ノーベルアームズ製ドットサイトのフラッグシップモデルとなるべく発売される「ACCURA(アキュラ)」。その先行試作品をどこよりも早く製品レビュー!
スコープやドットサイトのメーカーとして、ユーザーの高い支持を得ているノーベルアームズ。製品のほとんどは中国製ではあるのだけれど、レベルの高い品質管理により中国製品にありがちな実用上のトラブルが生じる心配はほとんどないこと。ちゃんとしたワランティー(保証)もついてきて、初期不良だったり通常使用での故障があればほぼ無料で修理してくれるなど、国産品と変わらない安心感があること。そしてなによりも、世界的な有名ブランドの超高級品と見比べてもほとんど品質の差を感じられないほどの質の良さが、多くのユーザーから愛されている理由だろう。
ノーベルアームズ製品には、「SURE HIT」という高級ラインと、それがつかない普及品ライン、この2つの大きな区別がある。「SURE HIT」シリーズは確かに値段は普及品に比べれば高いが、作ってる工場も使われている材料も許容される精度誤差の厳しさも、数十万円するような製品とほぼ同じという、ある意味では「超お買い得品」である(具体的に、「これこれのメーカーのこういう製品と同じところで作ってる」という情報は、絶対に教えられない秘密らしい。かなり食い下がったのだけれど教えてもらえてなかった)。
基本的にはスコープばかりだった「SURE HIT」シリーズに、ドットサイトが追加される。「本当なら値段がゼロ一つ多いくらい」で売られていてもおかしくない高級ドットサイト、発売はまだ先ではあるけれど先行試作品を触る機会があったので、メーカーのお許しを得てどこよりも早い(はずの)製品レビューをお届けする。
製品名:
SURE HIT ACCURA 倍率:1倍
F.O.V.:23m(@100m)
ドットサイズ:4MOA
全長:99mm
重量:252g
価格:19,000円(税別・予価)
発売:9月中を予定
「最高品質」の証である「SURE HIT」シリーズを名乗るだけあって、材質も作りも極めて贅沢だ。なんと、チューブとマウントの間には継ぎ目がいっさいない。別部品をチューブにネジ留めしてあるのではなく、ひとつの大きなアルミのカタマリから削りだされているのだ。一体なのだから、大きな衝撃が加わってもズレたり外れたりもげたりすることは絶対にない。
SURE HIT ACCURA付属品
付属品一覧。一番右が本体、中央にある円盤2つはレンズカバー。左上がキルフラッシュ、右下が樹脂製のアジャストキーだ。
付属品は他にもう一つある。本体をまるごとすっぽり覆うことができるカバーだ。スポンジっぽい手触りだけれど、なんでもこれは「ネオプレーン」というウェットスーツなんかに使われる防水素材なのだそうだ。ドットサイトを銃から外した状態はもちろん、左写真のように銃にマウントした状態でもサイトをカバーすることができる。
レンズカバーは、よくあるプラスチック製の2つのフタがゴム紐で繋がってるタイプのものではなく、金属製の、レンズ前にネジで取り付けるタイプのものが付属する。付属するキルフラッシュを装着した場合は、その上から取り付けることもできる。
対物レンズの前に取り付ける、金属の薄い板を蜂の巣みたいな形に組み合わせたレンズガード、通称「キルフラッシュ」が付属する。レンズを外傷から保護する役割の他、反射を覆い隠して目立たなくさせる役割もある。
これは便利、アジャストキー
付属品の中で、ちょっと見慣れない樹脂製品が一つ。「アジャストキー」という樹脂製の板なのだが、これが使ってみると予想以上に使い勝手が良い。もうこれ単体で販売されていたら少々お値段がはっても一個買っておきたいってくらいのヒット商品になること間違いなしだ。
使い方はこんな感じ。特に変わったことがあるわけではなく、バッテリーケースのフタだとか、上下左右の調節スクリュウだとか、説明書には「コインなどを使って回してください」とこれまでならば書いてあった場所を回すためのものだ。大きな径と小さい径の2通りの「キー」が2つずつ付いている形になっており、バッテリーケースのフタを外すときには大きな径の方のキーを使う。
バッテリーケースの蓋を外したところ。CR2032リチウムボタン電池を1個使用する。
上下左右の調節スクリュウを回す時には、アジャストキーの小さい径の方を使う。コインを使うと大きさや厚さが合わなかったりで、滑ってスクリュウ部分にキズを付けてしまうことが多かったが、このアジャストキーは樹脂製なので相手を傷つける心配がない上に、差し込んだら手を離しても落ちないくらいにピッタリとサイズが合うので実に回しやすい。この「アジャストキー」は、ドットサイトを良く使うユーザーによってはまさに必需品といっていいアイテムになるだろう。
自動調光モードと手動調光モードの切り替えができる多機能なデジタルスイッチ
本体の上部についている小さな光学センサー。この働きにより、明るい場所では自動でドットも明るく、暗い場所ではドットも暗くなる「自動調光モード」を備えている。それだけでなく、自分でドットの明るさを設定したい場合には、手動調光モードに切り替えることができるのも「ACCURA」の特徴の一つ。
スイッチ関連は右側面に集められている。アルミ一体削り出しの本体側面に、ピッタリと沿うようにスイッチ関連のプレートがガッチリとネジ留めされている形だ。このプレートをネジ留めしている4本のスクリュウだが、外せないかと少し頑張ってみたが、かなり力をいれてもびくともしない。基本的には「分解しちゃダメ」な場所と考えたほうが良いだろう。スイッチの後方にある白くて丸いものは、ドットサイトの状態を知らせるLEDインジケーター。
SURE HIT ACCURAの取り付けと操作方法
底部にある2本のクランプスクリュウを緩める。指でつまんで簡単に回せるようになっている。クランプスクリュウは高さが変えてあり、低い方(前方のスクリュウ、写真でいうと左側)の「軸」がマウントレールの溝の部分と噛み合うことで、大きなリコイルがあったときの前後のズレを防止する役割がある。
固くて回せない時にはアジャストキーの出番だ。樹脂製とはいえかなり頑丈なので、よっぽどムチャクチャな締め方をしてないかぎりまずこれで外せる。
ドットを点灯させたい時は、側面にあるスイッチ(「+」と「-」のどちらでも構わない)を押せばOK。LEDインジケーターが1回だけ点滅して、ドットが点灯したことを知らせてくれる。
ACCURAが手動調光モードなのか、それとも自動調光モードなのかを確認する一番手っ取り早い方法は、光学センサーを指などを使って塞いでみてドットの明るさが変わるかどうか確認してみること。塞いだときにドットが暗くなるようなら自動調光、ドットの明るさが変わらないようなら手動調光モードというわけだ。
調光モードの切り替え、あるいはドットの消灯を行うときには「+」と「-」のボタンを両方同時に押す。同時押し1秒間でモードが切り替わり、LEDインジケーターが1回点滅する。4秒間長押しするとドットが消灯し、LEDインジケーターが3回点滅する。ちなみにLEDインジケーターには電池切れ警告機能もあり、電池切れが間近になると何か操作をするたびに30秒間激しく点滅を繰り返す。
ゼロインとドットの見え方
キャップを外すと、上下および左右の調節をするスクリュウが顔を出す。調整範囲はけっこう大きく、1クリックで1MOAの移動量となっている。スコープなんかは1/4MOAのものが多いので、スコープで4クリック動かすのと、ACCURAで1クリック動かすのとでは、同じだけの着弾点の移動があるということになる。
既に書いたとおり、上下左右の調節スクリュウを回すのには付属するアジャストキーを使うのがオススメ。ドライバーとかコインとか使うと滑ってキズをつけたりとかしやすいのだが、コレを使うとほんと気持よくカチカチと回せる。まあ、もともとACCURAの調節スクリュウは、引っ掛かりとかジャリジャリ感とか全くなく、スムースにカチカチと回るのだが。
射手からの見た目はこんな感じ(ドットは点灯していない)。見た目はけっこうゴツい印象がある「ACCURA」だが、スイッチプレートにしろ上下左右の調節スクリュウのケースにしろ、かなり薄く作りこんであるので、こうやって覗いてみても視界を遮るものがほとんどないのが大きな特徴だ。これがAimpointのサイトなんかだと巨大な電池ケースやら調節スクリュウのカバーやらが張り出していて、「サイトを見ていると見えづらくなる範囲」がけっこう広くなってしまうのだが、この「レンズ外側にあるパーツの薄さ」は「ACCURA」の大きな利点の一つと言えるだろう。
手動調光モードで、ドットの明るさを真ん中らへんにしたもの(左)と、最も明るいモードにしたところ(右)。調整範囲は24段階とのことだ。手動調光モードではスイッチの「+」を押すと明るく、「-」を押すと暗くなるが、押しっぱなしにすると連続してどんどん明るくなる機能なんかもついている。ドットを消灯しても、次にスイッチONにしたときは前回と同じモード/ドットの明るさで再び点灯するメモリー機能も付いている。
自動調光モードにて、センサーを塞いでみたとき(右)に、どのくらいドットの明るさが変わるか試してみたところ。
物凄く頑丈、高精度で、多機能だけれど操作は簡単。「SURE HIT」の名前を冠するだけあって、手にするだけで「お、これなんか凄えぞ」と、メーカーさんの意気込みを感じられる意欲作となっている。……ちなみにこの「ACCURA」という名前、我が「あきゅらぼ(Accuracy Laboratory)」と何らかの関係が、例えば私がスペシャルアドバイザーだったりとかコラボモデルだったりとか、そんなことがあったらいいなーとは思うんですが、そんな事実は全くありません。単なる偶然です。残念!
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