APSカップ会場では、デジタルカメラシューティングシステム以外にもAPS関連での発売予定のパーツ類が展示されていたので紹介。ガラス越しなので写真がちょっと不鮮明なのは勘弁。
 

APS-3用フルアジャスタブルトリガー

8月発売予定 5,000円(税抜)

ノーマルのAPS-3では、トリガーの調整は前後位置の調整しかできなかった。この「フルアジャスタブルトリガー」は、それにくわえて上下位置の調整、左右の首振り、さらに傾きの調整までできるというのがウリになっている。
 

ケース内にあったチラシから抜粋。従来の前後位置だけでなく、上下・首振り・傾きの調整ができるのが特徴。主要パーツはアルミニウムとステンレス、CNC加工により精巧に製作とのこと。

ただ、当ブログで連載している初心者向けの射撃講座「はじみつ」でも何度も書いているとおり、トリガーを左右に回転させたり傾けたりというのは、基本的には「やってはいけないこと」に相当する。トリガープルが数十gというレベルで極端に軽くしてあるならともかく、ノーマルでは約500g、軽くカスタムしても100gを切ることはまずないトリガープルを持つAPS-3でこんなことをやったら、トリガーを引く動作が、そのまま銃に対して左右に首振りをさせる力を加え続けることになる。シアが切れた瞬間、銃口はトリガーによって力が加えられていた向きの反対方向に動き、着弾位置を大きく狂わせてしまう結果になる。

「トリガーに指が楽に届くようになって快適」という気分にいったんはひたれるかもしれないが、確実にスコアには悪影響を及ぼすことになる。これは、言っちゃ悪いが「余計な機能」だとしか思えない。「フルアジャスタブル」をうたうのなら、1stステージの重さ、2ndステージの重さ、シアのかかり具合の微調整などを外部からレンチなどを使って手軽に行えるようになっていて欲しかった……というのが正直なところ。

APS-3 LE2015

8月発売予定 49,800円(税抜)

毎年発売になっているリミテッドエディション(LE)モデル。今年はシアをスチールに、グリップを木製にしたものがLEモデルとして8月に発売される。
 

シアAとBがスチール製になる。トリガーのキレを良くしようとすると、どうしても削りこんでいくなどのギリギリの調整が必要になってくるのがこの2つの部品。だがノーマルの亜鉛ダイカストだと素材的な限界があり、「シアがかからなくなる」といったトラブルを起こす原因になりやすい。ここがスチールになってくれれば、かなり追い込んだセッティングも可能になるはずだ。
APS-3のトリガー&シア周りがどういう構造をしていて、どういう仕組みで、どういうふうに動いているのか、実際にAPS競技をやっている人でも実はよくわかってないことがあるという話を聞いたので、2007年に作ったGIFアニメーションを再掲載してみる。この図で水色に書かれているのが「シアA」、オレンジ色のが「シアB」だ。ちなみに、この図だとセカンダリレバー(もうすぐシアが切れるぞということを、トリガーに当たることで射手に教える部品)を取り去った状態なので、やたらとキレの悪いトリガーになってしまっている。
もう一つのウリが、木製のグリップ。汗を吸ってくれる、滑りにくい、見た目の高級感があるといった利点があるが、基本的には競技ピストルのグリップというのは万人に合うデザインというのはありえないので、何らかの調整(盛ったり削ったり)は必要になってくるだろう。

グリップとシア以外の変更点は以下のとおり。
★トリガーフルチューン
★内径6.12mmテフロンインナーバレル
★レッドアルマイトシリンダー
★クリアーマガジン
★チタンカラーアウターバレル
★ガンメタリックペイント・トリガー
★ポリッシュ仕上げアルミダイキャストパーツ3点

この最後の「ポリッシュ仕上げアルミパーツ」というのは、おそらくコンプレストレバーとトリガーガードとコッキングレバーの3点のことだと思う。蓄気式のピストルという構造上、銃の大きな部分を締めるコンプレストレバー、初期型のAPS-3ではもともと実に手間をかけて丁寧にポリッシュされていたのだが、最近になってAPS-3(OR)を新品で買ったら、普通のサンドブラスト仕上げになってしまっていた。撃つたびに力を入れて操作するコンプレストレバーが、角張ってザラザラした仕上げになっているわけで、操作感が大幅にスポイルされている印象があり、ガックリきたものだった。

見るからに手間のかかる加工だったし、今では値段が通常モデルよりも高くなる年度モデルだけの特別仕様ということになっているのだろうか。まあ、それはそれで合理的な住み分けかもしれない。

池上ヒロシ

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池上ヒロシ

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