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マック堺トークイベント in 市ヶ谷

投稿日:2013年4月30日 更新日:

4月27日の土曜日、東京は市ヶ谷のイタリアン料理店「Un(ウン)」にて開催されたマック堺さんのトークイベントについてお届けします。

マック堺(本名:サカイタツヤ)さんは、スピードシューティング界だったら知らない人はいないレベルのトップシューターです。日本で行われているエアガンを使ったシューティングでも常にトップ争いに加わり、もちろん優勝回数も数えきれないほど。そしてなにより、アメリカで開催されている実銃を使ったスピードシューティングの大会「USスティールチャレンジ」に参加、2004年にはついに日本人として初めての総合優勝という快挙を成し遂げました。

現在もトップレベルの競技者としてシューティングを続けるかたわら、シューティングの普及や発展のためにYoutubeのチャンネルに入門ビデオをUPするなど、各方面でいろいろと活動されています。

mach-09コンバットマガジン・フォトグラファー兼ライターのTakuさんと、赤羽フロンティアの山中社長がホスト役となってトークイベントは進行します。堺さんも山中さんもこんなイベントは初めてらしく、ガチガチに緊張されている中、慣れた感じで話を混ぜっ返して混乱に拍車をかけるTakuさんが鬼畜です。


それでは、展示されていたカスタムガンの写真と一緒に、トークイベントの内容から印象に残ったやり取りを抜粋してお届けしましょう。

大昔に使っていた固定スライドのガスガンから、新しめのガスブローバックまで各種が並んでいる堺さんの使用銃。USスティール参加時に使用していた実銃は、残念ながら展示されていません(当たり前ですが……)。


●スピードシューティングを始めたきっかけ

――スピードシューティングを始めたきっかけというか、知ったのはどこですか?

子供のころは九州で育ったんですが、今と違いインターネットもないし、情報はほとんど入ってきません。けれど「Do!スポーツ」というTV番組がありまして、そこでスピードシューティングが紹介されていたのを見たんです。銃器ライターのケンさんがプレート(6枚)を5秒足らずで倒すのを見て凄い衝撃を受けまして。当時、そんなことができる人がいるなんて想像も付かない世界だったんですよ。その番組を見たことがきっかけで本格的にシューティングを始めました。月刊Gunやコンバットマガジンで連載されていたスピードシューティングの記事も参考になりました。

――大会に参加するようになってからは?

始めてジャパンスティールチャレンジ九州大会に出て5位になりました。就職して上京し、東京大会に参加するようになったときには最初からトップ争いに加わっていましたね。

かつて、MGCからシューティング用モデルとして発売されたウイルソンLE。まだガスブローバックが存在しなかった時代で、いわゆる「ダブルアクションオンリーの固定スライドガスガン」なのですが、トリガを引かない時はハンマーが起きていて、トリガーを引くとハンマーが倒れ、戻すとまたハンマーが起きるという「なんちゃってシングルアクション」と呼ばれるメカニズムを持っていました。

 

グリップした時に、手のひらに触れる部分が増えて銃がより安定するように、銃のグリップ部分などに大胆なパテ盛りをしたり削ったりしたカスタムが、マック堺さんの使用銃の特徴です。「どんなに綺麗に仕上げたカスタムガンを渡しても、2日もたつと見るもおぞましい姿に変貌してるんだよなあ」とは、堺さんを良く知るエアガンカスタムビルダーさんの言葉です。右手だけでなく左手も使って銃の反動を抑える工夫は、堺さんのUSスティールでの活躍がきっかけとなり本場アメリカでのシューティングガン・カスタムにも影響を与えています。


●アメリカのスティールチャレンジに参加

――どういった経緯でUSスティールに出るようになったんですか?

昔、アメリカンガンキッズというショップがあったんですが、そこのPCシステムの構築を仕事として受けて、そこでケンさんと知り合いになったのがきっかけです。最初に参加したのは1997年になります。

――腕を曲げて撃つ独特のフォームは、向こうの人たちからすると異様に見られたのでは?

「それは良くない撃ち方だ。ちゃんと腕を伸ばせ」という意味のことはあちこちで言われました。けれど、聞いた話だと昔のUSスティールにも、こういう撃ち方をした人はいたらしいんですよ。

――ぶっちゃけ、参加するのにはどのくらいお金がかかるんでしょう?

細かくは数えていないけれど、トータルでいったら100万円くらいにはなるんじゃないですかね。

――ずっとエアガンで練習していて、初めて実銃での競技に飛び込んだわけですが、その二つの違いというのは感じましたか?

実銃は、こわいです。日本に帰ってくるとほっとします。エアガンは危ないといっても、当たってもせいぜい「痛い」ですみますし。それに向こうで使わせてもらってる銃は法的には私の物じゃなくてイチローさんの名義になってますから、なにかあったらイチローさんに迷惑をかけてしまう、その怖さもあります。

――実銃はエアガンに比べて強い反動がありますよね?

反動の制御についてはなかなか上手くいかないですね。反動が来て、ダットがターゲットのところに戻って、その戻った途端の美味しいところで撃てることがあるのだけれど、なかなか身につきません。

――実銃を知ってしまうと、日本でエアガンを撃つのが馬鹿らしくなるってことはありますか?

それは全然ありません。エアガンはエアガンとして楽しんでいます。「エアガンだからつまらない」と思ったことは一度もありませんね。

――向こうだと賞金出るんですよね?

USスティールは、優勝したら3000ドル、一度だけJeepがスポンサーについて1万ドルだったことがあるんですが、マックスが持ってっちゃったんだよね……あの時は。あとはステージごとにスポンサーが付いていて、そのステージの1~3位までに賞金が出たりします。

――日本でエアガンでやってるスティールチャレンジよりもUSスティールは距離が長いですが、やっぱ難しいですか?

着弾が遅いんでエアガンに比べれば「距離がある」ということは感じます。難しいといえば難しいですが、エアガンでのスティールチャレンジはとんでもないスピードで撃てるので、それはそれでそれなりの難しさがあります。

――J.J.Racaza(フィリピン出身のプロシューター)の「優勝のかかった最終ステージ」を見ながら)これって、集計の途中でペナルティ分を加算してなくて、優勝してないのに優勝したと思い込んで大喜びしちゃってるんだよね。

この映像を見ていただければわかりますが、JJにしちゃそんなに速くありません。優勝がかかっていると、凄いプレシャーがかかるのであまり速く撃てないんですね。

――集計してみたら、堺さんのほうがスコアが上で優勝だった。

私はこの時点では自分が優勝なんかありえないと思ってたんで気楽に撃ってたんです。

――(翌年の2005年、DQ(危険行為による失格)になってしまった映像を見ながら)ホルスターから銃を抜いた途端に足元を撃ってしまって、1発失格になっちゃったんですよね。

このときは、正直「もうここでシューティング辞めよう」と思いました。けれどいろんな人に、「お前はシューティングを続けるべきだ」って言われて……そして、今でも恥ずかしながらこうやって続けてるわけです。

2004年USスティールの優勝カップ。映像ではピカピカに輝いていましたが、9年の歳月が過ぎて良い感じにくすんで年季がはいった色合いになっていますね。


KSCのスポンサードを受けていた時代に使っていた、グロック34のカスタム。ドットサイトを横向きにしてマウントすることで、マウント位置を下げる工夫がされています。スライドは動いてもバレルは動かないように、フレーム下から前方に伸ばした金属板に直接インナーバレル先端を固定しているのがわかるでしょうか。


●マック堺さんにとって、シューティングとは。

――最近、Youtubeにいろんな映像を撮ってUPしてますよね

シューティングって、本当に知られてないですよね。少しでも知ってもらいたいと思って、できるだけ「格好よくて、憧れる」映像を撮りたいといろいろ試行錯誤してます。UPしてみて反応をみると、「ああ、こういうのがウケるんだ」「こういうのはあんまり評判良くないのかな」とかわかってくるんで、それを次に活かしたり。

――どうやったら、あなたのように上手くなれるんでしょうか?

自分の場合、「ただ撃ってたら上手くなった」としか言いようがなくて……。理論的にどういうトレーニングをしたら良いのかとか、ちゃんとやってたらもっと効率的に上手くなってたんじゃないかなとは思います。

――シューティングをやっていて、楽しいのはどんな時ですか? 逆に苦しいのは?

「なんで自分はこんなに苦しい思いを好き好んでやってるんだろう」と思うことはありますが、基本的には撃ってれば楽しいし、練習してれば楽しいです。

――フォームに悩んでるんですが、どういうフォームがいいんでしょうか?

自分もわかりません。毎回、いろいろと試行錯誤して変わっています。今のテーマにしてるのは、「練習と違うことを本番でやる」というのはやめようということです。最近わかってきたんですが、本番になるとスタンスも引き金の引き方も練習と違う感じになってしまっていて、その違いをその場合わせで、ツギハギで切り抜けてる感があります。

――それでも優勝するんですよね。

日々の積み重ねで、身体にしみついたもので、無理やり切り抜けてるんですね。

――怖かったことは?

(DQになった年の翌年の)アウターリミッツが、もう怖かったことといったらないですね。まあ、実銃はいつでも怖いですが。

mach-06こちらはKSCの次に使用していたウエスタンアームズ製、おそらくSVインフィニティをベースとしたカスタムです。シャーシが金属製となったためサイトをマウントするときの苦労が大幅に減り、またインナーバレルの固定の自由度も増えました。


mach-07こちらは東京マルイのハイキャパ5.1をベースとしたカスタム。スライド先端を1cmほど切ってシャーシ先端に固定し、それを介してアウターバレルやコンペ ンセイターを先端で保持するカスタムになっています。ショートリコイルの類は全てキャンセルしてあるようですね。グリップを握りやすくするための大幅な加工が目を引きます。


●その他

――好きな食べ物は?

どう言ったら正解になるのコレ(笑)

――女性関係のことを遠回しに聞いてるんじゃ?

えっと、魚とか?

――スピードオプションみたいに大きなターゲットと小さいターゲットが混在してるときは、どっちを先に撃ちますか?

まずでかい方に放り込んで、グリップが安定したところで小さいのを撃ちます。

――ハンドガン以外でスティールに出たいとか思ったことは?

ライフルやショットガンで出たことはあるけれど、全然ダメでしたね。

――最後に一言。

こんなトークイベントなんて開いていただいて、ナカザワさんやヤマナカさんがいろいろ盛り上げてくれてこんなに大勢の方に来ていただけて、ありがとうという気持ちでいっぱいです。

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