃を行っているクラブや射撃場が近くで見つかりません。私はダラス・フォートワース地域に住んでいます。クラブ(Team Shooting Stars)は1つ見つけましたが、現在は満員で、これ以上の射撃手の受け入れは行われていません。何度も受け入れをお願いしたのですが、断られました。ですから、どうしたらいいのかわかりません。近くにエアガンセンターがないので、自分で射撃することはできません。エアピストル射撃を始めて競技に参加するにはどうしたらよいか、アドバイスがあればありがたいです。私は現在21歳で、大学4年生になりますが、私が探したところ、大学には射撃クラブがありませんでした。(ハルシャ21)
SNSでエアピストルが話題になっているのを見ると、まず「(中継配信などで写ってた)競技者が格好いい」といった話題が発端となって、「実際にやってみたい」「日本でもできるのかな」という方向に進んだとしても、たいていの場合、そこで誰かが「日本じゃ不可能」「すごく難しい」ってネガティブなアドバイスをして終わる、という流れになってしまうことが、すごく多いように見えます。確かに日本におけるピストルへの規制はやたらと厳しいものがあります。500人制限なんて理不尽そのものです。
このトピックを読むと、アメリカやカナダ、ヨーロッパの各国などにおいてエアピストルというものがどういう扱いになっているどういう立ち位置の存在なのか、グローバルスタンダードがよくわかります。国家をあげて制限人数を設けてまで厳しく規制する必要があるような「危ないもの」だなんて全く思われていません。「やたらと値段が高いが、撃つ場所はどこでも良く、弾代もそれほどかからない、ランニングコストのかからない競技スポーツ用のアイテム」であって、それ以上のものでもそれ以下のものでもありません。なにせ、「アパートでも気軽に撃てる」なんて書き込みが平気であるくらいです。
どちらが合理的か、現実に沿った考え方かってことで言えば、明らかに彼らのほうが合理的といえます。日本でピストルに対して厳しい規制があるのは、「短い銃は、容易に隠し持てるため、社会的危険性が大きいから」というのが理由になっています。つまりは、強盗に使ったり、要人に対する暗殺などのテロに使われたりする可能性があるから厳しく規制しているのだ、ということになります。
エアピストルをそんな用途に使えるかどうか? まともな理性がある人なら、「そんなん無理に決まってるでしょう」って答えるはずです。そりゃ鉛弾を撃つ空気銃ですから、人に向かって撃ったりしたら危ないのは確かです。おそらく怪我はすると思いますし、けっこう痛い思いをすることになるでしょう。けれど、威力でいったら4~5J程度、狩猟用空気銃で同程度のものといったら、スズメとかヒヨドリならかろうじてなんとかなるかもという最低レベルのパワーです。強盗や要人暗殺になんて、とてもじゃないけれど使い物になりません。
実際、そんな感じのセリフを所持許可手続きの途中で警察の担当の人に言ってみたことがあります。しかし先方の回答は「そうは言っても、これを向けられて脅されたら怖いでしょう」というものでした。正直、「そうか……? そもそもエアピストルを向けられても、一般の人はコレが銃だとすら認識できないんじゃないの?」と言い返したくなりました。その場では我慢しましたが。
※だいたい、「向けられて脅されたら怖いから規制」とか言い出したら、極端な話、それがキュウリだって十分に怖いでしょう。ということはキュウリも規制しなきゃならんですわ
とはいえ、嘆くばかりじゃなにも先に進みません。日本で射撃をやろうと思い立ったときに法律という壁が立ちはだかるのと同じように、カナダやアメリカの人たちには(ときによって)距離という壁が立ちはだかります。壁を乗り越えなきゃならんのは私達だけじゃないということです。
彼らはその壁を、知恵と工夫や最新テクノロジーを駆使することで、完璧ではないにせよある程度の範囲で乗り越えようとしています。例えば、ネットを通じて情報を得たり教本を閲覧したりする、通販で中古の銃を手に入れる、オンラインでコーチングを受ける、ポスタルマッチに参加するといった方法です。
同じように日本に住む私達も、法律の壁を知恵と工夫やテクノロジーで乗り越えることが可能です。ビームピストルで練習できるところに通う、玩具銃(APS-3)を使っての射撃クラブなどに参加したり自分でクラブを立ち上げたりする、ポスタルマッチに参加するといった方法です。警察窓口での明らかに誤った対応(うちの県では、ピストルの許可は出さないことになってるんですよねーみたいなこと言われて門前払いされるとか)があった際、情報を共有して対抗するというのもその一環として挙げられるかもしれません。
そういったムーブメントが盛んになることで日本におけるピストル射撃が、一時的なブームに終わらず数あるスポーツのうちの一つとして定着し、大勢の人が好スコアを出して推薦基準に達して推薦申請を出し、推薦待ちが数百人数千人と増える一方で、新規所持した人がいきなり高得点出して大会の平均スコアがとんでもない高騰を見せる――なんて状況になったら、さすがにこの理不尽な規制も「見直さなければならない」という気運が高まるのではないか……というのは、楽観的に過ぎるかもしれませんが、それでもいつか訪れるのではないかと期待したい未来ではあります。