予定では、十分に終了時間に余裕を持った状態で本日最後となる八代醸造に辿り着くはずだったのですが、予想外にここまでの道程でそれぞれのワイナリーで話し込んでしまったため、時間がギリギリとなってしまいました。最寄りのバス停には最終バスの一つ前で到着、最終バスまでの時間は30分あるかないか。最寄りとはいえ、バス停から八代醸造までは普通に歩くと10分以上はかかるので、事実上ワイナリーで過ごせる時間は10分あるかないかという強行スケジュールになります。
ここは諦めて来年にしようかと、ちょっとだけ思いますが、ここの一つ前に訪れた新巻さんのところで、バスルートを反対側から回ってきた他の参加者の方(竜王から石和温泉までの電車で一緒になって少し話をしたご夫婦)に、「八代醸造では、1983年ものの甲州とか、醸造途中のタンクからの直接試飲なんてものがあって、すごかった!」と話を聞いていたので、どうしても諦めきれません。そういうスペシャルな試飲は、ほとんどの場合1年こっきりで、「来年にまた来るのでその時に」というわけにはいかないのです。
一升瓶を背負い、酔いのためにおぼつかなくなりつつある足元を奮い立たせ、薄暗くなりかけている田舎道を必死で走ります。なんとかたどり着いた時には、ほとんど店内はお片付けモードでしたが、汗びっしょりになりながらもカウンターにすがりつき今回の有料試飲を見せてもらいます。
ゆっくり味わう間もなく、「最終バスの時間が迫っているので、お乗りの方はそろそろ出たほうが良いですよ~」とのアナウンスがかかります。八代醸造の方に別れを告げて、まだグラスに残っている32年モノの甲州をちびりちびりと呑みながら、すっかり暗くなったバス停までの道をトボトボと歩きました……。