ワイナリー密集地帯のちょうど中央あたりにある大きな広場です。いろいろな屋台が出ていろいろなものが売ってます。そこかしこにブドウ収穫用のプラ箱やワイン樽が置かれていて、自由な休憩スペースともなっています。
お目当ては、フジサクラポークの「蒸し焼き豚」です。巨大な石製のツボで蒸し焼きにした後、バーベキューグリルで焼いた豚肉、これが美味しいんです! 豚肉の旨味をギュッと濃縮したような、「うちのラーメンはチャーシューが売りだ」と言われているラーメン屋のチャーシューの旨味を数倍に高めたような。
早速購入して、さあ食べようといそいそと歩いていたとき、つい意識が手にした豚のほうに行きすぎてしまったのか、地面に置いてあるプラ箱におもいっきり蹴っ躓いてしまいハデに転倒! 買ったばかりの豚肉をぶちまけてしまいました。うわーっ! 豚肉が、豚肉がーっ! もったいない―っ!
地面に散らばった豚肉を前に呆然とへたり込んでいる私を見てさすがに哀れに思ってくれたのか、お店の人がすぐに新しいのを焼いて持ってきて交換してくれました。申し訳ない……。
豚肉を食べ終えた後ふと横を見ると、「ジビエ専門」みたいな看板が見えたので近寄ってみました。今年の春に甲府にオープンしたばかりの「ぐるめ横丁」の中に入っているお店の一つ、「urban’s camp」が出店しています。
……いちおう念のため書いておくと、「ジビエ」というのは狩猟で穫れた野生動物の肉のことです。先日、静岡の藤枝で食べた猪鍋なんかもジビエ料理ですね。一般的な認識だと、肉のうまさって点では「イノシシ>>>>シカ」ってイメージがあります。「鹿肉は、ボソボソしていて固く美味しくない」と言われることが多いようです。しかしソレを言うと、ジビエ料理に関わっている人は熱意を持って反論してきます。「それは、下処理と調理の仕方が良くないからだ! きちんと下処理をして、丁寧に調理した鹿肉は、どんな肉よりも美味いんだ!」
さて、この「urban’s camp」、メニューはいくつか用意されています。聞けば、「鹿肉の赤ワイン煮込み」とか「ミネストローネ」とかは、あまりジビエには慣れていない人でもそれほど抵抗ないと思うが、ジビエ慣れしてる人なら「オードブルセット」がぜひオススメだとのこと。鹿すね肉のパテ、鹿レバーのペーストwithバゲット、鹿リエットの3種セットで850円です。
これがまた美味い! 牛とも豚とも鶏とも違う特別な味が凝縮されていて、後を引きます。850円ってちょっと高いかとも思ったのですが、これだけボリュームがあればもう十分以上!
この鹿肉自体は、残念ながら勝沼ではなく河口湖の方で穫れたものとのこと。店主さんとかその知り合いの人が狩猟をやっていて……というわけじゃなく、きちんと検査を受けた食肉加工場を経て流通しているのだとか。ここ数年、ジビエをきちんとした形で流通に乗せることで有害鳥獣駆除の助けにしようという動きがあるのだそうで、その一環なのだと思われます。ですが基本的にはこういったレストランなどにしか卸しておらず、一般的なスーパーや食肉店で鹿肉や猪肉が手に入るようになるにはまだまだなのだとか。「値段も高級和牛なみになってしまうので、一般にはなかなか……」とのことでした。
季節によってラインナップに違いが出てくるのもジビエならでは。猪なんかは、もうすぐ解禁になるので出回りはじめるのはそれからになるでしょうとのこと。