Categories: 実銃射撃

気持ちが折れなかった自分を褒めたい

台東リバーサイドスポーツセンター、地下の隠し部屋(笑)にある射撃場にて東京都選手権。

毎年11月23日の休日(勤労感謝の日)に開催されている、その年の東京都ライフル主催の大会において上位ランキングに入っている人だけで「今年の最強」を決める、という位置づけの大会だ。といってもまあ見知った顔ばっかりだし和気あいあいとしたもの。いつもは3射郡とか4射郡まであって朝から晩までかかってたのだけれど、今年は参加者は20名のみなので2射郡しかない。参加人数が絞られたのかとも思ったけれど、要項を確認すると去年までと同じく参加枠は30名になっている。単純に申込みが少なかっただけか。「中央区のすごい人たち」は参加していないし…ってこれはいつものことだけれど。

ローカル大会にしては珍しく、上位8名で行われるファイナルまでキッチリと行われるのが東京都選手権の特徴だ。ロンドンオリンピックの後、射撃のファイナルのルールはガラッと大きく変わった。「観客がエキサイトできるルール」を目指して紆余曲折がある射撃のファイナルルールだけれど、今回の変更はまたドラスティックで、一言でいうと「運営側が物凄い面倒くさい」形になっている。せっかくの選手権だからと気合を入れてこの面倒なルールのファイナルをキッチリ運営してくれるスタッフの皆さんには感謝だ。

久々にまともな点数が撃てた

一昨年はひどい点数を撃ってしまい、さして長くはない射撃人生の中で始めて「都選手権でファイナルに残れない」という屈辱を味わい、昨年は昨年でファイナルには残れたがそのファイナルで上手く撃てず8位に転落するという残念な結果になってしまったが、今年はそこそこ上手く撃てて553点、3位通過でファイナルに残ることができた。トップとの点数差は9点である。

しかし新ルールのファイナルは、この時点でどれだけ点数が開いていようが、全く関係なくなったというのが一番大きな変更点だ。8位までに入り込んでファイナルに進出すれば、トップとの点数差が1点だろうが30点だろうがそんなのは全く関係なし。同じスタートラインでファイナルを撃ち始めて順位が決定される。

以前はそうじゃなく、本戦での点数にファイナルでの点数を加算して総合得点を出して順位が決定する形だった。ファイナル進出時点でトップと10点差とかあったらもう勝負は決まっていたようなものだった。たしか一度、30点くらい差があってファイナルで10点近く縮めたけれど結局追い付きはしなかった、みたいなことがあった。もしあの時のルールが今のルールだったらぶっちぎりで優勝だったということになる。まあ、世の中そんな単純なもんじゃないが。

 

とにかくスタッフが大変

新ルールのファイナルは、まず6発だけ撃つファーストステージを行なう(3発150秒×2)。その点数が基準となり、それに2発(1発50秒×2)を撃って点数を加算して、その時点で最下位だった人が脱落していく形になる。採点は本戦と違い0.1点刻みになるので、「ギリギリに入った10点」も「ギリギリで外した9点」も得点的にはたいして変わらない。とにかく落ち着いてどれだけ良い射撃ができるかが勝負になる。

台東リバーサイドスポーツセンターの射撃場は電子標的じゃないので、標的をいちいち回収しては機械に通して採点してノートパソコンにその数字を撃ち込んで集計するという、とても手間のかかるやりかたになる。3発撃って集めて採点して集計して、2発撃って集めて採点して集計して、プリントアウトして発表して…。銃を握って待ってる方も大変だけれど、やっぱり一番大変なのはスタッフだ。ほんとご苦労様でした。

ファイナルのファーストステージになる最初の6発、「最高に上手く撃てた」というわけじゃなかったけれど、ファイナルに慣れてないのか自滅する方が多く2位。それもトップに1.7点差。いける、これは行けるかもしれない!

 

だが差は縮まらず

しかし、そのあとはやっぱり地力の差が出る。2点離され、0.5点追いつき、1点離され、0.4点追いつきといったペースで進み、脱落こそしなかったが最後の2人(つまり、1位か2位かが決定する場面)では、差は4.1点にまで開いてしまった。

2発で4点の逆転は、相手が「とてつもない大ポカ」を2連発しないかぎり無理。とはいえ、自分自身にできることは、その残った2発を「ちゃんと撃つ」ことだけ。ここで「自分がミスしちゃったら元も子もない……」とか考えちゃうともうダメ。相手がどうだとか自分がどうだとか関係なしに、「当てたい」とか「10点に入れたい」とかそういう気持ちも捨てて、きちんと構えてきちんと狙ってきちんとトリガーを引く。ただそれだけだ。

なんとか、最後の2発を「ちゃんと撃つ」ことができた。結果としては0.7点しか差は縮まらず3.4点差での2位になってしまったけれど、「もう勝てる見込みなんかほとんどない」という絶望的な状況でも、最後まで諦めずにちゃんと撃てたことだけは、自分で自分を褒めてやりたい。

ちなみにトップ画像は、その最後の最後に撃ったもの。得点は9.3点だ。すこし上に外れているけれど左右のブレはほとんどない。上に行ったのは気持ちが上ずったのかリアサイトが霞んで上下方向の照準が甘くなったせいか、けれどこの程度なら今の自分のレベルだったら「まあ許容範囲」だ。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ