宮城県・石巻にあるライフル射撃場にて、今年も射撃の全日本選手権が開催されました。私自身も参加はしたのですが、結果は残念なもの(点数的にもそれほど良くないけれど、順位的にはそりゃもう全然良くない感じ)だったので横に置いておいて、せっかくなので日本におけるトップレベルのピストルシューターの射撃や使用銃、そしてファイナルの様子をお届けしたいと思います。
なお、写真を大きく載せるのはライフル協会によるナショナルチーム、つまり「国の代表選手」に所属している人をメインにしていきます。
まずは、ファイナル出場8選手のうち、日ラのサイトに掲載されている代表選手4名を紹介。
「次ページへ」を2回も押してここまで読みにきてくれてる方には必要はないかもしれませんが、いちおう「射撃のファイナル」についてざっと説明します。
まず最初に本選40発(女子の場合。男子は60発)を撃って、その上位8名で決勝戦に相当する「ファイナル」が行われます。ファイナルには本選の得点は持ち越されず、全員がまっさらな状態、ゼロ点から開始します。
ファイナルは、まず6発を撃ってその得点が基準点となります。これが第1ステージです。続く第2ステージは、第1ステージの基準点に積み重ねる形で2発を撃ち、最下位の人が脱落。また2発を撃ち、最下位の人が脱落……という具合に、最後の一人になるまで続けていきます。
1点刻みだった本選と異なり、ファイナルでは得点が0.1点刻みとなります。本選では「ギリギリで9点に入った」というのも「ギリギリで10点に入らなかった」というのも同じ9点で変わりませんが、ファイナルだと前者は9.0点、後者は9.9点と1点近くという大きな違いがあるのが特徴です。
ファイナルでの得点の推移というのは、競技が終わった後に発表される順位表に書かれた数字を見るだけだとあまりよくわかりません。そこで、折れ線グラフを使って「抜きつ抜かれつ」な感じを表現してみたいと思います。点数を加算していくだけだとわかりづらいので、ゴルフのスコアのつけかたを参考にします。「10.0」を基準、ゴルフでいうところの「パー」として、そこからどれだけ得点が上か、下だったかという得点差を累計していく形のグラフを作ってみました。
まずはナショナルチームカテゴリーAの佐藤絹子選手が10点台を連発して大差のトップにつけますが、第1ステージの最後にまさかの6.0を撃って一気に最下位に脱落。第2ステージでも取り返すことができず、まさかの8位となってしまいます。
続いて、リオ五輪出場を決めたばかりの佐藤明子選手が第2ステージに入って8点台を連発、一気に順位を落としてそのまま脱落し7位決定。大本命が2人とも早々にいなくなってしまうという波乱の幕開けです。
他の人たちも、7点台を撃ったり8点台を撃ったりしてどんどんスコアを下げトップとの点差を広げて脱落していく中、小西選手と北嶋選手がデッドヒートです。9点を撃つことがあっても9点台後半をキープし続けトップを守る北嶋さん、10点台後半を連発して一気に差を詰めていく小西さん。第2ステージの7発目で北嶋さんがファイナルに入って初の8点台を撃ってしまい得点が並び、8発目で小西さんが逆転しトップに。その後、北嶋さんも再逆転をかけて差を詰めますが12発目で再び8点台を撃って差が開いてしまい、そのまま決着……という形でした。
普通、ここらへんのレベルの人になると本選ではほとんど7点とか8点とか撃ちません。「基本は10点、たまにうつ9点をどれだけ減らしていけるか」というレベルの人たちです。なのにファイナルになると8点とか7点とかポコポコ撃ってしまう。プレッシャーもあるのでしょうがそれだけじゃなく、「同じ10点でも、ギリギリ10点と、どまんなか10点じゃ点数が大きく違う」ということにより、いつもよりも無理した狙い方になってしまって、結果として失敗した大外しにつながってしまう……というのが理由なんじゃないかと思います。五輪でメダルを本気で狙うのなら、国内大会でもできるだけファイナルを行っていって、選手のみんながこの独特の雰囲気に対して、気後れじゃなく「慣れ親しんだいつもの感じ」を感じるようにならないとダメなんじゃないかなあ、なんてことを思います。