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どっちを向いてもクラゲだらけ~加茂水族館

東北巡りの旅、2日めは山形が目的地。紫波を暗くなってから出発、真夜中に到着して巨大な道の駅にて車中泊する。

「あれ? 行程が妙に歯抜けになってない?」とか思った方、そんなことありませんよ? ほらそこ写真のEXIF情報とか確認しようとしたりしない!

以前、ビジネス系のサイトで「破綻寸前の小さな水族館が奇跡の復活を遂げた例」として紹介されていた、山形県にある鶴岡市立加茂水族館。メイン展示の題材としてクラゲを選択、飼育に手間がかかり寿命が短く展示には向かないとされるクラゲにひたすら取り組み、世界的に見ても例を見ない充実したクラゲメインの水族館が誕生、話題を呼び大成功を収めたという。
 

水族館側としては「手間がかかる」ということで敬遠されがちというクラゲだけれど、見る側としては実に面白い。ただ見てるだけでも、とても生物とは思えない奇妙な形、幻想的で癒される動き方など、バリエーションも豊富で全く飽きることがない。

話題になってるだけあって、人混みもたいしたものになっている。元が「市立の小さい寂れた水族館」だっただけあってロケーションもそれほど交通の便が良いところにあるというわけじゃなく、うらびれた漁村しかないような海岸沿いの細い曲がりくねった道を走っていたその先にあるという状況で、近辺の道路は慢性的な「加茂水族館渋滞」になっているのだとか。
 

ナビによると目的地までまだ数キロもあるというのに既に渋滞が始まり、臨時駐車場へ誘導する係員の姿が現れる。臨時駐車場は海岸沿いにある公園、というか空き地みたいな場所。日本海が見える。
かなり離れた場所にある臨時駐車場に停めて、ずらーっと並んだ車の間を縫うようにして海岸沿いを延々と歩くと、ようやく水族館が見えてくる。去年の春に改装したばかりの、大きくて綺麗で立派な水族館だ。
元は小さな市立水族館だったそうだが、連日の大賑わいに対応するためと建物の老朽化から半年をかけて改装。よりクラゲに特化した水族館になったのだとのこと。

賑わいっぷりは、噂に聞いていたとおり実にたいしたもの。休日ということもあるのだろうけれど、ざっと見た感じは1日あたりの入場者数は少なく見積もっても1万人は超えているんじゃないかと思う。

水族館とか博物館の類って、普通は中に入ったら撮影は禁止だ。ここも例外じゃなく、入り口ゲートにはカメラに赤い斜め横線を重ねたマークが掲示されており、下には「撮影をするときは係員の許可をもらって下さい」との注意書きがある……のだが、中に入ってみるとそんなのお構いなしにみんな撮影しまくりである。子供たちはDSを構えてガラスの前に貼り付いてるし、親はそれを後ろからムービーで撮影しているし。

思わず「撮影禁止だろ」と注意しそうになったが、「いや、ここまでみんなおおっぴらに撮影してるってことは、何か理由があるのかもしれない」と思い直して、一通り見て回って外に出たあと、改めてスタッフに聞いてみたところ……。

「あまりに人が多い場所や混み合っているところでは、係員が撮影は遠慮くださいと指示することもあるのでそれには従って下さい。そうでない場所ならご自由に」とのこと。「係員の許可をもらって下さい」=「ダメって言われなければ撮影してもOK」って意味だったらしい。それならってことでカメラバックから一眼レフを出して屋内撮影用にモードを設定し、再入場して一回りしてきた結果を、特にキャプションもなしに以下にギャラリー展示してみる。

   

「とても生物には見えない」といえば、こいつなんか側面にあるラインが七色に光って、さらにそれがイルミネーションみたいに流れていくという、およそ生物ばなれした見た目をしている。お前はどこのゴルバ型浮遊要塞だとツッコミを入れたくなるが、周囲にはわかってくれる人など誰一人おらず。
コレなんか、エミール・ガレのランプにこんな形・色合いのヤツあったよねってのが第一印象だったけれど、どっちかというと逆でこっちがオリジナルだったりするのかもしれん。
大量のミズクラゲが舞う巨大水槽。水槽内上部からスポットライトでライティングされているので、絶好の撮影ポイントとなっている。
廊下の端っことか階段とかに、ちょろちょろとクラゲの絵が。
軽食コーナーにあるクラゲソフトクリーム。ガチでクラゲが入っている。キワモノに見えるが妙に人気があるらしく、いかにもSNSやってますみたいなオシャレな女性が、購入してから自分の手に持った状態でもう片方の手で撮影してたりする。他には「クラゲ型の玉こんにゃく」なんてものもあるがこちらにはクラゲが入っているわけじゃなく、単に玉こんにゃくがクラゲ型してるというだけ。味がしみやすいんで意外に普通の玉こんにゃくよりも美味かったりする。
売店のおみやげコーナーもクラゲだらけである。可愛らしいクラゲのぬいぐるみとかクッションとか、クラゲ柄のクッキーなんていうお約束モノもあるのだけれど、人気はクラゲが入っている食べ物のほうらしい。

イベント的なものとしては、クラゲの給餌解説なんてものもあったりする。水槽に入った大きなクラゲに餌をやる様子を見ながら、解説員がクラゲの生態だとか捕食の仕方なんかについて解説してくれるのだけれど、クラゲって餌を与えられたからといって特にその餌に向かって殺到するとか積極的に食べに行くとかそういうわけではなく、ただ、ふよふよーって漂ってるだけで、たまたま触手にひっかかかった餌が、なんか成り行きに任せてるうちにだんだんと口元まで運ばれていく……といった具合で、見ていて全くエキサイティング感がない。解説員も、「アシカショーを見てから、20分くらいしてまた見に来ていただければ、餌が口元まで運ばれてるかもしれませんよ~」とまあ、実にのんびりしたもんである。

しかし、いろんな形、いろんな色をしたクラゲが、次から次へと展示されているのを見ていくのは実に楽しかった。値段以上のものは十分にある。堪能した。こんどは、もうちょっと空いてる時にもう一回くらいは来てみてもいいかな、とは思える程度には面白かったな。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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