サブマシンガンとかカービンというより「超巨大なピストル」といったイメージのあるスタイルをしたクリスベクター。グリップより前方にマガジンハウジングがある、自動拳銃でいうならモーゼルミリタリーと同様のレイアウトだが、グリップ&トリガーとマガジンハウジングの間に大きなスペースがあり、ちょっと間延びした感じがする。このスペースがこの銃の大きな特徴である、銃口の跳ね上がりを抑えるという「クリス・スーパーVシステム(KSVS)」が組み込まれている部分だ。
今年の始めに、そのクリスベクターに新型となる「ジェネレーション2(GEN II)」が追加された。外観はほとんど間違い探しレベルでしか変わりがないが、大きな違いはマルチキャリパーに対応したこと。銃の前部・下半分をまるごとそっくり入れ替えることで、別の口径の弾に簡単に対応できるようになったことだ。
リリースを読むと、ロワユニットの交換は「工具なし、1分未満で可能」なんてことが書いてあるが、見る限りだとネジ(六角ボルト)を3本外さないとならないし、付け替えたあとは元通りにネジを締めないとならないし、手間を考えると工具無しというのも1分未満というのもちょっと厳しいんじゃないかと思う。
口径の変更方法を、同じくKRISS社公式動画よりキャプチャ(矢印は筆者による追記)。
ジェンレーション1となる従来のクリスベクターも、実際に手にして構造を見ると明らかにマルチキャリパーに対応しようとした形跡のある仕組みとなっており、ジェネレーション2の変更点は、「新たにマルチキャリパー化した」というよりは、「交換用のロワユニットが新発売となった」というのが実際に近いようだ。口径変換用のロワユニットは、従来の45ACPに加えてまずは9mm、そして順次40S&W、357SIG、10mm、9x21mmと、ほぼ主要な口径は網羅する形となるとのこと。
ここまで敢えてスルーしてきたけれど外観上の大きな違いに、「ストックがM4用のものになってるじゃん!」ってのがある。市場に多種多様のカスタムパーツが溢れているM4互換とすることで、自分ごのみのストックを取り付けられるようになるというのが、ジェネレーション2の特徴の一つになっている。見た感じマグプルのACSストックっぽく見えるが細部が異なるし、リリースにも特にストックはどこ製のものとは書かれていないのでオリジナルのものなのかもしれない。
明確にリリースに書かれているのはサイトだ。フリップアップ式のオープンサイトはジェネレーション1にも付いていたが、あちこち出っ張っていて正直使いやすくはなく、また不格好なものだった。ジェネレーション2では曲面主体の、よりスマートで使いやすそうなものに変わっている。M4カスタムに馴染みが深い人なら、「あ、これMAGPULのサイトじゃん」ってのがすぐにわかると思う……そう、これはマグプルのMBUSサイト、ガンショップにあふれるM4カスタムに付けられているフリップアップ式サイトとしては定番の一つとなっているアレだ。
「ロワユニットの交換で簡単にマルチキャリパーに対応」というのも、「グロックのマガジンをそのまま使用可能」というのも、エアガンの世界にはあんまり関係のない話ではある(元がどんな口径だって撃つのは6mmBB弾で変わらないわけだし)。ただ、M4スタイルのストックやマグプルパーツの導入などによって、ジェネレーション1にあったどこか野暮ったいイメージが払拭され、未来的ですっきりしたデザインに生まれ変わったことは、新しもの好きなエアガンファンや、コンパクトで使い勝手のよいエアガンを求めるサバイバルゲーマーに人気がでる要素になるんじゃないだろうか。
「KSCのクリスベクターをM4ストック互換タイプに改造して、一足先にジェネレーション2風クリスベクターを自作しました!」みたいな人なら、もしかしたらもうちらほら出てきてたりするかも。