ちょっと前、「PVが稼げる記事ってどんなもんなんだろう」という実験をかねて書いた「サバゲ好き彼氏へのプレゼントの選び方」なんていう、実にこのブログらしくない記事を投稿したことがありました。その中でも書きましたが、「良い工具」というのは、なかなか自分でお金を出して買う気にはなりにくいが、持っていると確実に役に立つものです。
エアガン関連だと、いつか買わなきゃなあと思いつつ、ついつい不便を我慢して代用品や100均グッズで済ませてしまう工具類ってのがけっこうありますね。ピンポンチやプラスチックハンマー、いろいろなサイズを取り揃えた良質のドライバーなんかが代表格です。
六角レンチ(アーレンキーとかヘックスレンチなんて呼び方もしますね)は逆に、わざわざ買わなくてもエアガンやパーツにオマケでついてくるものが大量に溜まって逆に持て余し気味になったりすることもあります。
Wikipediaを見ても「ものすごいたくさんの名前がある」ってことがまず最初に延々と説明されてるほどに、人によって呼び方が違うこの工具。頭に六角形の穴が開いたボルトを緩めたり締めたりするための道具です。エアガン業界だと「六角レンチ」って呼ぶのが一番普通なんじゃないかとは思いますが、もしかしたら地域やショップによって変わるかもしれません。
六角レンチは、「ボルトとレンチのサイズが完璧に合っていないと、使い物にならない」という特徴があります。プラスネジやマイナスネジなら、ドライバーとネジのサイズが少々合っていなくても無理すれば緩めたり締めたりできます(良いことではないですが)。しかし六角レンチの場合、規定より小さいレンチではスカスカになって回せませんし、大きいレンチはそもそも穴に入りません。
だから、さまざまな規格のボルトに合わせて、さまざまな規格のレンチを何本も揃える必要があります。前述の、「エアガンやパーツのオマケに付いてくるレンチ」というのは、もちろんその付属する本体の調整だとか分解だとか取り付けに必要なサイズのものが付いてくるわけですが、まとめて一つの箱に放り込んでおいたりすると、いざ必要になったとき似たようなサイズのレンチをあれかこれかと何度もボルト穴にあわせて探したりすることになりがちです。
なんといっても、そういうオマケで付いてくるレンチは、それほど品質が高くありません。手で曲げると曲がってしまったり、硬さがそれほどでもなくて力を入れて回すと削れて空回りしてしまったり(ついでにボルト穴もダメにしてしまったり)、サイズが大きくないので力を入れることが難しかったり微妙な力加減ができなかったりという問題があります。
そこで、「ある程度ちゃんとしたレンチを一揃い買っておくと、エアガン趣味はいきなり充実しますよ」というアドバイスになるわけです。
実銃の世界でも六角ボルトは広く使われていますので、六角レンチが役に立つ場面は数多く存在します。分解したりメンテナンスしたりといったことだけでなく、トリガーやサイトの調整だとか、グリップなどが緩んで締め直す必要にかられるといった、「普通に射撃している最中に、六角レンチを取り出して作業をする」という場面がけっこう多いのです。
海外の射撃競技専門BBSである「TargetTalk」に、六角レンチについてのトピックが立ち上げられていました。普段は射撃技術や用品の使い方だとか、ルールの解釈だとか大会の結果といった内容が多い掲示板としては一風変わったテーマではあったのですが、意外にも住人の皆さんの食いつきが良く盛り上がったトピックになっていました。
Friendly advice to new people: ball joint allen wrenches (http://targettalk.org/viewtopic.php?f=4&t=54349)
- 最近、私は大勢の新参シューターと接するにあたり、彼らに伝えるべき一つのヒントに気づきました。「ステンレススチール製の、片方の端がボール状になっている六角レンチ」を購入しておけ、というものです。銃を購入したときに付属してくるよりもずっと長い六角レンチを使うことで、より強いトルクでネジを緩めたり締めたりできますし、微妙な角度調整も可能になります。落っことしたときに見つけやすいという利点もあります。20ドルかそこらで、銃に関する「いらいらする出来事」を大幅に軽減することが可能です。ハッピーシューティング!(国籍不明ですが、通貨の単位がドルだってことは多分アメリカなのでしょう)
- 同意します。六角レンチに投資するというのは良い選択です。ただし、2ポンド(あるいは2ドル)とかで売られているセット物の六角レンチはおすすめできません。それらはサイズが一貫していませんし品質も高くありません。99ペンスストア(日本でいうところの100円ショップ)で売っていた六角レンチは、手で簡単に曲げることができました。
トルクについては注意が必要です。長い六角レンチは固く締まったネジを緩めるのに有効ですが、再び締め付けるのは慎重に行わなければなりません。空気銃に使われている数少ないネジを締め付けるのには、六角レンチの短い方の端を持って、長い方をねじに差し込み、1/8回転ほど締め付ける、それで終了です。
私は六角レンチ用のトルクレンチを所有していませんが、エンジンシリンダーヘッドとホイールナット用のトルクレンチならあります。もし私が将来的に、ストックにバレルドアクションをべディングする作業が必要になる銃を所有したときには、そのトルクレンチが活躍することになるんじゃないかと思います。(イギリス)
- そう、まさにそれです。ピストルのネジを締め付けすぎないことは大事です。時折、ピストルのネジが固く張り付いていて緩めるのにやたらと強いトルクが必要になることがありますが、それを再び締め付けるときに同じように締め付けることはやってはいけません。(多分アメリカ)
- なぜステンレススチール製の六角レンチが、通常のものよりも落としたときに見つけやすいのですか?
私は、六角レンチを使うときにはボール側ではトルクをかけてはいけない、と習いました。六面体が接する面積はとても少ないからというのが理由です。強いトルクが必要な時には、良い品質、熱処理をされたものを使ってください。(国籍不明)
- >ステンレススチールだと落としても見つけやすいってどういう意味?
専用のワークスペースを持っていない場合の話です。こういった小さい六角レンチは、ソファで紛失するのは簡単です。ステンレススチールの六角レンチは、(1)銃に付属するものより長く、(2)より明るい色をしているため、見つけやすいのです。(多分アメリカ)
- アメリカのMcMaster-Carrでは、「ゴールド」ボールエンドの六角レンチが販売されています。おそらく窒化チタンコーティングされているのでしょう。ベンチに落としたり隙間に入り込んでしまったときにとても目立つので助かります。
より本格派の人のためには、「エクストラストレングス」という製品が販売されています。それらは、ネジロック剤で固定されたネジを強引に外すのにも使える強さを持っています。もしネジが高強度のネジロック剤で固定されている場合、普通の六角レンチではネジを剥がすより先に工具のほうが破壊されてしまいます。それを防ぐためには、まずネジを十分に加熱することです。華氏700度(350℃)に熱したハンダゴテの先をネジに15~20分ほど接触させておくとうまくいきます。(マサチューセッツ州)
- 「WIHA TOOLS (www.wihatoolsus.com)」製のTハンドル型ヘックスツールは素晴らしい品質です。まず壊れる心配がないレベルで頑丈ですし、しっかりと熱処理されています。WIHA USAは毎月、なにかしらのセールを行っています。(ノースロンドン・オハイオ)
訳者注:みんなが褒めてるこのメーカー、日本からアクセスすると「アメリカ以外には輸出していません」という旨のメッセージだけが書かれたサイトにリダイレクトされてしまいます。残念。
- WIHAツールには、私は二番目の「いいね!」を付けます。
PBスイスも、色分けされた素晴らしいセットを作っています。近いサイズで数種類の六角レンチを使用する際に役立ちます。仮にトイレに落としてしまったとしても、派手な色をしてるのですぐに見つけることができます。(国籍不明)
- >熱したハンダゴテの先をネジに15~20分ほど接触させておく
そんなことをしたら、銃全体が熱くなったりしませんか?(国籍不明)
- はんだごての先端からネジまでの熱伝導はかなり悪く、ネジロック剤は大きな熱伝導体ではありません。ネジロック剤が十分に柔らかくなるには、少なくとも300F(約150℃)」まで熱する必要があります。ピストルの残りの部分は暖かくなり、ネジの周囲触れないくらいに熱くなります。
一度熱したネジは再使用してはいけません。熱処理を駄目にしてしまうには十分な温度だからです。ネジが外れる前に六角レンチを壊してしまったときのために、予備の六角レンチを用意しておくのは良い考えです。
写真の上は、「高強度」のヘックスキーです。無事にねじを外すことに成功したものですが、もちろん最初からこんな螺旋状をしていたわけではありません。下は、十分に熱する前に無理に外そうとして失敗してしまった通常のヘックスキーです。(マサチューセッツ州)
訳者注:上記投稿に添付されていた写真です。どんな馬鹿力でねじったらこんなありさまになるんだろう……。
- 「Harbor Freight」もTハンドル型のそこそこ使えるレンチを作っていますが、「Bondhus」や「Wifa」に勝るものはありません。(国籍不明)
- ラトルガンを使えば済む話では?(ニュージーランド)
訳者注:「ラトルガン」とは聞き慣れない言葉ですが、インパクトレンチ(インパクトドライバー)の呼び方の一つのようです。電動ドライバーのようにモーターで締め付けたり緩めたりするタイプの工具(電動だけでなく高圧エアを使うものがあり)ですが、ギュイーンと回るのではなく、ガガガガガッと衝撃付きの回転をすることで、物凄く強いトルクをかけることができるというのが特徴です。
- 対象を破壊しない、十分に小さくて役に立つものを見つけることができればいいんですが。私が良く使うヘックスキーのサイズは2.5mmのものです。ここらへんの小さなサイズで有効なインパクト・レートがあるビットは私が知る限り存在しません。実際にハイトルクのTハンドル用のショートビットを取り付けて試してみたことがあるのですが、あっさりと端がもげてしまいました。(マサチューセッツ州)
- 1インチ・ドライブを買えば、たくさんのステップダウンアダプタが付属してきますよ。(ニュージーランド)
- 私はSW22 Victoryのテイクダウン用ネジのためにインパクトビットセットを購入しました。
- 私は常に、古い六角レンチを用意してあります。ネジロック剤を溶かすために加熱する際、その六角レンチをネジ穴に差し込んだ状態でブタン(またはプロパン)トーチを使って加熱するのです。加熱したあとペンチを使って取り出して、良い六角レンチを使うというわけです。(イギリス)
- 先端がボール状になっているレンチには注意が必要です。その構造上、ボルト穴との接触面積が小さくなっているため、ネジ穴を破損しやすいのです。(銃に優しいニュージャージー州)
- ボール状の先端が六角レンチの長いキーの方にしかついていないのは、短いキー側についているフラットな六角レンチは「強いトルクをかける用」、ボールエンドは「弱いトルクで素早く回す用」と区分されているからです。ボールエンド側でキツくしまったネジを緩めようとすると、ネジとレンチの両方を損傷します。(イギリス)
1.5mmの極細レンチをインパクトドライバーに固定して使用するとか、海外の方々はえらく豪快なことをするんだなあ……。
ネジロック剤を溶かすために、ネジ頭をハンダゴテやトーチを使って熱するってのは定番手法の一つですが、ネジ、あるいはそれが取り付けられている銃本体にダメージがいかないように、古い六角レンチをボルト穴に差し込んでレンチを熱することで間接的にボルトだけを熱して、それからちゃんとしたレンチに交換してボルトを外すってのは良い方法ですね。鬼のように頑丈なネジロック剤でネジが固定してあって、付属レンチを使って外そうとしてもネジ穴を舐めてしまうなんてことがけっこうありますし。
あと、先端がボール状になっている六角レンチはいろいろと便利ですが、あくまで「そんなにトルクをかけずにクルクル回す用」として割り切るべし、ってのは有用なアドバイスでした。APS-3のコンプレスト・シリンダーって斜め方向からレンチを差し込む必要がある関係でボールエンドの六角レンチでないと着脱ができませんが、締め付けるときにあんまり強い力をかけないように気をつけましょう。
参考までに、当サイトの
APS-3分解記事よりコンプレスト・シリンダーの取り外し方法の写真です。