初心者にオススメのハンドガン【海外の反応】

NT選考会だ選手権だ全日本選抜だと、目を三角にして少しでも上に行こうと射撃場に日々通っている私ですが、スコアとか気にしないお気楽射撃の楽しさってものも忘れちゃいません。日本だとトイガンを使っての射撃ってことになりますが、銃規制が緩いアメリカなんかだと22口径のピストルを使ってのお気楽射撃が人気です。
 

狙って撃って当たって楽しい、ってのは射撃の醍醐味の一つなわけで、別に誰もがスコアアップを目指して頑張らないとならないってわけではありません。お気楽射撃もまた射撃スポーツの一つのありかたです。

そういったお気楽射撃、いわゆる「プリンキング」に使うための「プリンカー」と呼ばれるカテゴリーの銃もあります。精度とかグリップとかトリガーの作りとかは競技用ピストルには大きく劣るものの、壊れにくくて扱いやすく、そしてなにより安価であるということが最大の特徴です。

オリンピック射撃の話ばっかりしている(というかそういうカテゴリーばっかり私が紹介している)海外の射撃BBS、「TargetTalk」にも、たまにはそういうプリンカー向けの話題が投稿されたりします。そんな投稿の一つに、「愛用してたルガーMkIIIを奥さんに取られちゃったんで、自分用にもうちょっと良い銃が欲しい」という、なんか微笑ましいというか日本でも似たような話がありそうなものがありました。

しかし掲示板に集まってる連中がみんなゴリゴリの競技志向なシューターばっかりなもんだから回答がちょっと偏ったものになってしまって、「違うだろ、ソレって質問者が求めてるものじゃないだろ」って文句付ける人が出てきて、それに反論する人もでてきて、質問者が登場して釈明してもこうなるともう誰も聞く耳持たなくなってしまって……と、これまた日本のBBSでも似たような展開をどっかで見たなーと思えるトピックになっていました。

後半のグダグダな言い争いはバッサリカットして、有用なやり取りがされていた部分だけを抜粋して紹介したいと思います。
 

プロではないシューターのための、初めてのプロ仕様.22口径ピストル
Non pro shooter looking for first pro quality .22 pistol


  • 思う存分好きなままに……というほどではありませんが、私はいつも標的射撃を楽しんでいます。基本的にはショットガンを使った射撃です。
    射撃場に妻を連れて行った時、シューティングレンジで楽しめるように私のルガーMkIIIコンペティションを貸したのですが、それがとても面白かったとのことで、妻はその銃を欲しいと言い出しました。
    そのため私は自分のために新しく銃を買おうと思うのですが、もう一丁MkIIIを買うというのも芸のない話ですので、いっそもっと良い競技用のハンドガンはどうだろうと考えました。といってもそれほど本格的に競技をするというわけではありません。簡単に扱えて、メンテナンスが楽で壊れにくいターゲットピストルが欲しいのです。
    こんな理由なのですが、なにかお薦めはありますでしょうか? ご意見をお聞かせ下さい。口径は.22で、予算は2,000ドルです。(国籍欄が空欄なのですが、書いてる内容からするに間違いなくアメリカですね)

 

ルガーMkIIIコンペティション……アメリカを代表する銃器メーカーの一つであるスタームルガー社が、最初に作った「ルガーMk1」の発展型になります。単純な構造からくる耐久性の高さと値段の安さが人気のヒット作です。ただメンテナンスのための通常分解や組み立てがけっこう厄介という難点があります。画像はRUGER公式サイトより。
ルガーMkIV……実はごく最近(今年の9月。このトピックが立てられてから1ヶ月後)に、その欠点が改良され、ほぼ一瞬で分解・組み立てができるようになったMkIVが発表されたばかりだったりします。価格は700ドルたらずとお買い得。「本格的な競技用ピストル」ではないものの、質問者さんのニーズをほぼ完全に満たしてくれる「完璧な回答」になりますね。画像はRUGER公式サイトより。

 

  • 2000ドルもあるのならパルディーニSPが余裕で買えるじゃないですか。ルガーに比べればメンテナンスはずっと楽ですし、なんといっても競技銃としてのレベルが格段に上です。(ミネオラ、テキサス州)

 

パルディーニSP……イタリア製の競技用ピストル。パルディーニはセミオートのスポーツピストル以外にもエアピストルやフリーピストルなどオリンピック射撃用の本格的な競技銃も作っている「ガチの競技銃メーカー」です。どこかしらに太い銀色ラインが何本か並んで入っているのがデザイン上の特徴ですね。画像はパルディーニUSAのサイトより引用。

 

  • 「2000ドルも予算があるならパルディーニを買えばいいじゃん」という意見に一票。トリガーはグレートですし精度も素晴らしいです。実際に手に持って構えてみる機会があれば、十分以上に「お買い得モデル」であることが実感できると思います。もし数百ドルを予算に足す余裕があるのならば、新しく出たばかりのBE(ブルズアイエディション)が候補に入ります。きっと後悔はしませんよ。
    私は現在使っているのは「1911ネルソン・コンバージョン」です。十分に満足していますが、もしマスターになれたら自分へのご褒美としてパルディーニを買うつもりだったりします。(ミネソタ州)

 

1911ネルソン・コンバージョン……「NELSON CUSTOM GUNS」という、M1911(いわゆる「ガバメント」)を22口径にコンバージョンするキットを作っている会社があります。安価な22LRでガバメントをバカスカ撃てる、精度もけっこう高いなど、メリットずくめですね。写真は公式サイトより引用。

 

  • ありがとうございます。
    パルディーニは32口径にもコンバージョンできるとのことで、ナイスです!
    競技射撃についてですが、息子と私は「ATAトラップ」をやっています。静的射撃では22口径を良く使います。ピストルのときもライフルのときもありますが、22口径のライフルといったらアンシュッツ一択しかないように見えます。もっと経験を積んでライフルについても聞きたくなったら、そのときまた質問したいと思います。(多分アメリカ)

 

  • 「あまりメンテナンスに気を使わないでいい銃」ってことなら、ルガーがまさにそうじゃないですか? 競技ってわけじゃなくお気楽射撃にしか使わないなら、無駄に高い競技ピストル買う意味はないのでは?(スコッツデールアリゾナ州)

 

  • パルディーニを選ぶ際には少し注意が必要です。
    このピストルは、「高精度」「信頼性が高い」「メンテナンスが楽」という利点がありますが、バランスが不自然です。マガジンやバレル、そして必要であればドットサイトはグリップよりずっと前方に配置されるため、この銃は前方が重くなってしまっています。私のパルディーニはドットサイトを取り付けるためのマウントを持たない旧タイプなので、別に「BMEマウント」というオプションを購入する必要がありました。このマウントはバレル前方にネジ留めするものですが、そのためドットサイトは必然的に銃の前方に取り付けられることになります。新しいバージョンはこの点については改良されているようですが。
    私のアドバイスは、お金を出して銃を買う前にまずは実際に撃って体験してみてくださいということです。パルディーニは純粋なターゲットピストル(競技銃)です。たとえば森にハイキングに行く際にキャリーするには全く向いていません。
    個人的には、1911のフレームにネルソン・コンバージョンを付けるのが良いのではないかと思います。このやり方なら、45口径のスライドも所持しておけば、より多用途に使えます。(国籍不明)

 

TargetTalkの別トピックにUPされていた、ドットサイト(Aimpoint)を載せたパルディーニSPの写真。競技用ピストルにドットサイトを載せるというのは、アメリカだとそれほど変なことだとは思われないっぽいです。実際にステイヤーLP10(エアピストル)に無理矢理ドットサイト載せて撃ってる写真とかがネットにUPされていたりします。

 

  • よくよく考えてみれば、「競技をするつもりはない」というのでしたら、1500~2000ドルはする競技専用銃は、本来あなたが求めているものからは外れているような気がしてきました。
    ルガーMkIIやMkIIIを買いましょう。それで十分です。もっと手の込んだことをしたいというのでしたら、SIGのTrailsideかヘンメリーのX-esseがあります。
    あなたが質問を投稿したこのフォーラムは、ちょっと競技志向が強い場所ですので、あなたが求めるものよりは少しヘビーな選択を薦める傾向があるんじゃないかと思います。(国籍不明)

 

SIG Trailside……SIGによる22口径のターゲットピストル。ヘンメリーの技術提供を受けて作られた、入門用の安価なターゲットピストルという位置付けのようです。SIG SAUERのWebサイトには掲載されてないのはなぜなんだろう……。価格は仕様によって差がありますが、だいたい400~1200といったところのようです。画像はアメリカの銃砲店のサイトより引用。
ヘンメリー X-esse……画像を見るかぎり、SIG Trailsideとはサイトの仕様とグリップの形以外、全く同じモデルに見えます。同じ銃をちょっと仕様を変えて別ブランドで販売していると考えるのが妥当でしょうか。グリップやサイトが異なるいくつかのバリエーションが存在するようです。画像はWALTERの公式サイトより引用。

 

  • >競技をする気がないのなら、もっと安い銃で良いのでは
    私は今現在競技をしていないというだけで、より良い射撃をするために努力したくないというわけではありません。良い品質のものは高い値段になるということも理解しているつもりです。私はプロのメカニックではありませんが、頻繁に使用するツールはスナップオンやシアーズのものを購入します。
    私はトラップ競技をしていますが、クリコフだけじゃなくブローニングを使うこともあります。クリコフは適切なケアをすれば永遠に使えます。ブローニングは最小限の使用に止めれば永遠に使えます。
    訳者注……クリコフ(Krieghoff)は日本だとマイナーなメーカーかもしれませんが、アメリカでは、特にクレー射撃用の散弾銃としてはトップシェアを誇る有名ブランドです。売りはその頑丈さで、「飛行機事故の残骸から見つかったクリコフが問題なく撃てた」なんて伝説すら残ってたりするそうです。「ベレッタやペラッチが有名なのはメダリストにカネ渡して使わせてるからだ。本当に高品質なのはクリコフだ」なんて話を、ある銃砲店で聞いたことがあります。写真は公式サイトにあるカタログより引用。

     
    最初に書いたとおり、私はルガーMkIIIでピストル射撃をスタートしていまして、同じものをもう一丁買うつもりはありません。ルガーMkIIIとは別の、そしてできればより良いものが欲しいのです。
    また、私は閉鎖されたシューティングレンジ以外で銃を撃つことはありません。トレイルや裏庭での害獣駆除に使用したりはしません。
    これから、皆さんがいろいろと挙げてくれた銃を見てみたいと思います。たくさんのコメント、本当にありがとうございます。(多分アメリカ)

 

  • >ルガーMkIIIとは別の、そしてできればより良いもの
    そういう理由でしたら……そうですね、ファインベルクバウのAW93なんかどうでしょうか? USMC射撃チームでも十分に使えるほどの精度を持っていますよ。(スコッツデールアリゾナ州)

 

ファインベルクバウAW93……エアライフルではトップシェアのファインベルクバウ製スポーツピストルです。22口径の5連発、セミオートのピストルですね。25mピストル競技(オリンピック種目にもなっています)で使われます。アメリカだとなんとか2000ドル以下で買えるっぽいです。写真はバウの公式サイトより引用。

 

  • 私が思うに、質問者さんはパルディーニとファインベルクバウの両方を購入して使い比べてみるべきです。そして気に入らない方の処分に困ったら、そのときはぜひ私にメールを下さい。(国籍不明)

 

  • 「2000ドルまで」という予算で考えれば、パルディーニで決まり、それ以外を考慮する必要はないでしょう。
    私にとってもこの銃はベストな22ピストルです。ISSF/オリンピックスタイルの射撃においても十分な性能を持っています。スペアパーツとしてファイアリングピンをもう一本手に入れておきましょう。
    適切なクリーニングは必要ですが、そのために必要な分解はとても簡単にできます。(リスボン・ポルトガル)

 

  • たくさんのコメント、本当にありがとうございます。みなさんが挙げていただいたピストルについて、Webサイトやその他の方法を使ってスペックを見てきました。
    その際に気になった銃があります。ワルサーGSPエキスパートという銃なのですが、誰もワルサーについては書いていません。この銃には何か問題があるのでしょうか?(多分アメリカ)

 

  • ワルサーGSPは、おそらく最も信頼性の高いピストルの一つです。今でも現行商品ですし、アップデートもされているように見えます。(スコッツデールアリゾナ州)

 

ワルサーGSP……競技ピストルの歴史を塗り替えたワルサーの傑作「OSP」のアップデートモデル……といっても最初の発売は1968年と、型式としてはかなり古いものになります。日本のガンマニアだと、CMC製の金属モデルガンなんかを思い出す方が多いかもしれません。写真はワルサー公式サイトより引用。

 

  • S&W 41はどうでしょう? グレートな銃ですし、予算内にも十分におさまります。(国籍不明ですが、ここでS&Wのオートを薦めてくるのはアメリカ人以外いないんじゃないかと)

 

S&W Model.41……S&W製の22口径オート。大口径オートと違ってブローバック作動時に動くのはスライドの一部のみで、バレルやフロントサイト、リアサイトはフレームに固定されたままです。角度が付いたフロントサイトや大柄で微調整可能なリアサイトなどから、競技志向が強いモデルだということがわかります。メーカーによる希望小売価格は1,369ドルと、なかなかの高額製品です。写真はS&W公式サイトより引用。

 

  • >S&W 41はどうでしょう
    これはクラシックなアメリカン・ターゲット・ピストルです。私はまさにその銃を30年以上にわたって使用してきました。現在でも普通に新品あるいは中古品を購入できますし、S&Wによる完全なサポートも受けられます。(スコッツデールアリゾナ州)

 

  • 近所のガンディーラーに問い合わせてみたのですが、S&W Model.41は現在取り扱っていないとのことでした。また、1911スタイルの10発装填可能な「少し競技向き」な銃についても話を聞きました。ブルズアイ射撃には十分使えるということはわかります。でも私は5発もあれば十分です。(多分アメリカ)

みなさんのパルディーニ推しが凄いです。

一番最初に「予算は2000ドル」って書かれてるの見た時点で、「だったらパルディーニ買えるじゃん! YOU買っちゃいなよ!」ってのが、レス付けてる方々の本音だったりするのかもしれません。というか間違いなくそうでしょう。

「アメリカ人、意外と愛国心が薄いな」なんて思われるかもしれません。しかし上には引用していないところで、執拗にルガーのピストルを薦めてた人は何人かいたりします。「たくさんカスタムパーツも出てて、自分で精度やトリガープルを良くすることもできますよ」とか、そりゃもう熱心に。そのたびに質問者さんが、「だから! 何度も! 言ってるように! ルガーMkIIIは既に持ってて、別のが欲しいんだってば! トリガーカスタムもしてるし!」と半ばキレ気味に回答するというのが、ほとんどコントみたいに繰り返されていました。

一度は収束したと思いきや、質問が投稿されて1ヶ月ほどが過ぎた頃に「欠点」が解消されたルガーMkIVが発売されて「新型のルガーは良いですよ!」って薦める人が再登場してさらにもうカオスなことに。

銃好きなアメリカ人は基本、ルガーが好きか、好きでなくても何丁か持ってるかのどっちかみたいですね。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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