用途が厳格に法律で決められている実銃と違って、エアガンの遊び方というのは人それぞれなんだけれど、私にとってはやっぱりメインの遊び方は「的を狙って撃って、当てる」という方向性だ。何を狙うか? 部屋の中で撃つわけだから、できるだけ弾が散らばらないようなものがいい。ダンボールで自作したりもしたけれど、なかなか耐久性を持たせるのが難しい。

市販のエアガン用ターゲットというのは、これがまたエアガンの種類に比べると壊滅的といっていいほどに少なかったりする。エアガンで的を狙って撃つことが多いユーザーって、実はそんなに多くないのだろうか? ま、それはさておきその種類が少ないエアガン用ターゲットの中でも、私が気に入って前から使っていたのが「弾がくっつく」ターゲットだ。

「ああ、あれか」と頭に思い浮かんだ人もいるかもしれない。が、この「くっつくターゲット」というのが実は製品的にはややこしい変遷をたどっていて、現在はお店で手に入れるのがけっこう難しくなってしまっている。

簡単に歴史をまとめてみる。私の知る限り、この系列のターゲットで最初に発売されたのは「啓平社(KHC)」の「スティッキングターゲット」という製品。画像が手に入らなかったのでGoogle検索で見つかったページから失礼ながら勝手に引用させていただいた。
(2009.3.31追記:画像がリンク切れになってたので別のを探してきました)

半透明の緑色のシートが粘着シートになっていて、その後ろにブルズアイターゲットが印刷されたスポンジ製のクッションがある。ターゲットを撃つとBB弾は一端粘着シートに貼り付き、数秒たつとゆっくりと下に転がり落ちて、弾受皿に回収されるという仕組み。スポンジクッションを裏返すと、確かマンターゲットが印刷されていたような記憶がある。緑色のシートのせいでターゲットがいまいちハッキリと見えないが、そのかわりに貼り付いたBB弾はよく見えた。値段は1,800円(税別)。1997年ごろの発売だったと思う。
その後、ターゲットのデザインが変わり製品名も「Aターゲット」と変更され、値段が100円アップの1,900円となったのが2001年。その後はしばらく「くっつくターゲット」の選択肢はこれ一つだったが、2004年に対抗馬が現れる。SⅡSの「マジックターゲット」である。価格は大幅ディスカウントの819円(税込み)。

製造を台湾で行うことで大幅ディスカウントに成功したようだ。構造はAターゲット(スティッキングターゲット)とほぼ同じだが、粘着シートが無色透明となっていて、その後ろのクッションに印刷されたブルズアイターゲットが見やすいというのが利点となっている。クッションを裏返して使うことはあまり想定されてはいないようだ。
半額を大きく切る値段で同等品を発売されてはたまったものではない。「マジックターゲット」の登場により「Aターゲット」の製造は止められたようで、すぐに店頭から見えなくなった。今では、ごく稀にイベント等でショップが在庫を格安販売しているのを見る程度だが、それでも「マジックターゲット」と同等程度の値段なのでなかなか売れないようだ。

エアガン業界の流通は問屋とお店の確執とかそんな感じの複雑な事情がからみあって少しややこしいことになっていて、SⅡSの製品を置いていないショップが少なからず存在している……が、今はネット通販というユーザーにとって非常に心強い存在がある。というわけで検索して見つけた某ショップより、マジックターゲットを一気に6つも購入してしまった。スティッキングターゲットで同じ事をやったら1万円コースだったが、こっちならば安いので送料入れても5千円でお釣りがくる値段で収まった。

これで何をするか……は、長くなったので次回に。


池上ヒロシ

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池上ヒロシ