※最初に――ライフル射撃で着る硬い服、本来は上がジャケット、下はパンツと呼びますが、慣例的に2つ合わせて「射撃コート」と呼ぶ人が多いので、この記事でも普通にその呼び名を使わせてもらってます。
ちょうど一ヶ月くらい前になるでしょうか。世界の射撃競技総元締めであるISSFが、次のオリンピックに向けてのルール変更のガイドラインを発表しました。
大きなルール改正はだいたいオリンピックとオリンピックの間の今頃の時期に行われるものなのでそれ自体は毎度のことなのですが、今回のルール変更はいつにもまして、相当に大きなものになるのではないかという衝撃が走りました。具体的には、ライフル射撃の選手が着用しているあの硬いコートやジャケットの類が、完全に禁止とはならないまでも大幅に制限されそうだという話なのです。
「選手が鉄のスーツのような服装で競技を行うことが、競技のイメージを損なう」だとか、「厚く硬いライフルジャケット、ズボン、ブーツはテクニカルドーピングとみなされる」だとか、かなり厳しい書き方をされています。長くライフル射撃の世界に関わってる人からすると、「今までの射撃競技を否定するような書き方…」とショックを受けてる方もいるくらいでした。
まだ提言が出ただけの段階であり本決まりではないとはいえ、大まかな方向性がそういう形で決まってるのだとしたら、変わるとしても「どのくらい制限されるか」の程度が変わるくらいで、全般的な方向としては「硬い射撃コートを着用するのは、ズルだ」という考え方でルール改正が進んでいくんだというふうに覚悟しておいたほうがいいのかもしれません。
実際、射撃に興味を持って実際に始めてみようか――と考え始めた人が躊躇する理由として挙げられることが多いのが、「やっぱりあの高いオーダーメイドのスーツを買わなきゃダメなのか、アレなしで試合に出たら違反とかになったりするのか」ってところだったりします。実際、射撃コートなしでもルール違反になったりはしません。単に勝負にならないだけです。射撃コートの着用によるスコアアップ効果は絶大なものがあるからです。
「射撃コートなしでライフル射撃なんかやったら、身体を痛める」という話も聞きます。それに対し、「いや、そんなことはない。実際にバイアスロンの人たちなんて射撃コートなしで普通に立射してるじゃないか」という反論もあったりします。ここらへんは私がライフル射手ではないこともあって、どっちが正しいどっちが間違ってると断言するのは難しいものがあります。
ISSFの提言が出るよりちょっと前あたりに、海外射撃掲示板「TargetTalk」において射撃コート不要論っぽいスレッドが立ちました。毎度お約束というか何度も繰り返された「あんなものがあるせいで」vs「アレは必要なものなんだよ」的な言い争いで終わるかと思ったのですが、予想外に射撃コート不要論者の中でも相当な過激派な方が参戦してきて、さらにそこにISSFの発表がちょうど重なったこともあるのでしょう、予想外な方向に話題が発展していきました。
当ブログは、射撃競技に硬い専用スーツは必要なのか、そうでないのかという論争について、片方に与するものではありません。しかし今後数年くらいライフル射撃競技の世界においては、誰もがそのことについてちゃんと考えなければならなくなるのは、おそらく間違いのないことだと思います。そのための判断材料の一部になればと思い、抜粋して紹介します。
もし射撃コートが禁止されたら、エアライフル競技はどうなる?
引用元:Target Talk (https://targettalk.org/viewtopic.php?p=333847)
- ISSFライフル射撃で使われるジャケット、パンツ、シューズ類があります。もし、あのような特殊な装備が禁止されたら、ライフル射撃競技はいったいどうなるでしょうか?(伏射用に使われる肘パッド付きの薄いジャケットは許可されるとします)
同じターゲットシューティングでも、アーチェリーやピストルの選手はああいった装備を必要としていないようです。しかしライフル射手だけは、歩くのもやっとなくらいのガチガチの射撃服を着用します。そのせいで競技に参加するのに必要となる金額のハードルが数千ドルは上がってしまいます。
特殊な射撃服を禁止することは、おそらくライフルの軽量化と、これまでとは異なる方向での技術の導入・発展につながるに違いありません。
私が言ってることは、ただ「鍋をかき混ぜてる」だけに過ぎないのでしょうか?※訳注:英語の慣用句で、「不必要に他人を挑発してトラブルを巻き起こそうとする行為」を指す言葉です若干、そうであることは認めます。アメリカではISSF系の射撃スポーツはほとんど行われていません。アーチェリーの分野では、リカーブボウやコンパウンドボウを使う国際アーチェリー種目が広く行われているのに比べると、皆無といって構わないレベルです。USA Shootingに問い合わせてもメールが帰ってきた試しがありません。USAアーチェリーではコーチを探すのも、コーチ育成についてもすごく協力してくれるのに!(K38/アメリカ・テキサス州ブダ)
- K38さん、あなたが求めているスポーツはすでに存在します。「ターゲット・スプリント」、「CMPスポーター・エアライフル」、「.22マッチ」を見てください。
射撃に特化した衣服は、何十年にもわたって徐々に進化しました。最初のジャケットは、まさにあなたが言うような、肘当てを掛けて衣服を保護するためのものでした(まだ服を手でゴシゴシ洗っていた時代のことです)。服が頑丈になったのでそれにあわせてライフルが重くなったのではありません。重いライフルは、それを支える衣服よりも先に登場しました。ウィンチェスターは1930年代にブルバレル(エクストラ・ヘビー)52を製造しました。
ジャケットとズボンが禁止されたりしたら、多くの射手が怪我をしたり、スポーツを楽しめなくなったりすることでしょう。ピストル射手だって無関係ではいられません。ジャケットやズボンを禁止するというのなら、同様にアナトミカルグリップやPCPも禁止されないければ理屈がとおりませんし、アーチェリー選手は全員ロングボウに戻らなきゃって話になってきます。
他の国のことはわかりませんが、ここ英国では、私たちの全国団体が、インストラクターと装備の両方を見つけることができるクラブに国民を誘導します。(ティムS/トーントン、サマセット)
- ピストル撃ちはヘイトを集めるかもですね――。
けれどまあ、残念ですがアメリカでの国際射撃が再燃することはないでしょう。アメリカ人のみなさんはみんな、「本物の」銃を好みます(弓でも可。狩猟に使えるから)。射撃コートの禁止は、異なる怪我を引き起こすだけです。(カバルMSU/ドイツ)
- なぜ怪我をするのでしょうか?ライフルの重さだけで?
世界トップクラスのコンパウンドボウ射手が、フロントとバックのスタビライザーロッドにどれほどの重量をかけているか、信じられないでしょう。彼らのウェイトスタックを見れば(タングステンまで使われてることも!)、それがかなりキてることに気づくでしょう。(K38/テキサス州ブダ)
- >なぜ怪我をするのでしょうか?
脊椎のねじれや二重の屈曲を防ぐために、数十年前に射撃ジャケットが開発されました。(カバルMSU/ドイツ)
- ということは、ライフル射撃手はもう体をひねったり曲げたりしなくなったということでしょうか
ライフルジャケットは、体幹ギブスみたいな役割を果たしているのでしょうか?(K38/テキサス州ブダ)
- 射撃姿勢を取れば身体を捻ったり曲げたりすることにはなりますが、射撃ジャケットがあれば数年間の集中的なトレーニングを行っても怪我はしません。(カバルMSU/ドイツ)
- エアライフルのスコアがここ数十年で異常なほど高くなっていることはご存知だと思います。30年前ならオリンピックのメダルを獲得できたスコアでも、今ではオリンピックチームに入ることすらできません。エアピストルのスコアは、その頃からあまり変わっていないのと比べると対象的です。
私が思うに、これは装備がスコアに及ぼす影響の大きさの違いによるものではないでしょうか。Tシャツと安定した腕でできることは限られています。(コルトアーミテージ)
- どこかで読んだのですが、ジャケットを外すとスコアリングが約1つ増えるそうです。つまり9は8になる、ということになります。(ゴート/米国ミシガン州)
- 他の人がほのめかしているように、このスポーツの進化の仕方(重いライフル、据銃時に左右非対称に負荷がかかること)を考えると、怪我を避けるために何らかの背中のサポートが必要です。射撃服をなくすと、ライフルはおそらくもっと軽くする必要があり、姿勢も調整する必要があるかもしれません。スポーツと全員の装備を徹底的に見直す必要があるため、たとえ観客数を増やしてスポーツへの熱狂を生むとしても、それは実現しないでしょう(そうなるかどうかはわかりませんが、トルコのピストル射手にみんなが夢中になっている様子から、何かあるかもしれません)。
しかし、正直に自分を振り返ってみると、私たちは射撃用の特殊なブーツを安全になくすことができ、そうすれば「みっともない歩き方」もなくなるかもしれません。
実際に「何が起こるか」をできる範囲で正確に予想してみると――私の経験上、装備なしでは1発あたり1~2ポイント低下するのは確実です。つまり予選スコアは580点台程度まで低下するでしょう。(マイクb123)
- あくまで仮定の話ですが、次のオリンピックにおいて10mMIX(ライフル)のルールを変更し、一切のギアを使わず全員が4kg未満のライフルを使用して背中の怪我のリスクを減らすとします。変更するのは混合ペアだけなので、全員が他のイベントでギアを使い続けることができます。なので(過去に22ショートが禁止されたときの混乱のように)全員のギアが役に立たなくなることに対する反発は少ないでしょう。
これが実現したとしたら、国際競技にどのような影響があるでしょうか? 確かにスポーツを始めるのに必要な費用が2,000ドルほど下がり、日常的にライフルを撃つ人がスポーツにもっと親しみを持てるようになるでしょうが、それは実際にISSFの試合に参加する射手の人数が大幅に拡大することにつながるでしょうか?(マイクb123)
- 精密射撃スポーツに新しく興味を持っている者として、エアライフルの初期費用がピストルよりはるかに高いことに気づくまでは、まず最初にピストルよりエアライフルに惹かれたとだけ言っておきます。しかし、断続的に背中に問題を抱える者として、コスト効率より安全性を重視することは理解しています。(ニヒリスティックモンク)
- 「ライフル射撃のあの硬い服ってどうよ?」みたいなことを言う人って定期的にでてきますね。その意見に対する回答として定番なのが、射手の安全性を確保するためだという理由です。もちろん安全性は必要です。そこに議論の余地がなさすぎるため、安全性を訴えることさえすればほとんどの人は頭を切り替えて口を閉ざすことがわかりました。
私はピストル射撃手ではありません。国際ライフル射撃に50年間関わってきました。私が射撃を始めた頃の服は、今のようなハードシェル(外骨格)ともいうべきようなものではなく、実際に私が最初に着た革製のISUジャケットはサポートがほとんどありませんでしたし、射撃パンツはまだ発明されてもいませんでした。後年、アウターシェルが普及しましたが、私は普段着でたくさん練習しました。今はサポートウェアなしで立ったまま射撃するメタリックシルエットに参加しています。それで身体を痛めることは特にありませんし、昔もそんな人はいませんでした。
硬い射撃ジャケットは安全性のために必要だ――なんて主張は根拠のないでたらめです。ハードシェルの服は、ポイントを追求するために競技者が限界に挑んだ結果に過ぎません。しかも射撃スポーツに悪影響を及ぼしてすらいます。(ピディール/ウェストバージニア州)
- >硬い射撃ジャケットは安全性のために必要だ――なんて主張は根拠のないでたらめです。ハードシェルの服は、ポイントを追求するために競技者が限界に挑んだ結果に過ぎません。しかも射撃スポーツに悪影響を及ぼしてすらいます。
100%同意します。また、衣料品メーカーもこれを推進していますが、それはお金儲けのためです。(Jチーム/ニュージーランド)
- 私はライフルのコーチを24年間務めていますが、ジャケットとパンツは本当に馬鹿げた存在であり、射撃スポーツにとって大きな障害にほかならないと思います。競争力をつけるために2,000ドルの特注スーツが必要だ――なんて話になるのは、まったく馬鹿げています。
安全性が懸念事項であるなら(私はそうは思いませんが)、ライフルの最大重量を下げればいいのです。
スーツは、射手がスコアを上げるために有利になろうと思う気持ちをメーカーが利用したことによって生まれたものです。
もっと大勢の人々を射撃スポーツに引き込みたいですか? 参入障壁を下げ、ギアに頼る狂気のスポーツという印象をなくしましょう。
それで、「特別な服がなければエアライフルはどうなるのか?」というあなたの質問に答えると、次のようになります。
「スコアが下がる」→「スポーツがより手頃になる」→「参加者が増える」
副作用:エリート射手は、もはや有利ではないことに腹を立て、執拗な弾薬テストの重要性が薄れる。(ウィルB)
- >安全性が懸念事項であるなら(私はそうは思いませんが)、ライフルの最大重量を下げればいいのです。
私は、射撃ジャケットをなくすことによって安全性が懸念事項になりうると思います。実際、射撃選手が背中を痛めてしまう例は最近もありました(ジニー・スラッシャー)。より軽量のライフルや局所的な背中のサポート(つまり、外骨格射撃スーツではなく、小さくて柔軟性のある背中用ブレースなど)も有効な解決策です。
エリート射手から大きな反発が起こるでしょうか? 思うに、彼らは新しいルールセットに適応するだけでしょう。おそらく新しいライフルや既存のライフル用のストックを購入することに不満を言うでしょうが、2年後にはそんなことはすべて忘れ去られるでしょう。反発のほとんどは下位レベルの射手から来ると思います。エアライフル射手の平均年齢が若くないことは周知の事実であり、競技力を保っている年配の射手の中にはギアに頼り切ることでかろうじて競技力を保っている人もいます。反発はおそらくそこから来るでしょう。(マイクb123)
- >ジャケットとパンツは本当に馬鹿げた存在であり、射撃スポーツにとって大きな障害にほかならないと思います。競争力をつけるために2,000ドルの特注スーツが必要だ――なんて話になるのは、まったく馬鹿げています。
とはいえ、射撃用ジャケット&パンツが射手に途方もない量のポイント(1発あたり1~2点)をもたらすのは事実です。誰もがこのアドバンテージを欲しがります。オリンピック選手が8点や9点を撃つ姿を見たい人などいません。そうなると、スコアがもはや印象的ではなく、エアライフルは非常に退屈なものになってしまいます。新しくこのスポーツをやってみたいと思う新規参加者の主なモチベーション供給元である観客の大きな関心を失ってしまうでしょう。
また、ライフルの価格が既に途方もなく高い(4000~8000ドル)ため、参加費をたかが2000ドル程度下げるだけでは、もはや意味がありません。新規参加者がスポーツに真剣に取り組むことを決意し、大金を費やすことができるのであれば、わずか1000~2000ドルの差で妨げられることはありません。
初心者には、より安価な射撃ジャケットという選択肢もあります。大手ブランド(Capapie、Kurt Thune、Sauerなど)を避け、200ドルから700ドル程度の安価なジャケットを購入するという選択肢もあります。繰り返しますが、すでにライフルを購入しているのであれば、この比較的少額の出費はそれほど問題にはなりません。
>エリート射手から大きな反発が起こるでしょうか? 思うに、彼らは新しいルールセットに適応するだけでしょう。
この意見には同意します。エリートシューターからの反発はそれほど強くないでしょう。彼らは既にスキルを磨いており、ジャケットなしでも600点、あるいは610点を超える人もいます。反発するのはおそらく、スキルがまだそこまで達していない低レベルのシューターで、文字通りジャケットだけでスコアを上げている人もいます。ジャケットなしでは何もできませんから。(シューター1234)
- >オリンピック選手が8点や9点を狙うのが問題なら、標的を大きくすればいいのではないでしょうか? まあ、提案されているものと比べれば小さな変更でしょう。
そこが問題の核心です。用具を廃止すれば、このスポーツへの関心が高まり、新規射手が大量に流入したりするでしょうか? もしその質問の答えが「イエス」だと確信できるなら、私は用具を全て処分することに大賛成です(私は用具に特別な愛着はありません)。しかし、現時点では用具の廃止が射撃スポーツの人気につながるという意見にはどうにも納得できていません。(マイクb123)
- ピストル射撃やアーチェリーにおいて、8や9が出たからって観戦が退屈になるなんてことはありません。(ojh/フィンランド)
- 10mエアライフルはドラッグレースに例えることができます。もし目標が勝利ではないなら、勝利を望み、ルールブックの範囲内で勝利のためにあらゆる手段を講じる人々に文句を言う理由はありません。スポータークラスのエアライフルはファクトリークラスのストックカーに、エリートレベルのオリンピックレベルの射手はトップフューエルのドラッグスターに例えることができます。彼らは依然として内燃機関を使用して、A地点からB地点まで可能な限り速く移動します。公平な競争を実現するために、彼らはルールシステムによってハンディキャップを負っています。ライフルはポイントで有利なスタートを切ることはできませんが。
精密エアライフルの選手が着用するジャケットとパンツは、彼らが10リングをより安定して命中させることを可能にしていることは間違いありません。ライフル射撃の紛れもない目標は、弾丸を可能な限り中心に近づけ、可能な限り安定して命中させることです。競争相手よりも安定してそれを達成できるレベルに到達するには、おそらく、その目標達成のために費やす時間、エネルギー、そして費用に対する意欲、規律、献身、そして犠牲がより重要になるでしょう。
スーツのおかげでスコアが上がると言うのは簡単です。しかし、誰か、あるいは何らかの機械が60発の弾丸を10.9点以上のスコア(そう、フードの中を見ればスコアは10.99999になることもあります)で発射できるようになるまでは、完璧は達成できません。現在トップレベルで使われているペレット、バレル、レギュレーターは、昔のワルサーLGRサイドストローカーに搭載されていたものと比べて格段に優れているわけではないでしょう。肝心なのは、ルールの範囲内での装備競争が常に行われてきたということです。
射撃コミュニティとして、若い射手が最高級の射撃用具をフル装備しても630点が出ないという事実にやる気をなくしていると考えているのであれば、チャンピオンと参加者を分けるものについて彼らは嘘をついてきたことになります。成功はさらなる成功を生むと私は信じていますが、それはさまざまなレベルで起こり得ます。マークスマン、シャープシューター、エキスパート、マスター、ハイマスターの分類があるのには理由があります。同じルールブック内で競技する選手たちが、似たようなスキルを持つグループと競い合い、勝利を掴むチャンスを得る。そして、競技への情熱を持つ選手が競技を続けるのは、まさにこのためだ。現状では、CMPとNRAのルールブックには、試合監督が公平な競技環境を整え、小さな勝利も認めるために活用できる、数多くの分類やカテゴリーが存在する。スコラスティック・アンダー15マークスマンの優勝者は雑誌の表紙を飾るだろうか?いや、そうではないだろう。しかし、その少年はその勝利を一生忘れないだろう。そして、たとえ小さな成功であっても、成功によって得られる無形のものは、彼らをさらなる向上を目指して再び競技に挑ませるだろう。
スーツとパンツは変わりません。新しいルールでは、新品の状態では不可能な、スーツの柔軟性をある程度証明することが求められるかもしれません。そのため、必然的に、規定の競技規則に則るためには、スーツを慣らす必要があります。ジッパーを締め、ボタンを留めた状態で、地面に落ちたライフルを拾い上げる、あるいは椅子に座って立ち上がるといった動作を想像してみてください。硬さを測る機械は必要ありません。この2つの動作ができるかできないかのどちらかです。できない場合は、競技規則に反します。(マイク・カーター/テネシー州ナッシュビル)
- 重いコートから軽いコートに移行したときと同じように、それまで勝っていたものがこれからも勝つだけです。違う点があるとすれば、より「格好良くなった」ことだけです。(バグマン1955)
- >重いコートから軽いコートに移行したときと同じように、それまで勝っていたものがこれからも勝つだけです。
その点についてはだいたい皆同意していると思います。ルールが変わったところで、優秀な射手は(スコアは下がるものの)勝ち続けるでしょう。この変更によって得られる主な成果は、参加コストの削減です。購入する必要があるのはライフルだけです。問題は、このような劇的な変化が、現在の射手に多くの問題を引き起こし、最終的にこのスポーツの存続を危うくする可能性があるかどうかです。(マイクb123)
このトピックが立てられたのがピストル射撃をメインに扱うBBSだったということもあるのでしょう、射撃コートに対して「あんなものがあるから射撃人口が増えないんだ」みたいな強い反感を持っている人がけっこう多いという、驚きの結果になりました。ライフル射撃メインのBBSだったらまた違った反応になるのかもしれません。
ただ、言われてる内容が妥当かどうか、納得いくものなのかどうかはそれとは別に判断すべきでしょう。
射撃コート必要派「コート無しだと身体を痛める」
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射撃コート不要派「ライフルを軽くしたり、身体を痛めないようなサポートに限ったりすればいいのでは」
射撃コート必要派「点数が出なくなると面白くないでしょう、世界トップレベルで8とか9を連発してたら誰も射撃なんか見ない」
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射撃コート不要派「ターゲットを大きくするという方法もあるし、そもそもピストルやアーチェリーは8や9が連発するがちゃんと観客はいるぞ」
射撃コート必要派「コート着用を前提にして技術を積み重ねてきたトップ射手からの反感が予想される」
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射撃コート不要派「これまでのルール変更と同じようにトップ射手はあっさり受け入れるでしょう、むしろ反感はそうでない層からのほうが多いかも」
やりとりをざっとまとめるとこんな感じになるでしょうか。
「競技をするには射撃コート着用前提になってるせいで競技参加へのハードルが高くなりすぎている、それを解消することで射撃人口増加が見込める」という意見もありました。射撃コート不要論者の最大の拠り所というか主張のキモになる部分がこれっぽいですね。ISSF提言にある「(硬いスーツは)イメージを損なう」とか「テクニカルドーピングに相当する」って言い分も、そこらへんと基本的な考え方が同じに見えます。
とはいえその意見には、射撃コート必要派から「そもそも銃自体の価格がとんでもなく高騰してる現状、射撃コートのあるなし程度じゃそんな変わらん」って反論もありました。うん、それは確かにそう。