※協賛:ノーベルアームズ、アームズマガジン、ライフルショップエニス、フリーダムアート
協力:新宿Target-1
ピンポイントシューティングもついに10回目にして雨に降られてしまいました。屋内なので競技には直接は関係ないとはいえ、やはり会場までの足が遠のいてしまうのは仕方なかったのか、参加人数は8名(私を入れて9名)となりました。とはいえ初参加の方も何人かいらっしゃいました。ありがたいことです。
今回は特に目新しいターゲットは導入したわけではなく(せいぜい、プレートで命中判別が少しでもやりやすくなるように黄色い反射テープを追加したくらい)、いつもどおりの実力が出せればいつもどおりの点数が出るであろうと思われたのですが、ベテランのはずの人たちですら妙に失中が目立つ回となりました。雨降りで光線の具合がいつもと違ったから? そもそも屋内で外の光線はほとんど入ってきていませんし、夜に開催したこともありましたがそれほど違いはありませんでした。寒かったから、あるいは暑かったから? もう1年近くもやってきてるわけで暑い日もあれば寒い日もありました。
「いつもと同じように、いつもと同じことをする」というただそれだけのことがこんなにも難しいとは、普通に暮らしているだけでは絶対に実感できないでしょうし、こういった競技や、ほかのスポーツでもなんでも普通に参加しているだけではなかなか思い知る機会が少ないと思います。けれども有る程度以上に「上」を目指している人は、きっと誰でもその難しさを思い知っていて、それゆれにどんな状況であっても「いつもと同じ自分」を一瞬で取り戻すためにさまざまなことを試みています。多くの日本人にとってなじみ深いのが、野球選手がバッターボックスに入ったときに行う一連の決まった動作でしょう。それが特徴的な有名選手というと、40代以上の人だとすぐに思い浮かぶのは掛布、30代くらいだと落合、20代ならイチローってところでしょうか。どんなピンチでも、チャンスでも、もちろんなんでもない打席であっても、その動作を繰り返すことで「いつもと同じ自分」を出現させる、そのためのスイッチとして一連の動作を身体や精神の奥底に刻み込んでいるわけです。
射撃も同じです。銃を握って身体の感覚を確かめ、ターゲットに向かう一連の操作、それを練習のときから試合と同じように決まった動作を完璧に行い、意識や身体に「スイッチ」として登録することで、構えて狙う時には「いつもと同じ自分」になるようにする。トップ選手を見ていると、実際に撃ち始めるまでくどいくらいにいろんな場所を確かめるのに時間をかけます。一見すると神経質に見えますが、それを含めて全部の動作が、実際にトリガーを引いて弾を撃つまでの一連の「射撃動作」になっているわけです。練習だからいいかげんに撃つ、試合だから真面目に撃つというのではなく、練習でも試合と同じような心で撃ち、試合では練習と同じような気持ちで撃つ。なかなか難しいことですけれど。