ASC(ASIAN SHOOTING CONFEDERATION)提供の「基礎から学ぶピストル射撃」動画について、私のショボいヒアリング能力で聞き取れた範囲で内容の簡単な紹介と、一般的な「ピストル教本」とのちょっとした違いについて解説していきたいと思います。
第1回の「姿勢」、第2回の「グリップの保持」と、2回も講座を終了したのにまだ弾を撃たせてもらえません。そろそろ実際の射撃に入るのでしょうか……? 第3回は「呼吸」です。銃を持ち上げて狙いを付けるまで、息をどんな感じで吸ったり、吐いたりすればいいのかといった話です。トリガーを引けるのはまだ先のようです。
ピストル射撃競技は、けっこう「のんびり」した感じのスポーツです。60発を撃つための制限時間は1時間15分。「1発あたり1分」を使っても少し余る計算になりますね。TVとかで中継されるのは、60発を撃った得点の上位8名で行われる決勝戦、「ファイナル」だけなことがほとんどですが、それでも150秒3発×2と50秒1発×14の2本立てです。「TV中継向けにスピーディーに展開するようギリギリまで考えた」ルールではあるのですが、それでもアクション物の映画やドラマとかで見る銃撃戦に比べればずいぶんとのんびりしたものに感じることでしょう。
使う銃も単発、つまり1発しか装填できないものしか使いません。例外として5発連続してパンパンパンパンパンと撃つラピッドファイアという競技(日本人が唯一、射撃で金メダルを取った競技です)もありますが、この動画で解説しているのも、日本で多くの人がやっているのも、基本的には1発ずつ弾を込めて、慎重に狙って、撃って、撃ち終わったら銃を下ろしてフタを開けて弾を込めて……というのを繰り返す競技です。
その一連の繰り返し――「ルーチン」なんて呼び方もしますが、そのルーチンの中に「どういうふうに呼吸をするか」を取り入れるべし、というのが今回の動画のメインテーマじゃないかと思います。意識しないで射撃にばっかり集中すると、つい呼吸が疎かになります。慣用句で「息をするのも忘れて」って言い方がありますが、まさにそれです。数発だけなら保つのですが何十発もそういう撃ち方を続けていくと、頭はぼんやりしてきますし目はまともに見えなくなります。そうなって始めてスーハースーハー始めても遅いわけです。
呼吸のコントロールは射撃においてキーとなる要素
呼吸は、シューターが銃をリラックスして保持する助けとなると同時に、毎回同じ時間のエネルギーを供給する
呼吸は、「吸気」と「呼気」で構成される
また、腹式呼吸と胸式呼吸に分類される
腹式呼吸は、筋肉のリラックスと、試合中の精神安定に役立つ
「息を吸って、止めて、構える」「深呼吸を2~3回行って、息を止めて、構える」
どちらが自分に適しているのか比べなさい
射手は、照準動作に入る前に2~3回の深い腹式呼吸を行わなければならない
銃を持ち上げながら息を吸い込み、ピストルのサイトがターゲットの真上まで上がったら、息を吐きながらゆっくりとピストルを下げていく
浅く息を吸いながら銃を上げ、浅く吐きながらサイトをターゲット周辺まで下ろし、再び浅く息を吸いながらサイトをターゲットに合わせる方法もある
全ての動作はスムーズに行わなければならない
狙い始めてから2~3秒で撃つことが重要
「2回呼吸法」には、最終的な照準過程に入った時により多くの酸素を確保できるので、より精密に射撃ができるというメリットがある
銃を下げてサイトがターゲットに重なり始めたときに、意識は「サイト・アライメント」と「トリガー・オペレーション」の2つに集中する
もしこのプロセスが「上手く働いていない」と感じた時には、最初からやりなおしなさい
「呼吸」という、画像だけだといまいち伝わりづらい内容についての講座なので、引用画像も少なめです。動画だとまだわかりやすいので、ここはぜひ動画を御覧ください。
「銃を構えて、狙って、撃つまで」の呼吸をどんなタイミングでどんな具合に行うか。気にしないで銃をパンパン撃つだけだといつまでたっても安定しません。最初はしっかり「呼吸」を意識して、毎回同じように同じ程度の呼吸をするように習慣づけてから、あとは意識しないでもそれが行えるようにする、というのが理想ですね。