Q:スコープは銃の上に付いてるのに、弾は狙ったところに当たるのはなぜ?
A:弾を当てたい距離で交差するようにスコープが傾けてあるから。
これ、けっこうな頻出質問だったりする。弾はスコープの下にある銃身から発射されるのだから、当然弾が当たるのはスコープで狙ってる場所より下になりそうなものだけれど、なんで狙った場所に当たるのか?
結論から言ってしまえば、「狙った距離で当たるように、スコープは少し下向きに傾けて付けられているから」というのが回答になる。ただし注意点としては、光は真っ直ぐ進むけれど、発射された弾はそうではなく、重力に引かれて落下することでだいたい放物線に近い軌跡を描いて飛ぶということがある。
下向きに傾けられたスコープを使って水平に照準すれば、銃は当然のことだけれど少し上向きになる。きちんとスコープが調整されている場合、上向きになった銃から発射された弾は、まず最初は上昇し、スコープで狙っているライン(照準線)と一度交わり、そのまま上昇を続けるがあるところで上昇は止まり、そこから落下してきてもう一度照準線と交わる……つまり、最大で2箇所、「狙った場所どんぴしゃりに弾が当たる距離」というのが存在することになる。
銃は弾を撃つ道具だけれど、「なぜ弾を撃つのか」という目的はと言われれば、それは何かにその撃った弾を当てるため、というのが答えになる。その「何か」、標的だったり獲物だったり場合によっては敵の兵士だったりするかもしれないけれど、つまりはそのターゲットまでの距離において、照準線と弾道が交差してくれないと困る。目的が果たせないからだ。
スコープにある「エレベーション」という調節機能を使って、照準線と銃の角度を変更させることができる。上のGIFアニメではわかりやすいようにスコープごと傾きが変わっているけれど、実際にはスコープの内部でレンズが動くことで照準線が下へ/上へと傾きを変える仕組みになっている。
「エレベーションは、弾が当たる場所を上下に変えるためのものではなかったのか?」
確かにそのとおり。そういう機能もある。上のGIFアニメーションを見れば、エレベーションの調整により「同じ距離」で弾が当たる場所は上へ、上へと移動していることがわかる。それと同時に、弾道と照準線が交わる場所は、手前の交差点はより近くへ、奥の交差点はより遠くへと移動していく。
スコープを銃に取り付けた後には、必ず「ゼロイン」と呼ばれる作業を行う。その銃で撃った弾を当てたい対象までの距離において、弾道と照準線が交わるようにするための作業だ。50mの距離で撃つのなら50mで、100mなら100mで交差するように調整する。これをそれぞれ、「50mでゼロインする」「100mでゼロインする」という言い方をする。
狩猟や戦争など、どの距離で撃つのか事前にはわからない場合はどうするか? その場合は、一般的には100mでゼロインを行い、実際の射撃時には標的までの距離に応じて調整を行うわけだが……ここまでくると話がややこしくなってくるので、それはまた別の機会に。