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世界遺産とは言うけれど~中尊寺金色堂

せっかく、東北にある高速道路を乗り降りし放題なパスがあるのだから、花巻に行った後は東北地方をまさに「右往左往」、あっちにいったりこっちにいったりの放浪旅行となった。同乗者がいたらブチ切れされること間違いなしの道程だったが、これも一人旅の醍醐味ってことで。

まずは、岩手の観光地といったら定番の平泉。ここ最近は記憶遺産関連でなんやかやとミソがついたユネスコだけれど、とりあえず「見に行く価値がどれだけあるのか」の判断基準としては、世界遺産登録ってのはそれなりに有用な目安になるのは間違いないよね。
 

紅葉の時期だったらさぞかし見事なんだろうなーと思うのだけれど、残念ながら訪れた時期は紅葉には早く、ちょっとだけあちこちが色づき始めているかなーって感じる程度だった。今(10月下旬~11月上旬)はまさに紅葉真っ盛りで、それはそれは凄い景観になるそうだけれど、そうなると今度は人混みも凄くなるのかもと考えると、シーズンをちょっと外したのはそれはそれで正解だったのかもと自分を慰めてみる。

「世界遺産・平泉」となると、代表となるのが中尊寺金色堂。そのほかにもいくつかまとめて複合遺産ってことでの登録にはなっているのだけれど、他は見に行ってもただの田んぼだったり更地だったり、ぶっちゃけ正直に言ってしまえば「しょぼい」ものばかり。金色堂だけ見て帰ってきた、でもまあ十分に「平泉まで行って世界遺産を見てきた」と言い張れるんじゃないかな。

といってもそこは平泉の意地があるのか、駐車場は金色堂より1km近く離れた山の麓にしかなく、そこから延々と山道を歩いて登っていかなければならないという仕組みになっている。山道といってもそれほど傾斜が厳しいわけじゃなく、足腰がおぼつかないご老人でもまあまあ大丈夫、いざとなれば車いす押して登るのもやってやれないことはないかな、って程度のものではあるのだけれど。

駐車場から中尊寺まで続く坂道。舗装こそされていないが平らに慣らされた広い道で、足腰が弱い人向けに捕まり歩きができるように手すりロープなんかも張ってあったりするのだけれど、なぜか写真で右側の手すりの脇には掃き集められた枯れ枝や落ち葉が転々と盛り上がっていて歩くことを拒否する仕様になっていて、実質的にはけっこう狭い道になってしまっている。
とはいえ、ずいぶん長い期間、丁寧に手入れされ続けてきたことが一目見て分かる立派な並木道はそれだけで十分に見応えがある。
「本命」となる中尊寺や金色堂まで行く途中にも、そこら中にお堂が点在している。それぞれ謂れがあるものなんだろうな。御朱印集めをしてる人なんかは、ここに来るだけで一気に朱印帳が分厚くなること間違いなしである。
こういう構図見ると、「おおっ」って感じになる。しつこくて済まないけれど、これが紅葉真っ盛りのシーズンだったらさぞかし凄いことになりそうだ。
一応、ここらへん一帯の総元締めに相当する存在になる中尊寺。金色堂まで一直線なら別に寄る必要もないのだけれど、ここまで歩いてきたんだからせっかくなので。
8世紀頃からの歴史を全部含めての世界遺産ってことになってる平泉だけれど、実際にそんな大昔からの木造建造物がそうそう残ってるはずもなく、この中尊寺も20世紀になってすぐあたりに再建されたもの。といっても普通に100年以上前ではあるんだけれど。
なんか、目にご利益のあるお守りとかたくさん売ってるところがあった。射撃やってる人間としては一つ二つ買っとくべきかとも思ったのだけれど、とりあえず写真だけ撮ってスルー。

そんなこんなでテクテク歩いてきて、ようやく本命の金色堂に到着。もちろん野ざらしになってるわけじゃなく大きな覆堂の中に厳重なガラスケースがあって、その中に厳かに展示してある。

さすがに国宝だ世界遺産だ言うだけあって、屋根から縁側から扉まで全部金ピカ、奥に見える柱や台には、貝や象牙や宝石が散りばめられていて、豪華絢爛なんてレベルじゃない……のだけれど、この展示、正直言うとちょっとガッカリ。確かに凄いんだけれど、全体が金ピカのものをこんな隅々まで良く見えるように丁寧に明るくしちゃったら、厳かな雰囲気もクソもなくなって単なる悪趣味にしか見えないというか。

多分、本来は点光源、例えばロウソクとかのゆらゆら揺れる灯りがごくわずかだけ使われていて、それに照らされて光り具合がゆらゆらと動く、そんな感じの鑑賞のされかたを想定してる造作なんじゃないかと思う。もちろん本当にロウソク使うわけにはいかないけど、そんな感じに揺れる照明をLEDとかで再現するのはそれほど難しくないと思うのだが……。
 

この覆堂、見た目こそそれっぽくしてはるけれど、近寄ってみるとコンクリとか使われた普通によく見かける新しい建築物である。中に入ると撮影はできないので、ちょうどこの写真を撮った位置が「金色堂に行ってきました記念写真」の撮影スポットになっている。入れ替わり立ち代わりやってくる団体客さんの切れ目を狙って撮ったものだ。
で、中は撮影できないので中尊寺の公式サイトからスクリーンショットを引用。「隅々までしっかり照らされちゃってたんじゃ、雰囲気が台無しじゃないか」っていう気持ちに少しでも共感していただけたら。
別の場所に、かつて使われていた木造の覆堂も建っている。確かにこっちに入っていたほうがそれっぽい雰囲気に見えそうな気も。金色堂のレプリカはNHK大河ドラマのセットを流用して作ったテーマパーク内にあるそうだけれど、どうせならコレの中に入れちゃったら良かったんじゃないか?
ふと見ると、芭蕉さんが佇んでいた。

メインのルートから外れた、「あれ、本当にこんなボロボロの道に入ってもいいのかな?」と不安になりそうな細い道を進んだ先なんかに、完全に忘れ去られてるんじゃないかと心配になる小さいお堂とか祠とかがあったりする。でかくて立派で金ピカなのよりは、こういう方がなんか、性に合うというか。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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