前回に引き続き、今回は女子10mピストルのファイナルについて、点数の推移や選手の使用銃について見ていきたいと思います。
参考:
NHK・射撃女子エアピストル決勝【見逃し】
ISSF・RESULTS 10m AIR PISTOL WOMEN FINALS
TargetTalk・air pistols used in finals in the Olympic Games Rio 2016
グラフにして点数の推移を見ると、3~7位が決定した瞬間は、それぞれ物凄い僅差だったことがわかります。第1ステージで8点台を2回も撃ってしまって最下位に沈んだ後、第2ステージに入って10点台後半を連発したものの、0.6点差で届かず7位に終わったセルビアのボバナ・ベリコビッチ選手(グラフでは紫の線)。その猛追はかわし、なんとか9点台後半で踏みとどまり続けたものの、0.9点差で追いつかず6位に終わったスペインのソニア・フランケト選手(グラフではオレンジ)。最終弾1個手前で8点台を撃ってしまい大差のビリになってしまったが、最終弾で10.8を撃って挽回を図ろうとしたものの、わずか0.2点差で追いつけず5位に終わったエジプトのアファフ・エルフッドフッド選手(グラフでは濃い赤)。
そしてメダルがかかる残り4人での戦いです。超がつく僅差に2~4位がひしめく中、最終弾で9.7(決して悪くないのだけれど)を撃ってしまい、0.2点差でメダルを逃したメキシコのアレハンドラ・サバラ選手(グラフでは緑)。0.4点差をつけて2位だった状態で最終弾で9.9を撃ったのに、3位だったロシアのヴィタリナ・バトサラシュキナ選手(グラフでは濃い青)が10.5という深いところに入れたため逆転され銅メダルとなったギリシャのアナ・コラカキ選手(グラフでは水色)。そのどれもが実にドラマチックです。
そしてそういった争いをものともせず、遥か高みに君臨しつづけ、圧倒的な差をつけたまま金メダルを獲得した中国のチャン・モンシュエ選手(グラフでは赤)も見事です。
内訳は、ステイヤー8・モリーニ2、もしかするとステイヤー7・モリーニ2・マッチガンズ1といった具合です。ステイヤーもLP10E一辺倒というわけじゃなく、ちょっと旧型の銃を使っている人がちらほらいるのは、少しでも軽い銃を使いたいというニーズから来るものなんじゃないかと思います。