※2011年と2014年に投稿した内容の焼き直しです。
ブルズアイ・プレート・シルエットの3つのステージがあるAPSカップの中で最も得点配分が高い「稼ぎ頭」は、言うまでもなくブルズアイです。しかし逆に大幅失点をしやすい、つまり「足引っ張り」になりがちなのはどれかというと、多くの人が「シルエットだろうなあ」と答えることだと思います。距離が6m~10mまでとバラバラになっており、当たれば得点・外せば失点、中間は無しというシビアさがあること。遠いターゲットは得点が高く近いターゲットは得点が低いという、競技中にいろいろと頭の中で考えてしまいがちなこと。いろいろと「罠」が仕掛けられているステージです。
今回は、そのシルエットステージにて少しでもスコアを上げるための秘訣をお伝えしましょう。
シルエットステージは、「距離が異なるターゲットを撃つ」というのが一番のキモになっています。撃った弾は一直線に飛んでいくわけではなく、放物線を描いて山なりに飛んでいきます。だからそれぞれの距離によって、ターゲットを狙う位置を変更する必要があります。放物線の形がどのようになるのかは、使っている銃や弾、射手の背の高さなどによって変わってくるので、狙う位置をどの程度変更すればいいのかも、人によって異なってきます。
その修正量を、競技前にあらかじめ調べておく必要があります。しかし「当たったか、外れたか」で得点が決まるタイプの競技射撃で射手が陥りがちな罠が、「弾がどちらに外れたかによって修正したくなる」ということです。撃ってみて弾が上に外れたから、「次に撃つ弾」は下を狙ってみる、とかそういうやつです。これは一見すると理にかなっているように見えますが、精密射撃の原則からするとあまりいい方法じゃありません。ドットサイトやスコープを使わずにオープンサイトで狙って撃ってるのなら、撃つときはターゲットではなくサイトに集中していなければなりません。「撃った弾がどっちに飛んでいったか」が分かるということは、サイトではなくターゲットの方に意識が行っている証拠で、つまりはミスショットです。ミスショットを参考にして狙う位置を変えたりしてたら、当たるものも当たらなくなります。負のスパイラルですね。
サイトに集中していれば、弾がどこに飛んだかなんてことは射手には分からないハズ。でも、それだと練習するときに困ります。練習ではどっちに飛んだかを見て、どこらへんを狙えばいいのかを調べておく必要があります。けれど撃つときはサイトを見てます。誰かに横から見ててもらって、どちらにどのくらい外れたかを教えてもらうというのもひとつの手でしょう。けれど、もっといい方法、確実な方法があります。ペーパーターゲットを撃つことです。
ペーパーターゲットを回収して、どのくらい外れているのかを確認します。ドンピシャでシルエットターゲット(を印刷した部分)に弾が集まっていれば問題なし、本番でもその距離では同じように狙って撃てばOKです。下の方、あるいは上の方に外れたところに弾が集まっていた場合は、その距離ではその分だけ狙う場所をずらして撃つわけです。
これで、使用するエアガンの命中精度(あるいは射手の腕)が十分でなくても、グルーピングの中心をターゲットと重ね合わせることで、ターゲットをヒットできる確率は飛躍的に高まります。ペーパーターゲットに向かって20発ほどを撃つだけで、APSカップ本番におけるシルエットの得点を、うまくすれば十点以上は一気にアップさせることが可能になるわけです。
「キーン」と音を立ててはじけ飛ぶシルエットターゲットを撃つのは楽しいことです。が、確実にヒットするためには、ペーパーターゲットに向かって何発も撃つ、地道な努力が必要なのです。
●APSカップ本大会で撮影した写真を元に、「可能な限り本番の雰囲気に近い、シルエット練習用ターゲット」を作りました。