すぐに所持できるエアピストルが格安

弾を買いにライフルショップエニスに行ったついでに、Webサイトの「特価品リスト」に掲載されていた格安のハンドライフル(エアピストルの入門用として作られた日本独自のジャンル)を見せてもらいました。ついでに格安じゃない方も一緒に写真を撮って、どういうふうに違うのかってところについても簡単に。

日本において競技射撃をしようとする場合、頼りになる銃砲店というのは3つしかありません。そのうちの一つが、東京の恵比寿にあるライフルショップエニスです。エニスはけっこう初期のころから自社のWebサイトを開設してまして、つくりはちょっと前時代的ではあるのですが頻繁に特価品や新規入荷品などの案内が掲載されています。

その特価品コーナーに先日、比較的新しい機種のハンドライフルが掲載されました。全長が短いエアピストルは通常の空気銃所持許可手続きでは所持できずライフル協会の推薦などいろいろとめんどうな手続きが必要になります。ですがそれは逆に言えば、全長さえ長ければ楽に所持できるということです。銃身に長いスリーブを被せ、グリップにストックみたいな形をした板を接着することで、通常の空気銃と同じ手続きで所持できるようにしたピストル射撃用の銃、それがハンドライフルという日本独自の銃です。

中古特価ということで掲載されたのは、ステイヤーLP10(メカニカルトリガー)のハンドライフル。価格は13万円です(税別)。同じく特価品コーナーには載っているものの、未使用新品ということでほぼ新品価格そのままのLP10ハンドライフルがありますが、こちらは23万9千円。それに比べると13万円ってのがどれだけお買得価格なのかが分かると思います。

こちらが13万円(税別)のステイヤーLP10ハンドライフル。中古品ですが使用感はほとんどありません。グリップを削ったり盛ったりした痕もありませんし、操作部分のキズや錆も見当たらず、これは普通の中古品屋だったら「状態特上・新品同様」で売っててもおかしくないレベルだと思います。

 

電子トリガーではなく機械式トリガーなので、「トリガーが良い」とされている他機種に比べると若干残念なトリガープルではありますが、それでも亜鉛合金を使ってる玩具銃とは比べ物にならない良好なトリガーです。逆に電子式と違って原因不明の故障の心配がないのは、中古を買ううえでは利点でしょう。「スタビライザー」と呼ばれる反動軽減装置が組み込まれています。銃身の後ろにある銀色の筒がスタビライザー関連のパーツです。
グリップには、板を接着することで「エアライフル」としての条件を満たす長さにしてあります。といっても、パット見ではどこに何が追加されているのか、全くわからないと思います。
左写真で緑色の線で描き込んだのが、本来のエアピストルのグリップと後付の板の境界線です。木の材質も表面処理(滑り止め加工)もほとんど同じ感じになるように実に丁寧な仕事がされています。……正直、どうせストックとしては使用しない「法律の規制を裏ワザでクリアするための見せかけのストック」なんだから、こんなことに手間と金をかけるより、テキトーな板をネジ留めしておけばそれでいいんじゃないかとも思うんですが……。細かい部分の仕上げに手を抜かないのはいかにも日本人的というか……。
ついでに、「未使用新品」のLP10ハンドライフルの写真も。見た目はほとんど変わりませんが、トリガー周りのパーツ構成がちょっと違います。LP10特有の銃身途中に穴が開いていて上方向にエアを吹き出して跳ね上がりを抑える機構に対応するため、後付のスリーブにもちゃんと穴が開けてあります。

 

奥が安い方(13万円)のLP10ハンドライフル、手前が高い方(23万9千円)のLP10ハンドライフルです。手前の方が新しいタイプになります。トリガーシューの形が違う他、古い方はトリガーの軸がフレームの穴に圧入してあるだけなのに対し、新しい方はベアリングが入っているという違いもあります。他はともかくトリガー軸受がベアリングになっている/なっていないの差ってのは、トリガーの引き味には意外に大きな影響があったりします。……さすがにそれだけで11万円の価格差になるとは言いませんが。あと、グリップの形もビミョーに違いますね。

記事タイトルに「すぐに所持できる」と書いてしまいましたが、実のところ、本当はそれほどすぐってわけでもありません。エアピストルとか装薬ライフルに比べれば「すぐ」ってだけで、それなりに手続きに手間とか時間とか必要になります。私が最初にハンドライフルを所持した十数年前に比べて、今はずっと厳しく面倒になっているって話も聞きます。

このブログでも時々コメントを書き込んでくださる猫さんなんか、もう日本国内に存在するありとあらゆる職業のなかでも最高レベルに信用の置ける立派な職業に就かれている方だというのに、所持許可申請の際にはあれやこれやと言いがかりに近い難癖を付けられて許可を渋られ訴訟一歩手前まで行ってようやく許可が出た、なんて話をされていました。ひどい話です。

とはいえ、日本で所持できる数ある「実銃」の中では、際立って所持するのも維持するのも簡単な上に安価にすむのがハンドライフルだってことは確かです。許可手続きの過程では嫌な思いをすることもあるかもしれませんが、所持して競技を始めてしまえば射撃仲間は基本的にはみんな気のいい人たちばかりです――特にピストル撃ちはマイノリティならではの連帯感みたいなもんがあるので居心地の良い世界だと思います。

この記事を読んだことがきっかけで、ピストル射撃の世界に少しでも興味をもっていただける方がいらっしゃいましたら、ぜひショップに問い合わせをしてみてください。

ライフルショップエニス
http://www.rs-ennis.com/
営業時間…11:00~20:00(水曜定休)
電話……03-3461-8640

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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